iDeCo(イデコ)は老後のための資産形成ができるという便利な制度だが、利用するには様々な手数料がかかる。税制上のメリットが多いとはいえ、多額の手数料を支払えば利益は減ってしまう。いつどのような手数料がかかるのか理解しておこう。※2019年6月時点

iDeCo(イデコ)の手数料の支払い先は3つ

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(画像=Panchenko Vladimir/Shutterstock.com)

iDeCoの利用に伴う手数料の支払先は、国民年金基金連合会、運営管理機関、信託銀行の3つだ。

iDeCoの実施者は国民年金基金連合会だが、実質的なサービスは運営管理機関(iDeCoを取り扱う証券会社や銀行などの金融機関)を窓口として提供される。また、資産を管理する事務委託先金融機関として信託銀行が存在する。iDeCoにかかる手数料は複数あるが、それぞれ支払先が異なるのだ。

iDeCo(イデコ)加入時の手数料は原則として一律2,777円

iDeCoに加入するときには、2,777円(税込)を国民年金基金連合会に支払うことになる。この金額は、どの運営管理機関を経由して申し込んだとしても一律だ。企業型確定拠出年金からiDeCoに移換する場合にも同様の手数料が必要となる。

これとは別に運営管理機関に支払う加入手数料が発生することがある。無料となっているところが多いが、一部の運営管理機関では1,000円程度の手数料が必要となる。

iDeCo(イデコ)運用時には毎月の手数料が発生する

iDeCoに加入後は、国民年金基金連合会、運営管理機関、信託銀行の3つそれぞれに対して手数料が毎月かかる。

国民年金基金連合会には掛金の拠出がある場合、103円(税込)の収納手数料を支払う必要がある。掛金の拠出を行わなかった月には発生しない手数料だ。

信託銀行に支払う資産管理手数料は毎月64円(税込)程度が必ずかかる。管理手数料は資産を管理するためのものなので、掛金の拠出の有無にかかわらず必要となるのだ。

運営管理機関に支払う手数料は金融機関によって異なる。オンライン取引に力を入れる銀行や証券会社を中心に、手数料を無料としている金融機関もあるが、400円程度の手数料が毎月必要になる金融機関もあるのだ。

運用・管理にかかる手数料は継続的にかかる費用なので、事前に比較してiDeCoの金融機関を選びたい。

iDeCo(イデコ)運用時には信託報酬という手数料もかかる

iDeCoは投資家自身で運用先を決定するものだが、対象商品は主に投資信託だ。投資信託は、少額から分散投資ができることや運用の専門家に任せることができるなど様々な利点があるが、信託報酬という手数料がかかる。投資信託を保有している間は、信託財産から間接的に信託報酬が日割りで差し引かれていくのだ。

投資信託によって運用手法は様々であり、信託報酬が低ければ低いほど良いとは一概には言えない。だが、信託報酬は継続的に負担することになる費用なので留意しておきたい。

iDeCo(イデコ)受給時の手数料は一括か分割かで合計負担額が変わる

iDeCoを活用する主な目的は老後のための資産形成だ。iDeCoの老齢給付金は原則60歳から受給できるが、受け取り時に給付事務手数料等として通常432円(税込)を信託銀行に支払う必要がある。

注意したいのは、この432円は受給する都度負担しなければならない手数料である点だ。iDeCoの老齢給付金は一時金として一括で受取ることも、分割して年金として受取ることも可能だ。一括で受取れば一度手数を支払うだけで済むが、分割で受取る場合には毎回432円を負担しなければならない。

iDeCo(イデコ)では運営管理機関の変更や掛金の還付で手数料がかかるケースもある

iDeCoの運営管理機関を変更する場合にも手数料が発生することがある。商品ラインナップや手数料体系が納得いかず、iDeCoの運営管理機関を変更したいこともあるだろう。他の運営管理機関から変更してきたり、他の運営管理機関へ変更したりする場合に、手数料を徴収する金融機関もある。

また、掛金の還付にも手数料がかかる。国民年金保険料の滞納など、掛金を拠出する資格がないにもかかわらず拠出した場合は加入者に掛金が還付される。このとき、国民年金基金連合会に1,029円(税込)、信託銀行に概ね432円(税込)の還付手数料を支払わなくてはならない。これに加えて運営管理機関によっては別途手数料が必要なケースもある。

文・潮見孝幸(金融ライター)/MONEY TIMES

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