2019年8月22日11時時点に神田卓也さんに直接聞いた最新の相場観と戦略をご覧下さい。(提供:羊飼いのFXブログ※チャート付き)
現在の為替相場の傾向や相場観
足元の米ドル/円は、106.00~106.20円が下値支持ゾーンとなる一方、106.70~107.00円は上値抵抗ゾーンとなっている。米ドル/円は本日22日(木)も、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長のスピーチ待ちで、レンジ内の推移が続きそうだ。なお、パウエルFRB議長のスピーチは米ワイオミング州ジャクソンホールで本日22日(木)から始まる経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)のプログラムのひとつ。議長スピーチは、明日23日(金)の日本時間23時開始が予定されている。今年の会議のキャッチコピーは「金融政策の課題」であり、今まさに市場が関心を寄せているテーマが演目だ。米中貿易戦争の激化などから世界景気の先行きが不安視される中、市場は米9月利下げを100%織り込み、年内にもう一度の利下げを見込んでいる。一部には9月の利下げ幅が25bp(0.25%)ではなく50bp(0.50%)になるとの思惑もくすぶっている。ただ、パウエルFRB議長は10年ぶりの利下げを決めた7月米連邦公開市場委員会(FOMC)後の会見で「長期的な利下げサイクルの始まりではない」と市場の追加利下げ観測をけん制。昨日21日(水)に公表されたFOMC議事録にも、追加利下げへの明確な手掛りは見られなかった。
現在の為替相場の戦略やスタンス
今回のパウエルFRB議長のスピーチでは、市場の過度な緩和期待が裏切られるリスクに注意が必要だろう。市場がスピーチの内容を「追加緩和に前向きではない」と受け止めればドル高が進み、米ドル/円が107.00円を突破する可能性もある。しかし、市場の失望度合いによっては株価が値崩れを起こし、106.00円付近まで押し戻される展開もありうるだろう。パウエルFRB議長は先行きの金融政策ついて明確な方向性を示す事はないと見ており、今回のスピーチが米ドル/円相場のトレンドを左右するイベントになる公算は小さいと見るが、短期的な乱高下を引き起こすリスクイベントとなる可能性は十分にあると考えている。
神田卓也
株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役調査部長上席研究員。1987年福岡大学法学部卒業後、第一証券(株)(現三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社)を経て、1991年(株)メイタン・トラディション入社。インターバンク市場にて、為替・資金・デリバティブ等の取引業務を担当し、国際金融市場に対する造詣を深める。2009年7月(株)外為どっとコム総合研究所入社。
羊飼い(ひつじかい) FXトレーダー&ブロガー
「羊飼いのFXブログ」の管理人。2001年からFXを開始。ブログで毎日注目材料や戦略を執筆配信中。トレードはスキャルがメインで超短期の相場観には自信あり。