介護医療保険には様々な種類があるのをご存じだろうか?介護医療保険は自分にあったタイプを選択しないと損をだしてしまいかねない。今回は介護医療保険ではどのような保障が受けられるのか?公的・民間の介護医療保険ごとに紹介する。

介護保険は2種類に大別される

介護医療保険,医療保険
(画像=FotoAndalucia / Shutterstock.com)

介護保険は、正式には介護医療保険と呼ばれ介護状態になった時の為に備える保険だ。介護保険は、大きく「現物給付による公的な介護医療保険」と「現金給付による民間の介護医療保険」の2種類に分かれる。それぞれにどのような特徴があって、どのような制度で成り立っているのだろうか?当記事では、医療保険のひとつである公的介護医療保険と、民間企業が提供している介護医療保険について、詳細を解説する。

公的医療保険としての介護医療保険とは

公的医療保険としての介護医療保険は、要支援や要介護の度合いによって保険の内容が変わってくる。要支援度が「1〜2」要介護度が「1〜5」の7段階に分けられ、保険によっては「要介護度が2以上」をサービスの提供要件としている場合がある。それ以外にも保険会社が決めた「所定の要介護状態」を条件としている場合もあり、保険会社によって内容は様々だ。

民間医療保険としての介護医療保険とは

一時金や年金として受け取れる現金給付の民間医療保険は、受け取り期間がそれぞれ違う為、介護によってかかる様々な費用にあてるケースが考えられる。年金として受け取る場合には、一生涯もしくは10年間などの期間満了まで受け取るケースがある。このように公的医療保険と民間医療保険とでは、内容が大きく異なってくるがこの記事では民間に焦点を当てて紹介する。

介護医療保険に加入する意義

核家族化が進んでいる中で、介護医療保険はますます必要なものになっているのが現状だ。特に近年では未婚者が増えている事から、身寄りのない世帯が増え続ける傾向にある。身寄りのない者が、自宅で病気になり通院が出来ない状態になった時に「誰が助けてくれるのか?」と真剣に考えると医療介護保険の重要度が分かってくるはずだ。

これらの背景を鑑みても超高齢社会となった現代の日本にとってなくてはならない保険であり、受け取れる保障内容は、要介護者にとってなくてはならないものである。

要介護状態になると保険金が支給される

要介護状態になれば保険金の給付対象となり、保険金を受け取る事が出来るようになるが受け取り方が大きく2種類に別れる。保険金を一時金として受け取る場合には、在宅で介護を受ける為のリフォーム費用として充てる場合が多い。一方で年金として毎月細かく受け取る場合には、介護施設料金へ充当するケースが考えられる。

このように「どこで介護を受けるか?」によって保険金の受け取り方が変わってくるので、介護の場所と保険金は関係性が強いと言えるだろう。

介護医療保険料が支払われるタイミングは?

介護医療保険料が支払われる基準には大きく2つのタイプがある。一つは公的介護保険の評価を基軸とするタイプで、もう一つは保険会社で定めた基準により支払われるタイプだ。ここでは2つのタイプの支払い基準について紹介する。

公的介護保険の評価を基軸とするタイプ

公的介護保険の評価を基軸とするタイプでは、要介護の度合いによって支払い基準を確定させる。要介護度では、要支援1~2や要介護1~5などの基準が設けられ、レベルによって保険金額の大きさや支払いの有無が決定される。民間医療保険なので、実際には公的医療保険の評価基準とは関わりがないが、実情に沿った保険金の支払いが可能となる事から要介護度の基準が設けられている。

公的介護保険の評価を基準とするメリットは、介護認定の基準がそのまま保険金に反映する為、契約者側も明朗で納得のいく結果になりやすい点が挙げられる。

保険会社ごとに用意した基準と照らし合わせるタイプ

各保険会社では独自の基準を設けている事も多く、その基準に沿って保険金をが支払われる事も少なくない。「認知症による介護状態が90日以上経過した場合」などの独自基準が設けられているので、契約時に確認しておく事が重要だ。

