住宅購入は金額が大きくライフプランに大きな影響を及ぼす。通常は数十年かけて住宅ローンを返済していくため、長期的に無理のない借入金額に抑えることが大切だ。月々の返済可能額は家庭状況によるが、今回は年収1,000万円をもとに考えてみたい。

住宅ローンの月々の返済可能額は額面ではなく手取り年収をベースにする

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(画像=Monster Ztudio/Shutterstock.com)

住宅ローンの月々の返済可能額は、一般的に額面年収の25%以内と言われる。とはいえ、長期にわたる返済期間の中では何が起こるかわからない。可能な限り家計に負担のない返済額に抑えられると安心だ。返済額をより慎重に考えるなら、実際の生活に使える手取り年収をベースにして検討したい。年収は同じでも家庭によって手取り金額は異なることがあるからだ。

手取り年収は額面年収の70〜80%程度

手取り年収は源泉徴収票と住民税決定通知書があれば把握できる。ざっくり計算するなら額面年収(源泉徴収票記載の支払金額)の70~80%程度となる。具体的な計算方法は以下の通りだ。

手取り年収=支払金額-源泉徴収税額-社会保険料等の金額-住民税額

年収1,000万円で、配偶者控除の対象になる所得38万円以下の配偶者がいる人の場合、約724万円が手取り年収となる。生命保険料控除などがあればもう少し余裕があるかもしれない。実際には源泉徴収票から計算してみてほしい。

月々の住宅ローン返済額は手取り年収の30%以内が安心

手取り年収をもとに返済可能額を算出する場合は、その30%以内に収めることをおすすめしたい。

今回の例である年収1000万円の場合、手取り年収の30%は約217万円。住宅ローンの返済額は月々に換算しておよそ18万円以内に収めておけば無理がないだろう。よくある額面年収の25%以内という考え方なら月々20万程度になるわけだが、何かあった時のリスクを考慮するなら、より安心できる返済計画を立てておくほうがいい。

住宅ローンの月々の返済額から購入可能な物件価格をシミュレーション

住宅ローンの返済可能額の目安がわかれば、購入できる物件価格を計算しやすくなる。ここでは先ほど計算した返済可能額をもとに、以下の条件でシミュレーションする(住宅金融支援機構が提供しているツールを使用)。

・月々の返済額……18万円
・頭金……500万円
・借入期間……35年
・借入金利……固定1%
・元利均等返済

月々の返済額から逆算した借入上限額は約6,300万円となる。その価格までの物件なら家計の負担感を抑えて購入できるということだ。しかしこれに加えて仲介手数料などの諸費用が物件価格に対して3~10%前後かかることも考慮しなければならない。このシミュレーションでは頭金が500万円あるため、物件価格+諸費用を最大でも6,800万円以内に抑えたい。

トータルの上限を6,800万円とすれば、物件価格は諸費用が10%なら約6,180万円、8%なら約6,300万円、6%なら約6,400万円までが購入対象だ。頭金を入れればいずれも借入額は6,300万円程度に抑えられ、返済可能額の範囲におさまる。

ただし物件価格が6,180万円のパターンは諸費用が頭金以上にかかる。ここで、諸費用をサポートするためのローンを別に組むと余計な手数料やコストが発生しかねない。オーバーする諸費用分の資金を追加するか、物件価格を下げて諸費用を頭金の範囲内に抑えるのが賢明だ。

購入可能な物件価格は金利や借入期間によっても大きく異なるため、そうした条件もあらかじめ決めておきたい。

住宅購入は月々のローン返済可能額を調べて予算を明確にする

住宅は予算である物件価格の上限を決めて選ぶことが大切だ。予算がはっきりしていれば物件を選別しやすくなるだけでなく、家計への負担を抑えて返済していけるからだ。住宅ローンの返済は長期に及ぶため、無理のない返済額になるように計画したい。

文・國村功志(資産形成FP)/MONEY TIMES

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