住宅ローンは毎月のしかかるコスト。出来れば減らしたい出費だ。そんな住宅ローンで支払った金額が還付される「住宅ローン減税」と呼ばれるものがあるのをご存じだろうか。今回は住宅ローン減税の制度内容や概要、利用方法を解説していく。

住宅ローン減税制度の概要とは?

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(画像=fizkes / Shutterstock.com)

まずは住宅ローンの減税制度の概要を解説する。住宅ローン減税制度とは、住宅ローンで家を購入する際に、購入者の経済的負担を軽減するための制度のこと。毎年末の住宅ローン残高または住宅の取得対価のうち、少ない方の金額の1%が10〜13年間所得税の額から控除される。所得税で控除しきれなかった分に関しては住民税から控除されるようになっている。

「10〜13年」という部分について、令和元年の消費税引き上げに合わせて、居住開始時期に合わせて控除期間が変わるので注意が必要だ。平成26年3月までに居住開始した場合と平成26年4月から令和3年12月までに居住した場合は控除期間は10年、令和元年10月から令和2年12月に住み始めた場合、控除期間は13年となり、控除率は一緒なのだが最大控除額に差がある。

新築の住宅でなく中古物件にも住宅ローン減税が使用できることも確認しておきたいところだ。やや条件が多いものの、条件に合致するのであれば中古物件にも減税を用いることができる。 一つずつ解説していこう。

住宅ローン減税の対象となるのは?

住宅ローンの減税対象となる物件の対象となるのを解説していく。

住宅ローンの減税対象物件は大きく分けて二つとなっており、
・「新築物件の場合」
・「中古物件の場合」
になる。

自分が新築物件をたてるのか中古物件をたてるのかによって住宅ローンの減税は大きく変わってくるので確認しておこう。

新築物件の場合

まずは新築物件の場合を確認していこう。

・新築もしくは取得日から6か月以内で入居
・住宅ローンを組んだ人の合計所得が3千万円以下
・住宅ローン返済期間が10年以上
・登記簿記載の床面積が50㎡以上
・床面積の二分の一が自身の居住用スペース

新築物件の場合に一番気を付けなければいけないのが「登記簿記載の床面積が50㎡以上」の部分だ。計算方法は後述するが床面積の計算違いで住宅ローンの減税を受けられなかったというのは手痛いのでしっかり確認しておこう。

また登記簿面積は購入した際に人に聞いたものではなく必ず登記簿を確認することが重要。こちらは税法上のものと、契約のものとでは異なる可能性があるという理由からだ。

中古物件の場合

次に中古物件の場合をみていこう。

・新築住宅の条件全部
・耐火建築物なのであれば築25年以内
・耐火建築物以外であれば築20年以内もしくは耐震基準の通過
・生計を同一にする親族は購入には認められない
・贈与された住宅は認められない
・新築住宅の条件全部
・自所有かつ居住するためのリフォーム
・大規模な修繕またはリフォーム
・100万円を超える工事費用の場合
・店舗併用住宅では居住スペースのリフォーム費用が二分の一以上

新築物件の場合に比べて中古物件の条件が多いが、特に気にしなければいけないのは築年数が何年かという点だ。リフォームに関する部分は小規模なリフォーム出ない限り当てはまるところも確認しておこう。

マンションは面積の計算方法にも注意

前述したがマンションの面積の計算方法が少し複雑だ。面積の計算方法として「壁芯面積」と「内法面積」といものがありそれぞれ意味が異なる。壁芯面積とは室内の壁と外側の壁の中央が外枠となった面積。内法面積は室内の面積となる。マンションの面積は「壁芯面積」を使用しているためマンションの床面積が51㎡だったとしても壁芯面積は49㎡だったということもあるので注意が必要だ。

住宅ローン減税の対象となる方の条件

住宅ローン減税の対象となる方の条件を確認していく。

・住宅ローンを使用している
・新築もしくは取得日から6か月以内で入居しており控除を受ける年いっぱいは引っ越しをしない
・住宅ローンを組んだ人の合計所得が3千万円以下
・入居した前後2年で特別控除を使用していない

注意する点としては特別控除を使用しているかいないかという部分だ。不動産を売却する際には3千万円の特別控除や買い替え特例の特別控除が存在しており大きく減税できる。しかし上記の特別控除をうけてしまうと住宅ローンの減税は使用できなくなってしまうので注意しよう。

住宅ローン減税を受けられる融資の内容について紹介

住宅ローン減税を受けられる融資の内容について解説していく。

・民間や独立行政法人住宅引用支援機構、地方公共団体、公務員共済組合、勤務先
・事業団体からの住宅ローンは金利0.2%以上のものに限定(給与所得者に限る)
・事業団体からの補助を受け取る場合は控除した後利息が0.2%以上
・個人的な借入金がない
・前物件所有者から債務を引き継いでいない

住宅ローン減税が受けられる条件の基本的な部分として住宅ローンを使用して住宅を購入しており入居した年から10年かどうかという部分になる。また借入金の有無や特別控除を受けたかどうかという部分を確認しておこう。

住宅ローン減税で戻ってくる金額は?

