自分が死ぬまで保障をしてくれる「終身保険」ですがその特徴をしっかりご存知だろうか。似た保険の中に「定期保険」があるが、被保険者の中には「終身保険」と「定期保険」の違いを理解しないまま加入している方もいる。しかし「終身保険」と「定期保険」ではカバーする部分もおりる保険金の額も異なるため自分にあった保険を選択いていないとはっきりいって損失といえるだろう。今回は「終身保険とは何か」や「定期保険との違い」という基礎的な部分から終身保険の種類や解約返戻金までわかりやすく解説する。

終身保険とは?

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(画像=Keith Bell / Shutterstock.com)

テレビCM等でよく耳にする保険の一つが「終身保険」ではないだろうか。終身保険は一生続く保険として人気を誇っており、掛け捨てではなく貯蓄性があることも人気の要因となっている。しかし終身保険といえども複数種類が存在しており詳しく保険内容を確認して保険を申し込んだという方は少ないのではにだろうか。終身保険の種類の前にまずは「終身保険とは何か?」という基礎的な部分を解説する。

定期保険との違いは保証が一生涯!

終身保険は死亡保険の一種で、死亡保険とは被保険者が亡くなった時や高度障害に陥ってしまった場合に保険金がおりる保険タイプで、被保険者に万が一があった場合を想定して申し込む保険となる。

その中でも定期保険と終身保険の保険タイプは似ており、定期保険は一定期間を設定して保険料を支払いその期間で万が一があった場合に保険金がおりるのに対して、終身保険は一生涯保障期間となるのが特徴だ。終身保険は定期保険と違って途中で解約しなければ万が一の時は死亡返戻金を受け取ることができ、解約した場合は解約返戻金を受け取ることができる。また終身保険の保険料はずっと保険料が一定なのも特徴だ。

終身保険の保険料の支払い方法は?

終身保険の保険料の支払い方法は二つあり、「終身払い」と「短期払い」この二つ。終身払いはその名の通り自分が死ぬまでの間ずっと保険料を支払う制度となり短期払いの場合は10年や15年、20年といった短期間を最初に設定することで本来終身まで支払う予定だった保険料を先に支払い終えるという制度だ。

「終身払い」と「短期払い」のどちらがお得なのかというと「終身払い」だと一回の保険料を安く抑えることができるかわりに全体で支払う保険料が「短期払い」よりお多くなる傾向があり、「短期払い」だと一回に支払う保険料が多い代わりに全体で支払う保険料が少なくなる傾向だあります。また一時払いとよばれる保険料を一括で支払う制度もあり保険料を安く抑える制度をうまく利用すると賢く終身保険を利用することが可能だ。

終身保険のメリット

終身保険のメリットはなんといっても一生涯続く保障を受けることができる点だ。終身保険は他の保険とは異なり、被保険者がなくなれば必ず保険がおりることとなっているため自分が死亡したとしても保険金を家族や友人に残せるという安心感は大きい。また定期保険と違い「掛け捨て」の保険ではなく「積み立て」の保険であるため貯蓄性を備えておりと終身保険を途中で解約しても解約返戻金として受け取ることが可能だ。

終身保険デメリット

終身保険のデメリットとしては「貯蓄性」をもっているがゆえに保険料が高くついてしまうことだ。また短期払いではなく終身払いとしていたら高い保険料を一生支払わなければいけないことから負担が非常に大きいことが挙げられる。

貯蓄性が高い終身保険となっているのだが実際に自分で運用した方が大きな資金を残せたという場合もあり一概に終身保険を使用したからといって大きな金額を残すことはできないのも注意したい。解約返戻金については短期だと少なくなってしまうため終身保に加入したものの「すぐに保険を変更したい」といったケースだと損失が大きくある恐れがある。従って終身保険は長期での運用を必ず視野にいれての加入をこころがけよう。

