年金も収入の一部です。人によっては、確定申告が必要になってきます。確定申告が必要な人はどのような人か、自分が申告対象になった場合の手続き方法について、詳しくご説明いたします。
確定申告不要な人は確定申告不要制度の対象の人
確定申告が不要な人は、受け取る年金額が「公的年金等控除+基礎控除」を下回る人か、確定申告不要制度に当てはまる人です。
「公的年金等控除+基礎控除」の金額は、65歳未満の人は「108万円」、65歳以上の人は「158万円」です。
また、確定申告不要制度に当てはまるには、以下の2つの条件の両方を満たす必要があります。
・公的年金等(老齢基礎年金、老齢厚生年金、企業年金、恩給等)の収入金額の合計額が、400万円以下、かつこれらの公的年金等のすべてが源泉徴収の対象になっている
・公的年金等以外の所得金額(給与所得、一時所得、不動産所得、株式等の譲渡所得、公的年金等以外の雑所得等)の合計額が20万円以下
(国税庁HP「No.1600 公的年金等の課税関係 申告手続き(4)」参照)
老齢基礎年金(老齢基礎年金、老齢厚生年金、企業年金など)は、雑所得とみなされます。条件に当てはまらない人は、確定申告をしなければなりません。
確定申告の方法とは?
自営業者の方は、自分で確定申告を行ったことがあると思いますが、サラリーマンだった方は、方法がよくわからないと思います。確定申告の基本事項とやり方について説明します。
確定申告の基礎知識
確定申告の基本的なことから説明します。
確定申告は、前年の収入についての申告書を税務署に提出する手続きです
確定申告の時期は、原則として毎年2月16日から3月15日までです。この期間内に前年の収入について確定申告を行わなければなりません。なお、該当する日が土、日、祝日の場合には、繰り下がることになりますから、毎年期限が変動する可能性があります。
また、確定申告の書類は、原則として、自分が住んでいる地域を管轄する税務署に提出しなければなりません。
確定申告の手続き方法2つ
確定申告には、大きく分けて2つの方法があります。
1つは、確定申告書に直接記入し、期限内に税務署へ持参、もしくは郵送する方法です。
税務署に持参した場合は、控えに受領印を押印してくれますが、郵送では原則的にそれはできません。後で押印してもらうことは難しくなりますので、受領印が必要な場合、控えに受領印を押印してもらいたい旨の説明と返信用封筒を同封しておきましょう。
確定申告書は税務署に行けば入手できますし、税務署が遠方にある場合には、郵送で送ってもらったり、ホームページからプリントアウトしたりすることができます。
もう1つの方法は、パソコンを使って申請書を作成し、オンラインで税務署に送る方法です。
これをe-Taxと言いますが、利用できるためには、パソコンとインターネット環境、そしてマイナンバーカード、カードリーダーが必要です。
マイナンバーカードは、送るときに申請者本人を証明するために必要であり、カードリーダーは、カードの情報を読み取り、データを送信する際に必要です。
年金受給者の確定申告で提出する書類
確定申告書には、A様式とB様式の2つがあります。公的年金受給者の確定申告ですから、A様式を使用することになります。
A様式は、給与所得者、年金生活者向けの様式であるのに対して、確定申告書のB様式は誰でも利用できる汎用的な様式です。
手書きで申告書を作成する人もパソコンで作成する人も、金額を記入するための書類を用意する必要があります。
例えば、医療費控除を受けたい場合には、医療費控除の明細書、寄附控除を受けたい場合には、寄附金の受領証明書が必要です。
所得税の還付を受けるために確定申告が必要
公的年金等の源泉徴収票の「源泉徴収税額」に数字が記載されている場合は、あらかじめ所得税が天引きされていることを意味します。
場合によっては所得税を納め過ぎているかもしれません。確定申告することで、納め過ぎた額が戻ってくる可能性があります。
特に、次の控除を受ける場合には、還付される可能性がありますから、注意しましょう。
《医療費控除》
通常、医療費控除が受けられるのは、医療費の自己負担金が年間で10万円以上の場合です。ただ、所得金額が比較的少ない年金受給者では、医療費の自己負担金が「「(所得金額+申告分離課税の所得)×0.05」よりも多ければ、10万円以下でも医療費控除を受けることができます。
《社会保険料控除、生命保険料控除、地震保険料控除など》
社会保険料、生命保険料、地震保険料などを負担していた場合、控除を受けることができます。また、生計が同じ親族の国民年金保険料を負担している場合でも、社会保険料控除を受けることができます。
《住宅ローン控除》
住宅を買ったり、リフォーム工事をしたりするために住宅ローンを借りた場合で、一定の条件を満たせば、住宅ローン控除を受けることができます。
《寄附金控除》
国や地方自治体、公益法人・認定NPO法人への寄附金、あるいは特定の政治献金などは、寄付金控除を受けることができます。
《雑損控除》
本人、あるいは扶養家族が、災害や盗難に遭い、住宅や家財に被害を受けた場合などは、雑損控除を受けることができます。この場合、罹災証明書、盗難届などが必要です。
医療費を多く負担している、保険料を支払っている、ふるさと納税をしている場合などは、確定申告で控除を受けましょう。所得税が還付される場合があります。
文・井上通夫(行政書士・行政書士井上法務事務所代表)/fuelle
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