訪問リハビリは自宅に専門方が来てくれることで自宅にいながらも理学療法や作業療法を受けられるサービスとなっている。今回は訪問リハビリについての基礎的な部分から利用方法や利用手順についてを詳しく解説する。

訪問リハビリテーションとは何?

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(画像=Aaron Amat / Shutterstock.com)

まずは訪問リハビリとは何か?といった部分を説明する。

訪問リハビリは正式名称「訪問リハビリテーション」とよび、病院やクリニック、診療所といった施設で本来受けられる理学療法や作業治療といったサービスを自宅に理学療法士や作業療法士、言語聴覚士といった方が来てくれることで自宅にいながらもサービスを受けられるサービスを指す。

リハビリテーションに関して専用の資格というわけではないが、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士は国家資格となっているため、しっかりとした知識がある方が訪問リハビリをおこなってくれる。

そもそもリハビリテーションは何故おこなうのかというと、病気やケガといったものを治すこと自体はおこなったものの、後遺症があったりまだ完全復帰までにいったっていなかったりといった場合に完全復帰を目指すための最後の治療といえる。

従って必ずしも通院や入院する必要がないため、訪問リハビリという形でリハビリをおこなっていく人が多い。

また別の意味合いでは障害を持った方や高齢の方がより良い生活を送れるように訪問リハビリを行うことで障害をもっていたとしてもその人の人生をより明るくすることを目的にしているところもある。

訪問リハビリでは上述した作業療法士や理学療法士、言語聴覚士といった専門の方だけでけではなく、医師や看護師といった方も訪問リハビリを行うようになってきており、訪問リハビリの意味合いは大分広い意味を持つようになっている。

従って訪問リハビリが何か?という問いに関しては広義の意味合いで、さまざまな人々もしくは専門職の方が高齢者や障碍者を支えていくシステムであるといった認識が正解だ。

また、リハビリテーションの意味に関しては年代によってもことなってくるので、興味を持った方は調べてみるのも面白いだろう。

訪問リハビリを受けることができる人

訪問リハビリについての基礎的解説をしてきたが、実際に訪問リハビリを受けられる人はどのような人だろうか?

訪問リハビリは要介護1以上の認定を受けていることが最重要となり、さらに担当している主治医が訪問リハビリを必要と認めた場合にそのサービスを受けることが可能だ。

また40~60歳のうち定められた疾病にかかっている場合も利用が可能だ。

具体的な例としては「入院による治療は終わったものの筋力低下が激しく、自分一人では生活が困難な場合」、「高齢になるとともに手足の自由が利かなくなった場合」、「高齢化にともなり会話が不自由となってしまった場合」といった生活に支障をきたしていて満足に生活ができない場合だ。

一方、生活だけでなく、「体が麻痺している」や「けがや病気によって体が動かなくなってしまった」といった重病の人も訪問リハビリを利用している。

訪問リハビリを利用する方法

訪問リハビリの内容や訪問リハビリを受けることができる人について分かったところで、今度は訪問リハビリを利用する方法について具体的に紹介する。

訪問リハビリの気になる部分となってくるのが、「いつ利用すればいいのか?」という点と「時間や頻度はどのくらいなのか?」といった点だろう。

重度の疾病を抱えている人や持病がある人、生活に支障をきたしている人にとっては訪問リハビリが来ないというのは死活問題となってしまう。

また、訪問リハビリを受けることが可能となっていたとしても、「高頻度で呼び出して良いのか?」といった疑問を持つ方も多い。

訪問リハビリに関する悩みを解決しておかなければ、いざ自分の疾病や持病が悪化した場合に対応が遅れてしまうと大変だ。

次項からは「訪問リハビリをいつ利用すればいいのか?」と「訪問リハビリの時間や頻度はどのくらいなのか?」といった部分をそれぞれ解説する。

いつ利用すればいいの?

最初に解説するのは訪問リハビリを「いつ利用すればよいのか?」といった部分だ。

訪問リハビリに関する回数はあらかじめ決められており、1週間あたりの訪問回数や医療保険や介護保険のどちらに入っているのかによっても変わってくる。

「いつ利用したらよいか」という点については具体的にきまっているのではなく1日に利用できる回数であれば訪問リハビリを使用してOKといった形だ。

介護保険と医療保険では一週間で6回が限度となっており、介護保険については1日に2回まで可能だ。 

1回20分の訪問リハビリとなり、医療保険に加入する場合は一週間に12回対応してもらうことができる特例もある。

また医療保険の場合に症状が悪化した場合は1日に4回の訪問リハビリを受けることも可能だ。

このように「回数」というしばりでは決まっているが時間というくくりにおいては、作業療法士や理学療法士、言語聴覚士、医師、看護師が勤務している時間であれば訪問リハビリのサービスを受けることが可能だ。

時間や頻度はどのくらい?