終身保険の種類

終身保険についての特徴や定期保険違い、終身保険のメリットやデメリットをみてきたが終身保険の基礎は理解しただろうか。

次は終身保険の中でもさらに詳しい種類がある以下の4つだ。

・低解約返戻金型終身保険
・積立利率変動型終身保険
・変額保険(終身型)
・外貨建て保険

それぞれの保険について詳しく解説する。

1.低解約返戻金型終身保険

終身保険には「解約返戻金」と呼ばれる制度があり本来は被保険者がなくなるまで続く保険なのだが途中で保険を解約した場合に保険金の一部が戻ってくる仕組みがある。終身保険は掛け捨ての保険ではなく「積み立て」の保険商品であることから途中で保険を解約したとしても途中までに積み上げていた保険料は返金される仕組みだ。

一般的なパターンとしては保険料の支払いを開始して日が浅い場合には解約返戻金はそんなにもらえず、何十年かたつと自分が支払った保険料よりも大きい金額を解約返戻金としてもらうケースもある。「解約返戻金」の基礎知識を踏まえて一番最初に解説する終身保険が「低解約返戻金型終身保険」だ。

低解約返戻金型終身保険は終身保険の中でも人気が高い商品となっており支払う保険料が安いのが特徴である。何故支払う保険料が安くてすむのかというと解約返戻金が支払った保険料に対して約70%と少ないことが理由だ。低解約返戻金型終身保険では長期で保険を運用することを前提にしていれば大きく得をする保険というおとができるが短期解約となってしまうと、ただでさえ低い解約返戻金がさらにすくなくなってしまうため短期運用をしようと考えているのであれば異なる保険選択したい。

2.積立利率変動型終身保険

積立利率変動型終身保険は市場金利の変動によって積み立て利率が見直される仕組みの終身保険だ。また積み立て利率だけでなく保険金や解約返戻金の金額も市場金利によって変動するため市場金利がどう変動しているかを考慮しなければいけない。

基本的な終身保険よりもインフレーションやデフレーションといった経済状況に合わせた運用ができることがメリットとなるが逆に市場金利がうごくことによって通常の終身保険のほうが利益が高いといった状況も考えられることから表裏一体のしくみといえる。しかし死亡保険金に関しては最低保証があるため一定レベルの保険金は担保しつつ市場金利に対応した終身保険にしたい方にはおすすめだ。

3.変額保険(終身型)

変額保険(終身型)は終身保険の中でも「投資信託」に近い金融商品だ。投資信託とは株式や債券といった様々な金融商品を集めたものであり様々な資産に投資して、分散投資をすることでリスクに対してのリターンをコントロールする。投資という形で株式や債券を購入して運用しているためどうしても保険会社の運用結果によってはマイナスとなってしまう可能性も否めないのが実情だ。

従って運用の成績によって解約返戻金や死亡保険金に上乗せされる仕組みの変額保険(終身型)の見極めはどこでおこなうのかというと保険会社が運用している資産の状況や誰が運用をおこなっているかを確認する必要がある。「リスク資産である株式の比率が高まっていないか」や「短期間で異常な収益率をたたきだしていないか」といった部分をしっかり確認するようにしよう。

積立利率変動型終身保険と同じく死亡保険金の最低保証制度がっても運用タイプでない方を選んだほうが最終的な保険金の総額が大きかったという場合もあるので要注意な保険のタイプだ。

4.外貨建て保険

積立利率変動型終身保険や変額保険(終身型)と同じで運用によってリスクやリターンが変化するタイプが「外貨建て保険」だ。通常支払われた保険料は円建てで管理されるのだがアメリカドルや豪ドル、ユーロドルといった形で外国の通貨が使用される。

こちらの商品は最終的に円安に行く方向に賭けるのであれば検討すべき商品だ。円安に働くということはドル建てでもっておいて解約する際に日本円に変換することで受け取る金額が増加するからだ。しかしこちらも運用によって解約返戻金や死亡保険金の額が大きく変わってしまうため資産運用の知識がないのであれば手をだしにくい商品ではある。

