タイには「回転○○」のチェーン店がある

ここまで回転寿司の特徴や成功要因を抽出して考えることを試みてみました。

このような要素を概ね(主に顧客側で)満たすものとして、実際にタイでチェーン店になっているのが「回転しゃぶしゃぶ」です。先述の条件は概ね満たしながら、さらに一工夫がしてあります。

しゃぶしゃぶの特徴である「最後は自らが『調理』する」ことを実現させるために各人のテーブル(カウンター)に小さな「鍋」が備え付けられているのです。このように、概ね必要な特徴が満たされている場合には、「アイデアを適用したい商品の方を工夫して、そのアイデアの強みが生かせるように変えてしまう」というのもアナロジー思考の重要なポイントです。

このようなポイントを考慮して、以下の応用問題を考えてみてください。

【応用問題】

・「ポテトチップやスナック菓子」はうまくいきそうか? いかないとしたらなぜか? うまくいかせるにはどのようにすればよいか?

・「ケーキ」はうまくいきそうか? いかないとしたらなぜか? うまくいかせるにはどのようにすればよいか?(なぜケーキは「バイキング」の形をとるのでしょうか?)

・「ピザ」はうまくいきそうか? いかないとしたらなぜか? うまくいかせるにはどのようにすればよいか?

・「おでん」はうまくいきそうか? いかないとしたらなぜか? うまくいかせるにはどのようにすればよいか?

・「焼肉」はうまくいきそうか? いかないとしたらなぜか? うまくいかせるにはどのようにすればよいか?

さらに抽象化を進めると、このように「選択肢を小分けにして顧客に提供する」というスタイルが食べ物以外にも(例えば「人」とか)適用できないか、あるいはさらに抽象化して、物理的な世界だけでなく、バーチャルな世界でも何かを「回転させる」ことができないか……と、さらに遠くに飛ばすアイデアも可能になってくるでしょう。

他にも何が「回転」できるか、先述した成功要因を考慮して考えてみましょう。

メタ思考トレーニング,細谷功
(画像=webサイトより)

メタ思考トレーニング
細谷功 発売日: 2016年05月18日
メタ思考とは、「物事を一つ上の視点から考える」こと。その重要性はしばしば語られますが、実践するのは容易ではありません。例えば自分自身を「幽体離脱して上から見る」こと(=メタ認知)は、自己成長のためには必須の姿勢であるとよく言われますが、実際にそれができている人はそう多くはないでしょう。

そこで本書では、メタ思考を実践するための二つの具体的な思考法(「Why型思考」と「アナロジー思考」)を紹介するとともに、それをトレーニングするための演習問題を多数用意しました。

……問題を解いていくうちに思考回路が変わり、考える力が飛躍的にアップする1冊!

細谷 功(ほそや・いさお)
ビジネスコンサルタント
1964年、神奈川県生まれ。東京大学工学部を卒業後、東芝を経て日本アーンスト&ヤングコンサルティング(現、㈱クニエ)入社。2012年より同社コンサルティングフェローに。ビジネスコンサルティングの傍ら、講演やセミナーを多数実施。『「Why型思考」が仕事を変える』『メタ思考トレーニング』(PHPビジネス新書)、『考える練習帳』(ダイヤモンド社)など著書多数。(『THE21オンライン』2019年09月24日 公開)

【関連記事THE21オンラインより】
頭が悪いまま成長しない人に決定的に欠けていることとは?
「なぜ?」という言葉を「骨までしゃぶって」使おう
吉野家の競合は、本当に松屋やすき家なのか?