コンビニでおなじみの同じ地域に複数店舗を出店する「ドミナント出店」。実は、地域のみならず1つのビルに同業種が集中出店する形がトレンドになりつつあります。医療モールの成功例に見る、「ビル型ドミナント戦略」とはいったいどういったものなのでしょうか。この記事では、ドミナント出店や、医療ドミナントの成功例から学べることについて考察していきます。
ドミナント出店とは何か
「ドミナント出店」とは、チェーンストアが同じ地域に集中して出店することです。ドミナント戦略とも呼ばれます。コンビニが代表的ですが、地域を絞って出店することにより、地域での認知度が高まるほか、商圏に合わせた品ぞろえや広告が可能になり、店舗を効率よく運営することが可能です。同じ地域に固まっていることで、配送コストが下がるなどの効果もあります。
コンビニのほかでは、大手外食チェーンが複数ブランドを同じ地域に展開する例も見られるでしょう。看板が同じのコンビニと異なり、外食は店名が違うと同じチェーンとは気づかない場合がありますが、認知さればポイントカードの利用者にとっては利便性が高くなります。
医療モールに見るビル型ドミナントの成功例
コンビニによって確立されたドミナント出店ですが、最近では1つのビルに同業種が出店し地域のシンボルになる「ビル型ドミナント」を目にすることが多くなりました。その代表的な成功例が「医療モール」です。医療モールは1つのビルに5~6科目の医院が同居する施設のことを指します。必ずしも駅前や繁華街である必要はなく、マンションが多いような人口密集地であれば住宅街でも集客が十分見込めます。
小規模ビルの経営を目指すオーナーにとっては、テナントを誘致しやすいのが大きなメリットです。医療モールは、特殊な科目を入れる必要はなく内科、整形外科、歯科、眼科、皮膚科など誰でもかかるような一般的な科目があれば問題ありません。開業する側にとっても、入院設備や手術室などが不要なため、「出店コストが低い」というメリットがあります。
医療モールは2、3階建てにプラス駐車場というのが一般的なスタイルですので、小規模ビルを経営するなら格好の業種といってよいでしょう。もし、医療モールの開業を目指すなら、ビル経営やテナント物件に特化した不動産会社に相談してみるのが早道かもしれません。なぜなら、店舗特化であれば開業後のアフターサービスやメンテナンスの面でも安心だからです。
特徴あるテナント構成で認知度アップ
医療モールの成功例に学ぶことは、「地域のシンボル」になることです。特徴あるビルにすることで、「○○ならあのビルへ」という地域住民への貢献を兼ねた経営が可能になります。「学校の近くには文具店が必ずある」というのは昔からの定説です。学生街であれば学生向けのテナントに特化するのも1つの方法でしょう。
ビル型ドミナントでは、飲食ビルもよく見かける形態です。飲食は人によって好みがさまざまなので、1つのビルに和食、洋食、中華、焼き肉、喫茶など各ジャンルの店がそろっていれば、利用者にとっては選択肢が多く、魅力的な施設といえるでしょう。大規模ビルでは、マニア系の店舗が集中する東京の「中野ブロードウェイ」が有名です。
しかし、同ビルほど認知度が高ければ、自社で宣伝しなくてもマスコミが雑誌やWEBで紹介してくれるケースが多くなるため、広告費用をあまり掛けなくて済むのは大きいでしょう。小規模ビルであっても、特徴あるテナント構成で認知度がアップすれば、地元のタウン誌で取り上げてくれることが期待できます。
このように、各形態によるドミナント戦略の成功例は多く、平凡なテナント構成のビルよりは発展の余地は大きいといえるでしょう。立地の特性に合わせたテーマをいかに選択するかがカギを握りそうです。医療モールの成功例を参考に、経営するビルが住民に認知され、「地域のシンボル」に発展すれば、喜ばしい限りです。(提供:ビルオーナーズアイ)