終身保険の活用事例~こんな人におすすめ~

終身保険の種類や特徴、終身保険のメリットやデメリットを解説してきた。終身保険のメリットやデメリットから「終身保険がどのような人におすすめなのか」という部分を解説する。

1.お葬式費用に充てたい

死亡保険金をつかうことで残された家族のお葬式費用にあてたいという方は結構多い。終身保険は自分に万が一があった際には必ず保険金がでる仕組みとなっているのでお葬式費用として十分あてにしておくことができるのがメリットといえるだろう。自分の面倒は自分で見るといった気概を持っている人や、万が一の出費が厳しいため生命保険をかけておくことで費用を捻出したいといった方におすすめだ。

2.相続税対策として

本来であれば被保険者がなくなり遺産相続となると相続税を支払わなければいけないのだが、生命保険をかけ死亡保険金としうけとることで税金を安くおさえることが可能だ。こちらはある程度資産を持っている方へおすすめとなるが税金をすこしでも安く抑えたいのであれば検討してみる余地があるだろう。

3.終身保険の貯蓄性を利用した老後資金の蓄えに

前述したが終身保険は貯蓄性があることから老後資産の蓄えにすることが可能だ。従って年金だけでは将来が不安と考えている方におすすめといえるが資産運用目線で保険をみないと思わぬ損失をだす可能性があることを忘れてはいけない。終身保険はあくまでも自分に「万が一」があった時に最大の恩恵を受けることができるような設計となっているので解約返戻金をあてにした終身保険の利用は微妙だ。

4.終身保険の貯蓄性を利用した子供の学費資金に

終身保険の貯蓄性を利用することで子供の学資資金に当てたいという方もいる。終身保険は一定額を積み立てていく性質をもっているため自身が簡単利用することができない終身保険にいれておくことと一定期間をすぎれば解約返戻金もついてくることを利用する形だ。

解約返戻金も長期間運用せれば自身が支払った額よりも大きくもらえることがあるため、死亡保険金だけでなく解約返戻金も視野にいれた学費資金とすることができる。しかし学資資金に終身保険を用いるのではなく他資産運用等を利用した方が学資資金とするのには向いているため解約返戻金をあてにした終身保険の利用は微妙ともいえる。

ご自身にあった生命保険選びを

今回は「終身保険とは何か」や「定期保険との違い」という基礎的な部分から終身保険の種類や解約返戻金までわかりやすく解説してきた。一口に終身保険といえども「低解約返戻金型終身保険」や「積立利率変動型終身保険」、「変額保険(終身型)」、「外貨建て保険」といった形で様々な終身保険のタイプがあることが分かった。

他の生命保険や医療保険と違って終身保険は基本的に被保険者がなくなるまで面倒をみてくれる保険だ。従って途中で違うなと感じても安易にできる保険ではく、短期で解約してしまうと解約返戻金が少ないといった損失を被ってしまうだろう。

しかし自分のライフスタイルに合わせた終身保険の選択を行うことで長期的にみてお得になるものが多い。また運用を行うタイプに終身保険はさらに注意が必要だ。保険会社は資産運用会社やヘッジファンドではないので運用に関する力が大きいとは言いにくい。

従って「運用を行った結果損失をだしたけど一番最初にリスクは説明したから文句はないよね」といったケースに陥りやすいのが問題だ。事実バブル崩壊の時は運用がまわらなくなり保険金が滞る保険会社が多かったという過去があるため、今後の経済停滞や第二のバブル崩壊等が発生してしまった際には大きな損失を被ることになるだろう。

まずは自身にあった終身保険や生命保険といった部分で探していき、運用タイプなのであれば保険とはみずに「投資商品」として選別することが重要だ。総じて自分の生活状況や将来展望に沿った終身保険を選択することが重要である。