2019年6月より、ふるさと納税制度が一部変わり、「返礼品は地場のものに限り、かつ、寄付額の30%まで」というルールがより厳格化されます。また、大阪府泉佐野市など4市町村がふるさと納税の対象外になったことでも話題になりました。泉佐野市は2019年4~5月に大々的なキャンペーンを行うなど、政府の方針に異議を申し立てています。このような中、ふるさと納税は今後どのようになっていくのでしょうか。

2019年6月にふるさと納税の制度が変わった

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(写真=J.Score Style編集部)

2019年6月にふるさと納税制度が改正されることとなり、大きな注目を浴びました。なぜなら、2019年6月をもって、ふるさと納税のあり方が大きく変わったからです。これまで、ふるさと納税の返礼品については、「地場のもの、かつ、寄付額の30%を上限とする」というのが推奨されていましたが、必ずしもすべての自治体がこのルールを厳守しているわけではありませんでした。

ルールを無視して過度な返礼品で多くの寄付金を集める自治体が複数あったことから、総務省は過度な返礼品を問題視して当該自治体へ自主的なルールの厳守を求めるよう依頼していました。それでも、なおルール違反をする自治体があったことから、今回の法律改正に「地場のもの、かつ、寄付額の30%を上限とする」ことが明記されたのです。

これにより、大阪府の泉佐野市をはじめ4自治体がふるさと納税の対象から外れました。これらの自治体は、いずれも「3割を超える」「地場のものではない返礼品」をつけることで、100億円以上の寄付額を得ていました。正しくルールを守って運用している先の納税額が1億円程度であることを考えると、大きな額の寄付を受け取っていたことになります。

また、北海道の森町など43の自治体は、指定期間が4ヵ月とされています。このように、より厳格なルールの中で、ふるさと納税が運用されるようになりつつあるのです。

それでも増加するふるさと納税、体験型など新しい形の返礼品も

今後、この新しい法令により、過度な返礼品があるケースは少なくなってくるかもしれません。しかし、それでも、ふるさと納税はよりポピュラーなものになっていくでしょう。2008年度に約81億円だったふるさと納税の金額は、2017年度には3,653億円と約45倍に増加しています。大阪の泉佐野市のような過度な返礼品により寄付金を集めていたケースもありますが、その結果、ふるさと納税の認知度はあがり、多くの人がふるさと納税を活用するきっかけになったのかもしれません。

各自治体は工夫をこらした返礼品で寄付金を集めようとしています。たとえば、最近人気なのが、体験型のふるさと納税です。ホテルや旅館の宿泊券から、地元の観光資源を生かした体験プランなど、多くの自治体がさまざまなテーマで返礼品を用意しています。中には、神奈川県逗子市のように船舶免許取得のサポートを行うような自治体まで出てきているのです。

このような返礼品は、寄付をもらうことに加えて「地元に来てもらう」という観光的な側面もあります。各自治体がこのように工夫をこらし、消費者が喜ぶ返礼品を出すことで、ふるさと納税の本来の目的の「地域振興」がなされていくかもしれません。

ふるさと納税は今後健全に発展していくか

今回の法改正および、対象外になった市町村が出たことは今後のふるさと納税のあり方を変える契機になるでしょう。対象外になった市町村は、ガイドラインに違反していたとはいえ、魅力的な返礼品を出していたことも事実です。このような返礼品がなくなることで、ふるさと納税の魅力が落ちることを危惧する声もあります。

しかし、各自治体は「ルールの中で、いかに多くの寄付を集めるか」について工夫をこらしていくことになるでしょう。今後は、体験型のような本来の意味で地域振興にも役立つ形のふるさと納税が、さらに増えてくる可能性が高まります。こうして、自治体が切磋琢磨してふるさと納税の魅力を上げれば、ふるさと納税は今後も健全に発展していくのではないでしょうか。(提供:J.Score Style

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