住宅ローン減税の概要を理解したところで実際に住宅ローン減税でいくらお金が戻ってくるのか解説する。

住宅ローン減税を利用した場合をシミュレーションする

住宅ローン減税のシミュレーション結果から自分がいくら控除できるのか体感してみよう。

以下3つの要因で最大控除額が異なる。

・「居住開始時期」
・「年収」
・「家族構成」

まずは平成26年の3月までに居住開始したパターン

居住開始時期 ~平成26年3月
控除期間 10年間
控除率 1%
所得税最大控除額 200万円
住民税最大控除額 9.75万円

次に平成26年4月から令和3年12月までに居住開始したパターン

居住開始時期 平成26年4月から令和3年12月
控除期間 10年間
控除率 1%
所得税最大控除額 400万円
住民税最大控除額 13.65万円
居住開始時期 令和元年10月から令和2年12月
控除期間 13年間
控除率 1%
所得税最大控除額① 1年から10年までは400万円
所得税最大控除額② 11年から13年
住宅ローンの残りもしくは住宅取得単価×1%または建物取得単価×2%÷3
住民税最大控除額 13.65万円

「共働き」や「夫婦」、「独身」のパターン分けをみていく

共働き
年収500万円
年末の住宅ローン残り3千万円
年間で26万円の減税になる
夫婦どちらか
年収500万円
年間で26万円の減税になる
年末の住宅ローン残り3千万円
独身
年収500万円
年末の住宅ローン残り3千万円
年間で23万円の減税になる

住宅ローン減税は、

・居住年数
・共働きや片方、独身か
・年収

によって減税額は変わり10年間で25万5千円の差が生じる。また繰り上げ返済する際を検討する時は気を付けないといけない部分がある。それは返済期間の10年を切らないようにすることだ。もし10年を切ってしまうと住宅ローンの減税対象から外れてしまうため、住宅ローン減税の対象内で繰り上げ返済をおこなおう。

住宅ローン減税は確定申告で申し込む

住宅ローン減税は確定申告で申し込むために必要書類をそろえて申請する必要がある。国税庁から必要書類をダウンロード、不動産会社と勤務先、住宅ローンを機関から必要書類を入手の後確定申告書(A)に添付して確定申告に臨もう。

必要書類

必要な書類一覧

確定申告書(A) 会社員はの用紙を選択、税務署から入手。
住宅借入金特別控除額の計算明細書 国税庁もしくは税務署から入手
本人確認書類 ・マイナンバーカード
・マイナンバー通知カード
・マイナンバーが記載してある住民票
上記二つは運転免許証またはパスポートと一緒に提出する
登記事項証明書 法務局から入手
不動産売買契約書(請負契約書)の写し 不動産会社から入手
源泉徴収票 勤務先から入手
残高証明書 住宅ローンを組んだ機関から入手
耐震基準適合証明書または住宅性能評価書の写し 不動産会社から入入手
認定長期優良住宅や認定低炭素住宅の認定書の写し 不動産会社から入手

用意する書類が非常に多いが年間数十万円の控除を受けるためにめんどくさらがらずに確定申告を行おう。多くは自身が契約した不動産会社から入手できるため購入時に住宅ローンの節税について考えておき書類一式を用意するのがベストだ。大体がすぐもらえる書類だが源泉徴収票だけは会社に申請してすぐもらえるもではないため早めの申請を心がけよう。

住宅ローンを利用しない場合は「投資型減税」も利用可能

住宅ローンの減税をみてきたが住宅ローンを組まなくても投資型減税を利用すれば減税が可能だ。条件としては「耐久性に優れている」や「省エネルギー」の住宅を購入した場合、「投資型減税」が利用できる。

かかり増し費用×床面積(㎡)×0.1=控除額

~平成26年3月長期優良住宅では控除対象限度額500万円。平成26年4月~平成33年12月長期優良住宅、低炭素住宅650万円となる。 住宅ローンを使用しない方は減税する方法が「投資型減税」のみとなってくるため活用しよう。

住宅ローン減税を利用して賢く手取りを確保しよう

今回は住宅ローン減税の制度内容や概要、利用方法を解説してきた。住宅ローンの減税方法は「新築物件か中古物件か」、「年収」、「居住年数」、「共働きや片方、独身かどうか」、「年収」といった面で差が生じてくる。また住宅ローンを使用しない「投資型減税」もあるため自分の状況に応じた形で減税が可能となる。利用できる制度は全てフル活用して減税を使いこなすことがお得にするコツだ。