図1
(画像=松井証券)

今週の総括

★米市場の心理回復や下落の反動等で少し戻すも、米FRB議長講演を控えて様子見モード

図2
(画像=松井証券)
図3
(画像=松井証券)

今週の日経平均は、少し反転したものの売買代金も低調で、様子見傾向が強い1週間となった。

先週の株価下落の大きな要因の1つである、米国債券市場の長短金利逆転現象が解消されたことで、米国の市場心理が回復したことや、一部の企業の好決算などを受けて米国株が上昇した。これに加えてドル円レートが1ドル106円半ばで安定したことや、新たなマイナス材料がほとんど無かったことが市場心理回復に寄与し、先週までの下落の反動となって日経平均は少し回復した。しかし、週末に米ジャクソンホール会議における米FRB議長講演を前に様子見モードが強まり、東証1部売買代金も1.5~1.7兆円と低水準の推移となり、結果として先週末比292円高の小幅回復で引けた。

業種別にみると、不動産、証券、海運、建設、小売、自動車、機械などの上昇幅が大きい。一方で、鉱業、電力・ガス、非鉄、精密機器などは下落している。8月を通せば、証券、不動産、小売、精密機器、陸運などが健闘する一方で、資源、鉄・非鉄、海運、銀行・保険が弱い。市況より直近の決算を反映している印象。

来週以降の見通し

★米市場次第だが、まだ安心できない印象

日経平均想定レンジ 20,000~21,200円

図4
(画像=松井証券)
図5
(画像=松井証券)

来週の日経平均は、米FRB議長講演に対する米市場の反応次第だが、再度の下落リスクも残されている。

今週の株価は、日米ともに少し回復基調であり、市場心理の改善傾向がうかがえる。しかしそれは、新たなマイナス材料が無かったことで、さらに下がらなかっただけとも言える。株式市場以外では、7月末に2.0%台だった米長期金利は1.6%前後に低下したままだし、リスクオフ局面で上昇しやすい金価格も1,500ドル近辺の高値圏のままである。リスクオフ心理が残されたままという印象が強い。その中で、米FRB議長講演となる訳だが、既にあと1、2回の利下げを市場が織り込み済みとの前提に立てば、講演内容が「あと1、2回」という印象であれば現状維持だが、講演後に米長期金利が低下するようだと、円高を伴いながら株価に下落圧力がかかりやすい。米大統領が追加利下げ圧力を求める可能性も不安要素となろう。「1、2回より多くなる」となると、米景気のさらなる減速不安から株安・金利安が深まる可能性がある。どちらに転んでも下落リスクだ。

9月に入ると、米中摩擦、香港動向、イタリア不安に加えて英国のEU離脱問題など、各地の地政学リスクの動きが活発化する可能性が高まる。国内でも10月の消費税引き上げ後の反動減への関心が高まるだろう。今まで以上に株価がニュースに敏感となりやすい点に注意が必要だろう。

コラム:徒然なるままに

今年の甲子園も熱戦続きだった。その球場近くの老舗食堂が、創業以来50年以上続けた名物の超大盛りカツ丼をやめたそうだ。「お小遣いで食べに来る高校球児も気軽に来て満腹になれるように」と始めた「カツ丼(大)」、ご飯の量はなんと2.8合。やめた理由は、残す人が増えたから。数年前から、スマホで写真を撮り、残して帰る客が増えたという。店主はそれを見て「もったいないし情けなくなって」やめたそう。

他にも、あるジビエ料理店で「人数分以上の料理を注文し、スマホ写真を撮り、8割以上残した客」がいたので、「出入り禁止」を宣言したニュースを見た。店主のコメントは、「命を貰ってその肉で生計を立てる者として、こんなに悲しいことはない」

日本には「もったいない」という文化があったと思う。私の小さい頃は「お百姓さんに申し訳ない」と教えられ、いまだにご飯1粒でも残すことに罪悪感を感じる。お肉に対しても、おそらく世界中で、「生きることは食べること、食べ物を食べることは(家畜の)尊い命を戴くこと。感謝して生きるべき」と教えられた人がいるだろう。

まともなしつけ・教育を受けていなかったとしか思えない。インスタ好き若者特集の記事に「日本食は映えない」とのコメントがあった。日本食は世界でも有数の見映えを重視する文化。彼らも子供時代に家庭でまともな食事をしてこなかったのだろう。「食べ残し」以外にも「予約して来ない」も問題になっている。日本は大丈夫だろうか。

教育で思い出した。最近の小学校は「8+5」を「13」と書くと減点らしい。「8+2」または「5+5」で「10」を作り、「10+3」からの「13」だそう。足し算が苦手な子供に補助的やり方として教えるのはよいが、これ以外を否定するのは馬鹿げている。暗算を否定するなら、「掛け算九九」はどうなるのか。インドでは2ケタ×2ケタの掛け算も暗唱するという。これでは理系分野で敵わなくなるのではないか。日本は大丈夫だろうか。

脱線するが暗算は熟練と似ている。「習得に1万時間」という理論がある。寿司職人も算数ドリルも暗算的に頭や手が反応できて、「プロ」の域に達する。やはり練習時間は必要だと思う。一方で「20時間でできる」という作家がいた。この場合は、「プロ」ではなく、「60点の合格」までの時間数だと思う。達成するレベルが違う基準の話だ。

田村晋一,松井証券
松井証券ストラテジスト 田村 晋一(たむら しんいち)
京都大学経済学部を卒業後、太陽神戸三井銀行(現三井住友銀行)に入行。米国MBA 留学、外資系大手コンサルティング会社勤務等を経て、UBS 証券、ドイツ証券、バークレイズ証券にて銀行セクター担当アナリストとして豊富な経験を積み重ねる。

株式取引は、株価の変動等により損失が生じるおそれがあります。

■株式取引の委託手数料はインターネット経由の場合1日の約定代金の合計により決定し、100,000円(税抜)が上限です
■上場有価証券等書面、取引規程、取引ルール等をご覧いただき、内容を十分ご理解のうえ、ご自身の判断と責任によりお申込みください
■口座基本料は個人の場合には原則無料です
  ※各種書面の郵送交付には、年間1,000円(税抜)をご負担いただく場合があります
■本レポートは、当社が信頼できると判断した情報に基づき記載されていますが、その情報の正確性および完全性を保証するものではありません
■本レポートは、お客様への情報提供を唯一の目的としたものであり、投資勧誘を目的として作成したものではありません
■投資に関する最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようにお願いいたします
■本レポートに掲載された情報の使用による結果について、当社が責任を負うものではありません
■本レポートに掲載された意見や予測等は、レポート作成時点の判断であり、今後、予告なしに変更されることがあります
■本レポートの一切の著作権は当社に帰属します。いかなる目的であれ、無断複製または配布等を行わないようにお願いいたします

(提供:松井証券