ライフスタイルの多様化によって保障内容も多様化している

近年では、各保険会社によって様々な保険商品が販売されており同一企業が提供する「介護保険」にも保障内容が異なる保険が用意されている。同じ介護保険で異なる内容となっている理由には、ライフスタイルの多様化が挙げられるだろう。一昔前の日本では、ライフスタイルがある程度固定化されていて多くの住民で共通の部分が多くあった。

しかし近年では、様々な分野で多様化が進む中でライフスタイルも例外なく色んなケースが出てきた。当たり前のように家族がいる世帯だけでなく、一人暮らし世帯の増加や老夫婦だけの世帯の増加に伴い保障内容もそれに合わせた介護保険が出てきている。これらの中から自分にピッタリな介護保険を選ぶ必要がある。

医療保険としての役割も果たしつつ介護までサポートする商品

医療保険として一時金を受け取りつつも、介護の部分までサポートしてくれる優れた商品もある。一時金の基準も介護によるものだけでなく、認知症になった場合にも受け取る事が出来る制度も存在する。それ以外にも入院保障や手術に対する保障までが付帯される保険商品があり、単なる一時金受け取りだけではライフスタイルには合わない事が伺える。

核家族化が始まる前の時代であれば、高齢者が住んでいる世帯には多くの場合に子供夫婦が近くに住んでいる場合が通例であった。しかし近年においては、親元から離れて都心部で世帯を構える世代が多くなる事で、周囲にサポート出来る人員が激減してきた。これらの背景から一時金だけでは、保険商品として十分に機能せず安全保障と言う意味合いにおいて成り立たなくなる。

要介護や認知症になってからの一連の流れを想定した保険内容が必要であり、必要に応じて臨機応変に対応出来る柔軟さが保険に求められる役割であると言える。

定年となる65歳時に保障内容を選べるユーザビリティの高い商品

保険商品の中で最近目立ってきている内容が、65歳のタイミングで保障内容を見直せるプランだ。若い時に決めたプランから別プランへ移行出来る内容は、歳を追うごとに考え方やライフスタイルが変わる中においてはユーザビリティの高い商品であると言える。保険商品によっては、65歳で一時金を受け取るか介護状態になった時に一時金を受け取るかを選ぶ事が出来る。

その他にも介護時の一時金と介護年金がミックスされ、死亡時にも一時金が支払われる保険商品まで存在する。まさに介護から一生涯を終えるまでのプランが組み込まれている保険であると言っても過言ではないだろう。こうした65歳以降でのプラン変更が多くなってきたのは、それだけ高齢化が進んできた証拠であるとも言える。

自分のライフスタイルに合わせて介護保険の商品を選ぶ

介護保険は、この数十年で大きな変革が起こったと言っても過言ではない。介護保険に関わらず保険業界全般において、ライフスタイルに合わせた商品がニーズとして求められている事が伺える。各家族化が進むと同時に未婚者が増えて、子から親への老老介護も問題になってきている。

介護をする側にとっては、身も心も削られる生活を強いられる事が多く、社会からの離脱を余儀なくされた中高年も多い。だからこそ介護保険の検討は重要であり、健全なる親子関係を維持する為には必要不可欠なツールだ。ライフスタイルの多様化に合わせて、保険会社もかなりの商品ラインナップがあり探せば必ず自分にあった保険商品が見つかるはずである。

保険内容が複雑化している中で、自分1人では決めきれない場合が多いかもしれない。今では各種保険を取り扱う「保険の窓口」やファイナンシャルプランナーが存在するので、先ずは自分の未来図を説明してアドバイスをもらってから検討するもの良いだろう。今後はもっと複雑で予想を遥かに上回るライフスタイルの変化がまっている可能性もある事を考えると、自分の身に何があっても良い準備をしておく事が得策だ。

加入して決して損ではない介護保険は、今後の事を真剣に考えるきっかけにもなるだろう。これを機に本格的に検討してみてはいかがだろうか。