40代になると両親の健康が心配になり、少しずつ老人ホームの利用を考えはじめる人もいると思います。また、独身であれば将来施設を利用した場合の費用も気になるところでしょう。そこで今回は、老人ホームの種類とそれぞれにかかる費用の相場をご紹介します。

老人ホームには「民間施設」と「公的施設」がある

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(画像=PIXTA)

民間施設は運営会社によって特色がある

一口に老人ホームと言ってもその種類はさまざまですが、大きく「民間施設」と「公的施設」に分けることができます。

「民間施設」とは民間の会社が運営する施設で、主に要介護状態の方を対象とした「介護付有料老人ホーム」「住宅型有料老人ホーム」や「グループホーム」、または自立状態の方を対象とした「サービス付き高齢者住宅」などがあります。

運営会社がそれぞれ特色を打ち出しておりサービスが充実していますが、その分公的施設と比べて費用は高めになっています。

公的施設は自治体や社会福祉法人が運営

民間が運営する施設に対し、「公的施設」の老人ホームは各地方の自治体や社会福祉法人が運営しています。要介護状態の方を対象とした「特別養護老人ホーム」や、自立状態の方を対象とした「ケアハウス」などがあり、民間施設より費用の負担は抑えられます。

ケアハウス以外の公的施設は、部屋や要介護度によって一律で料金が決まっています。ただし、費用が安い分人気が高く、地域によっては入居が難しいため、待機期間が長期に渡ることがあります。

民間施設にかかる費用の相場

民間の有料老人ホームの入居や生活にかかる費用については、支払の方法が月払い方式や全額前払い方式、またはその併用方式などさまざまなので、単純に比較することは難しくなっていますが、今回は最も一般的な月払い方式の施設の費用を、2014年3月に公益社団法人全国有料老人ホーム協会が発表した「有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅に関する実態調査研究事業報告書」からご紹介します。

<介護付有料老人ホーム>
・75歳の要介護認定非該当(自立)の方が入居した場合
 敷金・保証金などの前払金 54万3,077円
 月額利用料 24万7,687円

・85歳の要介護レベル3の方が入居した場合
 敷金・保証金などの前払金 46万0,631円
 月額利用料 21万9,791円

<住居型有料老人ホーム>
・75歳の要介護認定非該当(自立)の方が入居した場合
 敷金・保証金などの前払金 26万6,284円
 月額利用料 13万1,575円

・85歳の要介護レベル3の方が入居した場合
 敷金・保証金などの前払金 24万5,228円
 月額利用料 12万7,258円

<サービス付高齢者住宅>
 敷金・保証金などの前払金 15万9,263円
 月額利用料 13万0,579円

公的施設にかかる費用

公的施設の代表的な老人ホームに「特別養護老人ホーム」がありますが、この施設は初期費用や入居一時金がかからないことが大きな特徴の一つです。そのため、施設入居者が払うのは介護サービス費や生活費などの月額利用料のみとなります。

特別養護老人ホームにかかる費用は、個室や多床室(相部屋)といった住環境の違いや要介護のレベルによって変わります。厚生労働省が公表している自己負担額の目安は、要介護5の人が多床室を利用した場合で1ヵ月あたり約10万2,200円、要介護5の人がユニット型個室を利用した場合で1ヵ月あたり約13万9,500円となっています。

このように、民間施設と比べ比較的費用は安くなりますが、それでも居住費や食費といった日常生活費が負担になる場合、さらに低所得の方への支援として制度が3つ設けられています。

まず1つ目が「負担限度額認定」です。これは特別養護老人ホーム入所者のうち、年金などの所得や資産が一定以下の人に対して、「負担限度額」という基準を設け、この額を超えた居住費と食費の負担額が介護保険から支給されます。

2つ目は「高額介護サービス費」で、介護保険の対象となる介護サービスの1ヵ月または年間の自己負担額を超えた場合、その超えた分が介護保険から支給されます。

3つ目が「高額医療・高額介護合算制度」です。介護される方だけでなく介護する側も高齢であることが珍しくなくなっている現在、介護する側の医療費も高額になることがあります。このように同じ医療保険の世帯内で医療保険と介護保険両方に自己負担が生じた時、この制度により負担を軽減できます。

費用の相場を知って老後の資金計画に生かそう

今回は平均的な費用をご紹介しましたが、老人ホームと一口に言っても、その形態や設備、または地域によっても料金は大きく変わります。どの地域でどのような設備があればいいかなど、少しずつ希望を固めておくと費用も予想しやすくなるでしょう。両親や自分の将来の年金額なども併せて考えて、老後の資金計画に生かしてみてください。

文・松岡紀史(ファイナンシャル・プランナー、ライツワードFP事務所)/fuelle

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