今度は訪問リハビリの「時間や頻度はどのくらいなのか?」といった部分を解説する。

こちらも医療保険や介護保険のどちらに加入しているかによって変わってくる。

まずは介護保険の区分から解説する。

介護保険の訪問リハビリの回数は1週間で6回が限界となっている。

通常は1日あたり1回となっているが、特殊な場合としては1日に2回、訪問リハビリのサービスを受けることも可能だ。

どの程度の医療機関で訪問リハビリを受けられるのかというと医療保険と違い、ケアプランに記載があるのであれば複数の医療保険で訪問リハビリを受けることが可能だ。

また訪問リハビリのサービスを受けられる期間も決まっており介護保険では3ヵ月となっている。

次に医療保険についていてみていく。

通常は1日に1回のサービスとなっているが、次の3つのパターンの場合は例外となる。

・悪性腫瘍が末期になってしまった場合は回数が撤廃される
・退院の日から3カ月以内であれば1週間6回から倍の12回の訪問リハビリを受けることが可能
・疾病が悪化した場合

また訪問リハビリのサービスを受けられる期間も決まっており医療保険では1ヵ月となっている。

医療保険の場合、医療機関からの訪問は1ヵ所ときまっているので医師や看護師といった人に訪問リハビリを受ける場合は1ヵ所を選定しなければならないため注意が必要だ。

訪問リハビリとデイケアの違い

これまでは訪問リハビリについて解説してきたが、訪問リハビリと同じようなサービスで「デイケア」といったサービスも存在する。

デイケアは正式名称「通所リハビリテーション」とよび、同じようなものには「デイサービス(通所介護)」がある。

デイケアとは医師を常駐させることが義務づけられた訪問リハビリのようなものであり、介護等も負担するのが特徴だ。

それでは訪問リハビリとデイケアの違いについてみていこう。

デイケアでは専用のリハビリ道具を使用しており、訪問リハビリでは専門のリハビリ道具を使用しなくてもサービスを行うことが可能なことが大きな特徴だ。

また、一人一人か複数人かという特徴もあり、デイケアについては複数人でサービスを行うこともある。

総じて訪問リハビリは個人個人に対して特化されたサービスを受けることができるが、デイケアに関しては個人に特化したものというよりかは万人対するサービスとなっている。

訪問リハビリの利用手順

これまでは訪問リハビリの基礎的な部分や利用する場合の回数、デイケアとの違いについて解説してきた。

訪問リハビリのサービスを受けるには、まずは自分の主治医が「訪問リハビリの必要がある」と判断してからスタートする。

はじめに主治医から訪問リハビリの必要がある旨が、訪問リハビリを行っている部署もしくは機関に通達される。

そのあとに訪問リハビリの計画の立案が作成され、訪問リハビリがスタートする流れだ。

それでは自分が訪問リハビリのサービスを受ける場合はどうしたらよいのだろうか?

自分の担当のケアマネージャーの人に訪問リハビリを受けたい旨を連絡してケアマネジャーとともに訪問リハビリが必要なことを主治医に話す準備を行う。

その後訪問リハビリが必要なことを主治医が確認すればこ、やっと訪問リハビリが可能な状況となる。

このようにまずは「主治医が訪問リハビリを行う」という方向性の決定が重要だ。

訪問リハビリのサービスをおこなっている機関を探す、もしくは主治医に紹介してもらい契約し、訪問リハビリをケアプランに組み込むことで訪問リハビリをスタートできる。

訪問リハビリは自宅にいても活動的に過ごせる便利なサービス

今回は訪問リハビリについて基礎から利用方法や手順について詳しく解説してきた。

そもそも訪問リハビリが受けられる人は「40~60歳のうち定められた疾病にかかっている場合」や「要介護1以上の認定をうけている場合」、「主治医に訪問リハビリが必要な場合」といった3つに当てはまる方が受けられるサービスだ。

また訪問リハビリでは理学療法士や作業療法士、言語聴覚士、看護師、医師といった多くの人が対象者を支えているサービスであることもうかがえた。

訪問リハビリは国家資格をとった人たちが行うというからというわけでもないが、簡単に申請すれば利用がすぐできるものではなく、「医療保険」や「介護保険」によって内容が異なるとともに主治医にその必要が認められないと訪問リハビリを受けることはできない。

したがって訪問リハビリを利用する際は自身の状況をケアマネージャーや主治医とよく話し合って訪問リハビリが必要かどうか決定することが重要だ。