【目次】
①ChatworkIPOの基礎情報
②ビジネスモデル解説(執筆=株価プレス管理人)【9/11更新】 ※一部有料会員限定
③IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント 【9/12更新】 ※有料会員限定
- 会社名
- Chatwork株式会社
- コード
- 4448
- 市場
- マザーズ
- 業種
- 情報・通信業
- 売買単位
- 100株
- 代表者名
- 代表取締役兼社長執行役員 CEO 兼 CTO 山本 正喜 /1980年生
- 本店所在地
- 兵庫県神戸市北区谷上東町1番1号
- 設立年
- 2004年
- 従業員数
- 100人 (2019/07/31現在)(平均34.8歳、年収612.9万円)
- 事業内容
- ビジネスチャットツール「Chatwork」の開発・提供、セキュリティーソフトウエア「ESET」の代理販売
- URL
- https://corp.chatwork.com/ja/
- 株主数
- 22人 (目論見書より)
- 資本金
- 914,138,000円 (2019/08/15現在)
- 上場時発行済み株数
- 36,600,000株(別に潜在株式3,984,000株)
- 公開株数
- 9,775,000株(公募600,000株、売り出し7,900,000株、オーバーアロットメント1,275,000株)
- 調達資金使途
- 人材採用費や人件費、広告宣伝費、サーバー費用
- 連結会社
- なし
- スケジュール
- 仮条件決定:2019/09/03→1,440~1,600円に決定
- ブックビルディング期間:2019/09/05 - 09/11
- 公開価格決定:2019/09/12→1,600円に決定
- 申込期間:2019/09/13 - 09/19
- 払込期日:2019/09/20
- 上場日:2019/09/24→初値1,480円
- シンジケート ※会社名をクリックすると外部サイトへ飛びます
- 主幹事証券:大和証券
- 引受証券:みずほ証券
- 引受証券:SMBC日興証券 (SMBC日興証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:SBI証券 (SBI証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:マネックス証券 (マネックス証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:楽天証券 (楽天証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:松井証券 (松井証券の詳細記事はこちら)
- 大株主
- (株)EC studioホールディングス 24,244,400株 60.64%
- ジャフコSV4共有投資事業有限責任組合 3,640,000株 9.10%
- GMO Venture Partners4投資事業有限責任組合 2,184,000株 5.46%
- 山口勝幸 1,686,000株 4.22%
- 山本正喜 1,651,000株 4.13%
- 新生企業投資(株) 1,176,000株 2.94%
- SMBCベンチャーキャピタル2号投資事業有限責任組合 800,000株 2.00%
- 井上直樹 560,000株 1.40%
- 鈴木陽三 423,000株 1.06%
- 春日重俊 322,000株 0.81%
- 業績動向(単位:百万円)売上高 営業利益 経常利益 純利益
- 2017/12 単独実績 968 -249 -230 -232
- 2018/12 単独実績 1,301 -186 -163 -110
- 2019/06 単独中間実績 853 55 56 46
- ロックアップ情報
- 指定された株主は上場後90日目の2019年12月22日までは普通株式の売却ができず(例外あり)
- 調達額(公開株数×公開価格)
- 156億4000万0000円(9,775,000株×1,600円)
- 潜在株数(ストックオプション)
- 3,984,000株
- ビジネスモデル解説(執筆=株価プレス管理人)
-
Chatwork<4448>はビジネスチャットの開発及びサービス提供企業である。同社開発のビジネスチャットツール「Chatwork」は、2011年3月のリリース以降着実に導入企業、ユーザー数が拡大している。またセキュリティ対策ソフトについて、Webを介した通信販売も手掛けている。
尚、登記上の本店所在地は神戸市北区にあるが、大阪市の大阪本社に本社機能を有している。
■Chatwork事業について
同社は自社開発のビジネスチャットツールである「Chatwork」の開発及びサービス提供に加え、「Chatwork」をサービスプラットフォームとして活用した、各種サービスの提供を行っている。
