土地や住宅の購入を考えている人なら、住宅ローンを利用する人がほとんどではないだろうか。しかし、一生に一度の買い物であることも多い住宅購入。当然のことながら、住宅ローンの利用もはじめてのことが多い。そんな住宅ローンの初心者がどこで、何を相談すればよいか、ローン相談ができる場所や特徴、相談する際に注意すべきことなどについてお伝えする。住宅ローン利用で失敗することがないように、ぜひ参考にしてほしい。

住宅ローンを相談できる場所やサービスとその特徴

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(画像=Marcos Mesa Sam Wordley / Shutterstock.com)

住宅ローンを利用するためには、ローンの種類や金利の仕組みなどについて、自分でもある程度の知識を持っておく必要がある。はじめて住宅ローンを利用する人はどこで相談すればよいか、相談できる場所やサービス内容を紹介していこう。

銀行の店頭窓口

最も気軽に相談しやすいのは、銀行の店頭窓口だろう。そのエリアの支店となっている銀行なら、入金や振込窓口とは別に、住宅ローンなどを取り扱う「融資窓口」があるのが一般的だ。

融資窓口では、住宅ローンに詳しい行員が対応してくれるため、はじめてでも安心して相談することができる。また普段から利用している銀行窓口なら、住宅ローン知識を最初に得る場所としてはうってつけだ。

また、一般的な支店としてではなく、住宅ローンや教育ローン、カーローンなど様々なローンを専門的に取り扱う「ローンプラザ」を置いている銀行もある。平日を含め、土曜日・日曜日も営業していることが多いため、いつでも思い立ったときに利用できる。

店頭窓口では、その銀行が取り扱う住宅ローンの種類ごとにパンフレットが用意してあり、最新の金利状況も確認できる。時期によっては金利がお得なキャンペーン情報なども入手することができるだろう。ただし、入手できるのはその銀行のものだけなので、幅広い情報を得るために、候補にあげている複数の銀行の店頭窓口に行くことが必要だ。

ファイナンシャルプランナー

銀行の店頭窓口だと勧誘されそうで不安だという人には、中立的な立場からの意見が期待できるファイナンシャルプランナーがおすすめだ。

ファイナンシャルプランナーは、住宅ローンを含む、保険や年金、投資などお金に関する専門家として活動している「お金のプロ」。収入から支出まで、個人の家計事情を考慮しながら、無駄を省く方法や適正な住宅ローンの返済額など、総合的なアドバイスが期待できる。独立した事務所を構えているところもあるが、個人で活動している人も多いので、地域で相談できるところがあるか調べてみよう。

金融機関や不動産会社が開催する「住宅ローン相談会」

金融機関や不動産会社が定期的に開催する「住宅ローン相談会」を利用することで、集中的に住宅ローンの基礎知識を得ることができる。相談会は、土曜日や日曜日に開催されることも多く、平日は銀行窓口に相談に行けない人でも、家族揃って説明を受けに行くことができるためありがたい。

金融機関が開催する住宅ローン相談会は、普段から融資を担当するプロが揃っているため、疑問に思っていることがしっかり聞ける環境だ。

不動産会社が開催する住宅ローン相談会は、会場に金融機関の社員は一部にのみ配置する形式が多いため、不動産の相談のついでにローンについても少し聞いておくという程度ならよいが、とことん話を聞きたいと考えている人なら、金融機関の相談会をおすすめする。

住宅ローンの相談内容は場所やサービスによって異なる

住宅ローンを相談する場所として、「銀行の店頭窓口」「ファイナンシャルプランナー」「相談会」の3つをあげたが、ここからはそれぞれの場所でどんな相談ができるのか具体的に紹介していこう。

銀行の店頭窓口で相談する場合

銀行の店頭窓口での相談は、融資窓口で対応してくれる。普段から行き慣れている銀行なら、アットホームな雰囲気で相談できることが大きなメリットのひとつだ。

金融に関して知識が豊富であることは間違いないため、住宅ローンに関することでは、次のような項目について、相談することができる。

・フラット35など住宅ローンの種類
・固定金利や変動金利の違いや仕組み
・年収などからどのくらいの借入が可能か
・年齢や借入額を想定して返済年数や返済額はどのくらいが適当か
・夫婦共働きの場合の連帯債務者とは
・住宅ローンの申し込みに必要な書類
・住宅ローン契約に必要な諸費用
・住宅ローンの審査、契約のタイミング
・住宅ローンの返済開始時期
・住宅ローンのつなぎ融資
・万一返済が難しくなったとき
・返済中の住宅ローンの借り換え
・住宅ローンの繰り上げ返済
・住宅ローン控除の確定申告 など

