7月下旬からスタートした3月決算銘柄の第1四半期決算も先月中旬で終了となりましたが、7月中に一足早く決算を発表した銘柄ではアナリストによる業績や目標株価の見直しも一通り終わったと思われます。そこで今回は7月31日の取引終了後に決算を発表したTOPIX500採用の3月決算銘柄を対象に決算発表後に2社以上が目標株価を引き上げたもの(足元の株価を上回るもののみ対象)をピックアップしてみました。

投資のヒント
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そのなかで決算発表後に4社が目標株価を引き上げたのがNEC(6701)とTDK(6762)で、NECは営業赤字が見込まれるなかで黒字を確保したことなどから、またTDKは小幅な営業減益ながら市場予想を上回ったことなどから目標株価の引き上げが相次ぎました。また、武田薬品工業(4502)と中部電力(9502)でも決算発表後に2社が目標株価を引き上げています。

決算発表後に2社以上が目標株価を引き上げた3月決算銘柄
(画像=マネックス証券)

決算メモ

●鳥貴族(3193)‐低迷が続いた集客力に底打ちも‐

鳥貴族が13日に発表した2019年7月期の決算は売上高が前期比5.5%増の358億円、営業利益が同29.2%減の11.9億円となりました。売上高は既存店売上高が前年割れとなったものの、前々期に出店した店舗の通年寄与で増収を確保しました。しかし、営業利益は集客力低下により既存店売上高が低調に推移したことで大幅な減益となっています。また、最終損益は不採算店舗の閉店による減損損失の計上で2.86億円の赤字となっています。

既存店売上高は一昨年秋の値上げ以降前年割れが続いており、2019年7月も前期比5.2%減となりました。しかし、飲み放題プランの新設などの効果により客数が4月以降前年並みを維持しており低迷が続いた既存店売上高に底打ちの兆しがみられます。こうしたなかコスト削減を徹底したこともあり第4四半期の3ヵ月だけをみると営業利益が前年同期比で9割近い大幅な増益となっています。また、この結果通期の営業利益も大幅な減益ながら中間期に下方修正した水準(6.78億円)を大きく上回って着地しています。

今期の業績予想は売上高が前期比3.5%減の346億円、営業利益が同10%増の13.09億円となっています。売上高は既存店売上高が健康増進法改正による原則屋内禁煙の影響により0.7%減と引き続き前年割れが見込まれることや、今期も16店舗の閉店を進めることから減収となる計画です。しかし、営業利益は不採算店の整理が一段落するうえ、コスト削減の徹底を継続することで二桁の増益を見込んでいます。また、凍結してきた直営店の新規出店の再開は今回の業績予想に織り込まれていませんが、状況をみて出店を再開する可能性もあるとしています。

金山敏之(かなやま・としゆき)
マネックス証券 シニア・マーケットアナリスト

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