転職,貯金
(画像=seamind224/Shutterstock.com)

目次

  1. 「失業保険」だけではなぜ厳しいのか
  2. 転職活動自体にもお金がかかることも
  3. 「海外就職」にはさらにお金がかかる
  4. では預貯金はいくらあればいいのか

転職を考えている、しかも、できればキャリアアップを考えたいと思っている人は、辞めるべきその時に備えて、まず貯金を始めるのが良いでしょう。なぜかというと、お金が転職やキャリアの自由度を上げるからです。給与がしっかり出る会社員のうちに、お金を貯めておき、来たるジャンプに備えるのが有効です。

「失業保険」だけではなぜ厳しいのか

そもそも、なぜキャリアアップにお金が必要なのでしょうか。

会社をやめると、まず当面の生活費の問題があります。振り込まれていた給与はなくなり、社会保険や家賃・光熱費などの支払いは発生します。ここで預貯金が全くないと、いきなり苦しい戦いになってしまいます。

転職するなら失業保険を貰えばいいじゃないか、と思われるかもしれません。しかし、自己都合の退職で失業保険が出るのは、原則、退職後3ヶ月経ってから。その人の生活レベルにもよりますが、失業保険だけではお金が足りないこともあります。

「早く次の会社を決めなければ生活できない」と焦って就職活動することにもなり、結局不本意な結果に終わることもあるでしょう。

また、預貯金を切り崩しながら生活するのは、精神衛生上、辛いものです。ひたすら預貯金額がなくなっていくのを眺めていると、「このままで大丈夫なのか」という恐怖が襲ってくることもあります。最初はよくても、職が決まらないまま数ヵ月が経過すると、だんだん自信が揺らいでくる、という人もいます。

空白期間が長くなる焦りもあり、「もうなんでもいいから決めちゃおうか」となる可能性があるのです。これでは、キャリアアップどころか、なんのために転職活動を始めたのかわかりません。

また失業保険をもらうには定期的な面談が必要なため、日本国内にいる必要があり、海外就職を考えている人もキャリアの幅を大きく狭めてしまいます。

転職活動自体にもお金がかかることも

実は転職活動自体にも、お金がかかることがあるようです。

「マイナビ転職」の調査によれば、転職活動にかかる費用は平均8万円*1という結果が出ています。 これには交通費や衣類、写真代などが含まれます。スーツ代や靴代なども必要になるかもしれません。ちょっといいな、と思われる職業が遠方だったりすると、交通費がかさみます。

つまり、お金がないと、そもそも就職活動自体がままならなくなる可能性があるのです。 さらに、キャリアアップのために転職する場合は、お金は自由度を高めるツールとなります。

活動中に希望の会社が見つかったのに、「スキル自体が足りない」事実に直面するケースもあるでしょう。

例えば、希望の会社の採用条件で「社内公用語が英語」だったり、「TOEIC900以上」「簡単なプログラミングができること」などと言われる場合。まさにスキルアップが望める転職に繋がるのですが、なんとか短期間で足りないスキルを向上させようと思うのなら、お金が有効です。転職期間は、まさにスキルアップの絶好の機会となるからです。

こうしたニーズに答えているのが短期間で通うことができる学校です。

例えば、フィリピンには英語学校がたくさんありますが、ここには転職期間を利用して短期留学をする日本人ビジネスパーソンが大勢います。「職場を退職した期間を利用してスキルアップする」というのも、お金があれば有効なのです。1ヵ月くらいあれば、日常会話レベルなら身につくでしょう。

ただし、物価が安いと言われるフィリピンでも、渡航費や学費、ビザ代などを含めると、数十万単位の預貯金が必要になることが一般的です。長期間の留学になれば、転職活動をしていないので認定日に面談に行くこともできず、失業保険がもらえない可能性が高くなります。

お金がなかったり、「スキルが足りないから」と諦めていると、いつまで経っても「キャリアアップ」には繋がらず、不本意な仕事をし続けることにもなりかねません。

「海外就職」にはさらにお金がかかる

今の時代、グローバル化する社会を見越して、キャリアアップのための海外就職を考える人も少なくないかもしれません。しかしこの海外就職、ほとんどの場合、やはりお金がかかります。

まず渡航費、現地での交通費、宿泊費が必要です。運よく決まってからも、現地で家を探し、日本から荷物を送り、電気やインターネットを契約し、携帯電話など、必要なものを一通り揃えると、生活費用が安いと言われているアジアですら、数十万は軽くかかってくるのが一般的です。

さらにビザ発給のための待機期間があったり、日本に一時帰国しなくてはならないこともあり、都度、滞在費や渡航費がかかります。書類の翻訳料金や、大学の入学証明などを求められるケースも少なくありません。

もちろん、中には寮費や渡航費など、ある程度サポートする企業もあるにはあるのですが、生活が落ち着くまでは一定の出費があります。

また、会社の実情は入ってみないとわからないもの。

入ってみて、再度「あ、しまった」と思ったときにすぐに動けるかどうかも、お金次第です。会社によっては、試用期間に辞めた場合には、最初に会社が負担した費用を返還せよ、などというところもありますから、そのときに、いやいや残るか、それとも「はい次」と転職できるかを考えることになります。借金などしてしまうと、本当に辞めるに辞められず、貴重な時間を無駄にすることになります。

つまり、お金は自由を担保するのです。経済評論家の山崎元さんも、著書の「人生を自由に生きたい人はこれだけ知っていればいい お金で損しないシンプルな真実」で「お金に関する3つの結論」として、

「お金は人生の自由を拡大する手段だが、あくまでも手段にすぎない」*2
と言っています。

では預貯金はいくらあればいいのか

キャリアアップの転職において、預貯金は大きな力になります。

ですから、今は不本意な職場でストレスが溜まっているかもしれませんが、散財するのはお勧めしません。

ではいくらあれば良いのでしょうか。

これはその人の生活レベルや住んでいる場所にもよります。少なくとも、失業保険が出るまでの期間、最低限で3ヵ月分生きていけるだけのお金は必要でしょう。ただし、キャリアアップを本気で目指すのなら、3ヵ月分では少々心もとないです。できれば1年、働かないで生きていけるだけのお金があれば、チャンスがきたときに戦略的に動けるでしょう。

今は嫌な職場でストレスが溜まって早く辞めたい、と思われるかもしれませんが、思い出してほしいのが「お金=自由」だということ。預貯金額に余裕があるほど、自由に就職活動ができ、キャリアアップも望めることは十分に考えてみましょう。

出所)

*1 「マイナビ 転職 ノウハウ」

*2 「人生を自由に生きたい人はこれだけ知っていればいい お金で損しないシンプルな真実」山崎元(朝日新聞出版)

(提供:mattoco Life)