主な内容としては、自分の年収から想定する借入可能額や、実際の返済金額、返済年数などだ。実際に仮申込書などに記載して審査をしない限り、確定的な回答はできないが、行員の経験値や知識の範囲で答えてくれることがある。将来的な金利の変動などについても相談にのってくれるだろう。

日ごろお世話になっている銀行だからといっても、他の銀行と比較してあきらかに金利や条件が不利になる場合は、別の銀行を検討することも可能性として考えておいたほうがよい。とはいえ預金口座がある銀行は、住宅ローンの審査のときに、何かと親身に相談にのってくれる可能性も高いため、よい関係を維持しておくのがベストだ。

ファイナンシャルプランナーに相談する場合

ファイナンシャルプランナーに相談するメリットとしては、個人の家計の収支をイメージしながら相談できる点だろう。

ファイナンシャルプランナーには、住宅ローンに関して次のような項目について相談することができる。

・金利条件などがお得な住宅ローンの借入先
・収入と支出から想定する理想的な借入額と返済年数
・住宅ローンの支払いをするための家計の見直し
・加入中の保険の見直しや住宅ローン加入に合わせて必要な保険の提案(団信など)
・住宅ローン控除など、お得な制度について

銀行の相談では、どのくらい借入ができるかという一定の目安を知ることはできるが、人生設計の中でそれが適正な借入額なのかという部分については後回しになってしまう可能性がある。

その点ファイナンシャルプランナーなら、個人の収入と支出のバランスを考慮して、総合的な資金計画をアドバイスしてくれる。住宅ローンの返済中でも、子どもの教育費のピーク時は大丈夫なのか、老後資金の計画が立てられるかなど、多角的な見方は参考になるだろう。

ただし、ファイナンシャルプランナーによっては保険の見直しというアドバイスのもと、保険契約をすすめてくる可能性もあるため、相談するときには、聞く側もしっかりと目的を持ってポイントをしぼることが大切だ。また、相談自体が有料の場合があるので気を付けよう。

住宅ローン相談会で相談する場合

不動産会社が開催する住宅ローン相談会では、不動産会社の営業マンに、物件の相談とともに、住宅ローンについて気軽に相談することができる点がメリットだ。具体的には次のような項目について説明を受けることができる。

・住宅ローンの種類
・住宅ローンの申込先
・住宅ローンを申し込む流れ
・住宅ローン控除

担当者の多くは、あくまで不動産業が本業であるため、経験としての住宅ローン知識はあるが、お金のプロというレベルにないことが多い。また、不動産会社がすすめやすい銀行を選んで紹介してくる可能性があるため、自分にとって金利面などでのメリットがあるとは限らない点に注意しておこう。

一方、金融機関が開催する住宅ローン相談会では、金融のプロが揃っているため、住宅ローンの基礎知識からはじまり、金利の仕組みや返済の仕方、将来的な住宅ローンの借り換えなど、かなり深い内容まで相談できる。

住宅ローンについて相談できる項目は、先述した銀行の店頭窓口の場合とほぼ同じと考えてよい。説明の途中で、難しい金融の専門用語が出てきてわからないことがあれば、その都度質問するなどして、しっかりと理解できるようにしよう。

必要書類を持っていけばより具体的にアドバイスを受けられる

住宅ローンについて、借入額や返済年数などは特に気になるポイントだろう。相談する際には、あいまいな情報しかなくてもおおよその目安を伝えてくれることもあるが、参考書類を持参すれば、より具体的な回答が返ってくる可能性が高い。

購入する物件を探し中である場合の必要書類

購入する物件をまだ探している段階の人は、借入金額もまだ不明だ。このような人は、次にあげる書類を持参して相談するとよい。

・収入証明書
会社員なら会社から受け取っている源泉徴収票や、市県民税納税証明書などを、2年分程度用意しよう。夫婦で収入があるなら、2人分の収入証明を準備しておくことをおすすめする。

・確定申告書
自営業の人なら、確定申告書と添付している決算書を3年分程度用意しよう。会社の売上が個人の収入に影響するため、これらの資料がないと判断が難しい。

・本人確認証
本人確認ができる運転免許証や健康保険証、マイナンバーカードなどを用意しておこう。

・車のローンなどの支払い明細書
住宅ローン以外に、車のローンや教育ローンフリーローンなどがある場合、どれくらい残高があるか確認できる資料を用意しておこう。なぜなら住宅ローンを借りるときには、他の借入金を考慮したうえで、どれくらい余力があるか判断しなければならないからだ。住宅ローンを申し込む前に、全額返済の予定がある場合は、伝えておこう。

