ビルを安定経営するための選択肢の一つに「サブリース」(一括借上)があります。借受料を安定的に得られるほか、賃料滞納への対応や空室リスクに対する対策、トラブルやクレーム対応などを任せられることなどもメリットです。今回はビル経営におけるサブリースを利用する3つのメリットについて解説します。

サブリースの仕組みとは?

ビル経営,サブリース
(写真=fizkes/Shutterstock.com)

サブリースでは、賃貸不動産を所有しているオーナーとサブリース事業者が転貸借を目的とした原賃貸借契約(サブリース原契約)を結ぶのが一般的です。ただ、民法第612条1項では本来オーナーから不動産を借りた人が無断でその賃貸不動産を第三者に転貸することは禁じられています。しかし、この原賃貸借契約を事前に結び、「第三者に転貸することをオーナーがあらかじめ承諾している」という形をとれば転貸は可能です。

サブリース契約の場合、賃貸不動産をサブリース事業者がオーナーから一括で借り上げます。そのため一定の賃料を継続的に安定して受け取ることが見込めるほか、管理もサブリース事業者が担うことで、オーナー側の手間を軽減することも可能です。賃貸住宅でもビルのオフィスや店舗でも、サブリースの仕組みやメリットは基本的に同様です。以下では3つのメリットについて詳しく解説します。

メリット1:空室リスクに対する対策

ビルオーナーが自らオフィスや店舗の入居企業を募集する場合、常に空室リスクと対峙することになります。空室が増えた場合はビル経営における売上が減収となるため、ビルオーナーは空室にならないようにすることが重要です。例えばオフィスや店舗物件に強い不動産業者を選んで、定期的に情報掲載に関する打ち合わせをすることなどが必要になります。

こうしたリスクや手間を軽減できるのがサブリースのメリットの1つ目です。サブリース契約をすることで賃料がサブリース事業者から継続的に支払われるため、売上の安定化のほか、空室リスクに対する精神的ストレスからも解放されます。何より空室を回避するために対策に取り組む手間がなくなるため、ビル所有者がオーナー業に専念できることもサブリースの良さといえるでしょう。

また、さまざまなビルとサブリース契約を結んでいる実績が豊富なサブリース事業者を選定することも肝になります。なぜならマーケット状況やエリア特性に関する知識や、テナント募集のノウハウなどの点でビルオーナーよりも長けているからです。

メリット2:家賃滞納への対応

ビルオーナーがサブリース事業者と契約を結んだ場合、原則的には家賃の回収もサブリース事業者側の責任となります。そのため家賃を滞納するテナントがいたとしても、オーナー側で特に何かしなければいけないことはありません。家賃が振り込まれたかどうかもサブリース事業者側が都度確認してくれるのです。また家賃の滞納への対応は滞納しているテナントによって非常にわずらわしい手間となります。

特に支払い交渉はケースバイケースで非常に難航することもあり、サブリース事業者へ丸投げできることは大きなメリットになるでしょう。

メリット3:トラブルやクレームの対応

オフィスや店舗を借りている企業などからの問い合わせの対応は、本来は日々の業務として手間がかかるもので人手も時間も必要です。もちろんビル所有者が一人で可能なものではありません。その点サブリース契約の場合は、サブリース事業者側がその業務も引き受けることになります。

契約内容の吟味は必ず行う

このようにビルを安定経営しようと考えた場合、サブリース契約は一つの選択肢となりえます。ただサブリースの場合、事業者から支払われる賃料は契約時に満額の何%という形で決められるため、収益の最大化を図りにくいという点がデメリットです。ビルオーナーがサブリース契約を結ぶ場合は、保証される賃料の改定に関する内容なども含め、契約内容についてしっかりと吟味することが大切になります。(提供:ビルオーナーズアイ