「MaaS」は交通手段やモビリティ社会に変革を起こすと呼ばれています。多くの企業がMaaSを掲げて事業に取り組んでいますが、まだその意味を正しく理解できていない人も少なくありません。この記事ではMaaSをゼロから解説いたします。

MaaSとは?

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(画像=PIXTA)

まず「MaaS」とは「Mobility as a Service」の頭文字をつなぎあわせた造語です。日本語では「サービスとしてのモビリティ」「次世代移動サービス」などと訳されて使われています。MaaSの本質は「統合」にあるといわれており、公共交通機関の種類はバスや電車、飛行機、タクシー、レンタルサイクル、レンタカーなどさまざまです。

ただこれらのサービスはそれぞれに独立しており、従来は横断的にこうした交通手段を利用することはできませんでした。そこで登場したのがMaaSの概念です。こうしたさまざまな種類の交通機関の検索や予約、決済を一つのプラットフォームでシームレスに行えるようにしています。

世界を代表する「Whim」

MaaSサービスは世界に先行する形で、まず欧州で広まりつつあります。特にフィンランドの首都ヘルシンキで2016年にサービスが開始された「Whim」は、世界的に大きな注目を集めています。Whimはさまざまな交通機関を複合的に利用できるアプリです。Whimを提供するMaaS Global社によれば、同アプリを使い始める前と後では、移動における公共交通機関の利用率が平均48%から平均74%に増加しています。

Whimの登場が渋滞の緩和や環境負荷の低減、公共交通機関の運行の効率化に寄与したといえるでしょう。Whimはイギリスでも2018年4月にサービスを開始しており、近く日本に進出するという報道もあります。

日本におけるMaaSの動き

日本企業も国内でMaaS関連事業を手掛け始めています。例えばJR東日本は第1期のMaaSトライアルとして、2013年10~12月に全国に先駆ける形でJR東日本と東武鉄道、東武バスを連携させる取り組みを千葉県柏市で行っており、2019年時点でもMaaS関連の実証実験を継続中です。小田急電鉄は、同グループが展開する多様な交通サービスを連動させる「MaaS Japan」という取り組みを進めています。

実証実験やアプリ開発などに力を入れることがすでに発表済みです。また複合的な経路検索サービスを展開してきた企業にとっては、MaaSの広がりは事業拡大の好機だといえるでしょう。経路検索大手のナビタイムやヴァル研究所はMaaS領域ですでに大きな存在感を示しつつあります。そのほか将来的にMaaSを構成する交通手段の一つとなるために、新たなサービスを展開する企業も少なくありません。

電動キックボードやC2C(個人間)カーシェアのほか、車中泊のための駐車場のマッチングサービスなども、MaaSを構成する要素となり得ると考えられています。

MaaSの課題と将来

MaaSは「統合」がテーマとなるだけに、事業者間の利害をこえた連携をどう実現・調整していくのかが重要となり、そのことはMaaS実現のハードルにもなり得ます。こうした課題をどう解決していくかについては、今後議論が深まっていくことでしょう。また国産MaaSサービスと海外MaaSサービスのどちらが日本で普及するのかにも注目したいところです。

世界ですでにサービスを提供している「Whim」が日本にいち早く進出して普及すれば、国産MaaSサービスはシェアを獲得できないかもしれません。いずれにしてもMaaSは、まだ誕生したばかりの概念です。交通の未来を考えるうえで重要なキーワードの一つとして必要最低限の知識は覚えておきましょう。(提供:JPRIME


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