購入する物件が決まっている場合の必要書類

購入する物件が決まっている人は、収入証明や本人確認証などのほかにも、その購入物件の概要がわかるもの、たとえば登記簿、測量図などを持参しよう。住宅ローンを申し込むときには、土地や建物に抵当権を設定することになる。詳しい物件情報を確認しながら、物件の評価などを加味して相談することができる。

ファイナンシャルプランナーへの相談時には家計に関する書類も持参しよう

ファイナンシャルプランナーへの相談は、住宅ローンのみならず、家計の収支改善なども相談できるため、収入証明や本人確認証などに加えて、次にあげる資料を持参するとよい。

・預金通帳
生命保険や光熱費など、普段から家計の支払いをしている通帳を用意していこう。また、貯金を毎月どのくらいしていて、現在の残高はどのくらいか把握していくとよい。

・生命保険証券
加入中の生命保険や損害保険の証券を用意しておこう。家計の収支バランスで考えたときに、保険の見直し案が出てくるかもしれない。独身時代に加入してそのままという人は意外と多く、今の年齢や家族構成に合わせて保障内容を見直すのはおすすめだ。

・家計簿など収支がわかるもの
家計簿をつけているなら、準備しておきたい。収入と支出のバランスをしっかりとみてもらうことができる。

ファイナンシャルプランナーに相談するときは、ほかに、支出の内容、貯蓄状況などがわかるものは持参したほうがよいだろう。

住宅ローンを相談する際の3つの注意点

先述までは、住宅ローンを相談する場所や準備すべき書類などについて解説してきたが、ここからは、実際に相談するときの注意点について紹介していこう。

金融機関は自社商品しか勧めてこない

銀行などの金融機関は、専門的な知識があるため安心して相談できるが、自社の住宅ローンをアピールしてくることを理解しておこう。

ローン金利は銀行によって違いがある。相談した銀行よりも金利条件が優位なところがある可能性もある。少しでもお得にローンを利用したいなら、流されずに、いくつかの銀行で調べるのがよいだろう。

悪質なファイナンシャルプランナーもいる

ファイナンシャルプランナーはお金の専門家ではあるが、住宅ローンをメインに取り扱っているわけではない。中には、家計診断をして保険の見直しに誘導したり、高額な手数料を請求したりする、悪質なファイナンシャルプランナーもいるかもしれない。自分の悩みに真摯に対応しアドバイスしてくれるかどうか、口コミを調べるなどして見極めることも大切だ。

不動産会社は住宅ローンや資金計画といった実務は素人同然

物件探しや売買契約などで、家を購入するには不動産会社が窓口になることが多い。そのため、自然と住宅ローンについても相談する流れになることがあるだろう。

営業マンはローンの相談を受ける機会も多く、ある程度の基礎知識を持っていると考えられるが、専門家ではないため、どれくらいの返済額が妥当かなど個人の資金計画についての答えは、期待できないと思っていたほうがよい。

物件の相談とともに、住宅ローンも依頼しようと考えていた人には、勧められた住宅ローンで安易に決めないように注意してほしい。

住宅ローンの相談は複数社に依頼するのがおすすめ

住宅ローンの相談をする場所として、銀行、不動産会社、ファイナンシャルプランナーなどを紹介したが、それぞれ相談できる内容に違いがある。

そのため、どこかひとつに絞り込むというよりは、最終的に住宅ローンを申し込むまでの間に、それぞれの場所に相談する方法もよいだろう。それぞれの場所で、違った角度から話を聞くことができ、適切なローンを選ぶためのよい材料になるからだ。

また、複数の銀行を比較検討することも大切である。金利の違いはもちろん、借り入れるときの保証人の条件であったり、添付書類の違いであったり、意外と基準は統一されていない。自分に合う条件をみつけよう。

子どもの成長過程や、自分が老後を迎える過程でも、住宅ローンが必要以上に負担にならないよう、あいまいな点を残さずしっかりと話を聞き、借入額、返済額、返済年数などをバランスよく考慮したうえで判断できるようにしていきたいものである。

<参考:https://madoguchi.iyell.jp/loan/before/kihon/mortgage-soudankai/
https://fudo-satei.com/housing-loan/housing-loan-consultation.html