更地や貸家建付地を所有していると、固定資産税や都市計画税、事業税などが課税されます。税金は、賃貸経営を行う上のコストです。それらを合法的に減らし、資金の流出を防ぐ必要があります。不動産賃貸経営でかかる税金の種類とその節税方法を見ていきましょう。
固定資産税・都市計画税
土地オーナーにとって最も馴染みが深い税金は固定資産税かもしれません。毎年1月1日(賦課期日)現在の固定資産台帳に所有者として登録されている人に普通徴収の形式で課税されます。よって、年の途中で新築物件を建築した場合は、翌年から課税されることになります。固定資産税は、土地や建物、設備などの固定資産を所有している限り毎年課税されます。
さらに、法律で定められた都市計画区域内に土地があれば、都市計画税も課税されます。この2つを「保有税」と呼ぶこともあります。
固定資産税の計算式
税額=課税標準(固定資産評価額)×1.4%
都市計画税の計算式
税額=課税標準(固定資産評価額)×0.3%
したがって、保有税の税率は1.7%(1.4%+0.3%)です。
では、固定資産評価額はどのようにして決まるのでしょうか。
土地は公示地価などの7割程度、建物は建築費の5割程度が目安です。マンションの場合、敷地面積に対して所有持ち分が計算され、それに課税されます。戸建に比べると土地の持ち分が少ないため、土地の固定資産税の負担は小さいと言えます。
土地、家屋の価格は基準年度(3年ごと)に評価替えされ、原則3年間は据え置かれます。さらに、土地については負担が急激に増えないようにするため、負担調整措置等の特例があります。
保有税の計算の特例
土地の上に賃貸住宅を建築すると建物の分の税金が発生しますが、単純合計額よりもは少なくなります。土地の上に住宅を建てると、土地・建物ともに軽減税率が適用されるからです。
固定資産税 | 都市計画税 | ||
税率 | 1.4% | 0.3% | |
課税標準の特例 | 小規模住宅用地(200平方メートル以下/戸) | 評価額×1/6 | 評価額×1/3 |
一般住宅用地(200平方メートル超/戸※) | 評価額×1/3 | 評価額×2/3 |
※ 家屋の床面積の10倍が上限
このように、更地のまま保有するよりも、マンションや賃貸住宅を建てて住宅地として活用したほうが、固定資産税の軽減につながります。
建物についての特例(新築住宅に対する軽減)
新築住宅で下記の表に該当する場合は、居住部分の120平方メートル以下の部分に相当する固定資産税が1/2に減額されます。
構造 | 床面積 | 適用期間 | |
木造 | 50平方メートル以上(共同住宅は40平方メートル以上) 280平方メートル以下、120平方メートルを超える場合は120平方メートル相当分を対象 | 3年間 | 3階建て以上の耐火または準耐火構造は5年間 |
準耐火構造 | |||
耐火構造 |
三大都市圏特定市の市街化区域農地を転用して新築した一定の貸家住宅、及びその敷地
表題の不動産については、宅地並みに評価したうえで課税標準となるべき価格の1/3を課税標準とします。また2020年3月31日までに一定の中高層耐火建築物である賃貸住宅を建築し、貸家の用に供している場合は、居住部分の100平方メートル分に相当する固定資産税の税額が2年間は1/3に、その後の3年間は1/2に減額されます。さらに、貸家住宅の敷地(旧農地)についても3年間は11/12に減額されます。
事業税
不動産貸付業は、第一種事業として個人事業税の対象となります。戸建て賃貸やアパートは5棟以上、区分所有の場合は10室以上の規模で賃貸経営をしている場合、不動産所得が290万円を超えると個人でも5%の事業税がかかります。
事業税額={(総収入金額-必要経費)-290万円}×5%
所得税
個人で賃貸経営を行う場合、不動産所得に所得税が課税されます。所得税は総合課税なので、他に給与所得などがある場合は、これらを合算したうえで課税されます。所得税は累進課税方式なので、総所得が高ければ高いほど税率が上がります。さらに、住民税が原則10%課税されます。
賃貸経営を始めた当初は、取得にかかった費用や減価償却費など経費計上できる金額が大きいため不動産所得は赤字になり、損益通算後の課税所得が減ることで節税になります。しかし、年月が経つと減価償却が終わるため経費計上できる金額が減り、節税効果が薄れてきます。
所得税を節税する方法の一つに、青色申告があります。一定条件を満たせば青色申告特別控除(65万円)が使えたり、事前に届け出た専従者給与を経費にできたりします。
貸借対照表や損益計算書を作成し提出する必要はありますが、これらを使うと大幅に節税することができます。(提供:YANUSY)
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