「Chatwork」は基本機能である「チャット」機能に加えて、「タスク管理」「ファイル共有」及び「音声又はビデオ通話(会議)」といった、ビジネスコミュニケーションに必要とされる各種機能をワンストップで提供。
また「Chatwork」では下記特徴により、他社サービスとの差別化が図られている。
・シンプルで直感的なユーザー・インターフェース
・セキュリティ体制
・社外ユーザーとの円滑なコミュニケーション可能
・多数の他社サービスとの機能連携
・多言語対応
働き方の多様化によりフリーランスが増加する中で、フリーランスが顧客とのコミュニケーションを取るツールとして、国産で直感的な操作が可能な「Chatwork」は多くのフリーランスが利用するツールとなっている。
●「Chatwork」利用企業数やユーザー数の推移
2016年12月期以降の「Chatwork」の利用企業数やユーザー数は、下記のような増加となっている。
2016年12月期から2018年12月期の間に、特に登録ID数は2倍近い伸びを見せており、また有料会員である課金ID数も1.5倍以上の伸びを見せている。
●サブスクリプション型の課金モデル
「Chatwork」はサブスクリプション型の継続的な課金モデルである。フリープランを含め4種類のプランが存在する。
フリープランのみの利用も認められており、フリープランの利用者拡大が「Chatwork」躍進の原動力ともいえるが、課金ID数も着実に伸びている。
一度利用を開始したビジネスチャットは顧客の取引先も利用するため、乗り換えのハードルは高い。よって顧客の積み上げにより、損益分岐点を超えた後は手堅いビジネス展開が可能である。
●販売手法
「Chatwork」の販売ルートは下記4種類が存在する。
・フリーミアム Web広告や口コミ等で顧客が自らオンラインにて申し込み
・自社営業 同社が主催するセミナーやイベントを通じ接点を持った企業に対し営業
・代理店 販売代理店経由での販売、2018年1月より本格開始
・OEM KDDIに対して、エンタープライズプランと同等の機能を「KDDI Chatwork」としてOEM提供するもの
尚、OEM先のKDDI向けの販売高は2018年12月期2.3億円で割合は18%である。
■業績推移
2016年12月期 売上高7.0億円、経常利益▲6.3億円、当期純利益▲6.3億円
2017年12月期 売上高9.7億円、経常利益▲2.3億円、当期純利益▲2.3億円
2018年12月期 売上高13億円、経常利益▲1.6億円、当期純利益▲1.1億円
2019年12月期(予想) 売上高18億円、経常利益0.5億円、当期純利益0.6億円
着実に増収を重ねており、2019年12月期はわずかながらも黒字化を予想。Q2(累計)は売上高8.5億円、経常利益0.6億円であり、通期予想達成に向けた進捗は順調である。
公開申請決算期(2018年12月期)は赤字決算であるが、今期Q2時点での黒字化を確認してのIPOとなる。
サブスクリプション型のビジネスモデルであり、ベース部分では今後の黒字維持がなされる見込みである。
■財務状況
2018年12月期末時点で、資産合計10億円に対して、純資産合計5.3億円であり、自己資本比率53%である。
借入金なく現預金6.1億円を有しており、財務状況について特段の懸念事項はない。
■資金使途
IPOにより8.3億円の資金調達を行い、下記の使途を予定している。
・営業、開発人員強化のための人材採用費及び人件費 3.0億円
・知名度向上及び新規顧客獲得を目的とする宣伝広告費 3.3億円
・ユーザー数増加に伴うサーバー増強費用等 0.7億円
事業拡大に向けての人材投資及び宣伝広告費に、主に調達資金は充当される。
■株主状況
山本社長の個人会社であるEC studioホールディングスが、筆頭株主で株主シェア61%である。
VC株主としてジャフコSV4共有投資事業有限責任組合(株主シェア9.1%)、GMO Vencure Partners4投資事業有限責任組合(同5.5%)、新生企業投資(同2.9%)、SMBCベンチャーキャピタル2号投資事業有限責任組合(同2.0%)が存在。VCの株式所有割合は22%となっている。
尚、いずれのVCも90日もしくは株価1.5倍のロックアップ契約を締結している。
■まとめ
国産ビジネスチャットツールとして利用が拡大している、「Chatwork」開発会社のIPO案件である。登記上の本店は神戸市にあるが、本社は大阪市に所在している。
「Chatwork」の利用は無料でも可能であるが、課金型の利用も着実に拡大している。2018年12月期まで赤字が継続していたが、今期Q2で黒字化を達成。サブスクリプション型のビジネスモデルで、課金ユーザー数が積み上がっており、今後黒字の拡大が期待できる状態にある。
着実に利用者数を増やし、2019年12月期に黒字化そしてIPOを果たすことになる。IPOを契機に成長を加速させることができるのか、という点が今後の同社のポイントになると考えられる。