商談や買い物で多くの人が経験する「ハグリング(価格交渉)」は、投資の世界でも日常的に行われている。しかし、「投資家は手ごわい」というイメージからか、投資の場において交渉を躊躇する人も少なくない。基本のハグリング術を習得・応用すれば、幅広い投資シーンにおける交渉で役立つはずだ。

あらゆる投資シーンで活用できるハグリング術

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(画像=rudall30 / shutterstock.com, ZUU online)

「少しでも高い利回りの商品を入手し、少しでも多く収益を上げたい」という願望は、全ての投資家に共通する。しかし、高利回りな商品が市場で簡単に見つかるかというと、決してそうではない。

そこで熟練した投資家はハグリング(Haggling)術を用い、売買価格や手数料を交渉することで、意図的に高利回りな商品を作りだす。 対照的に、売り手の立場にある企業や経営者が巧みにハグリングを行い、投資家や株主からベスト・ディール(最良の取引)を確保することも可能だ。

不動産投資で成功するハグリング、2つの重要ポイント

成功するハグリングの重要ポイントは、交渉相手に「妥協してもよい」と思わせるような、交渉の余地を見つけられるか、あるいは交渉条件を提供できるかどうかにある。

ハグリングが最も一般的に行われている、不動産投資を例に挙げてみよう。キーワードは、「売却スピード」と「弱点」だ。

早急に現金が必要な事情がある、または転勤や相続税対策などで売却を急いでいる売り手が相手の場合、交渉を有利に進めやすい。しかし、好物件ほど、潜在的な買い手が他にも存在する可能性は高い。ライバルより有利な立場に立つためには、「チェーンフリー(今すぐにでも現金で一括購入できる)」や「ローンの審査に通っている」といった好条件で、売主にアピールする必要がある。

もう一点は、投資を検討している不動産自体に、劣化や間取りの使いにくさ、相場の値崩れといった「弱点」があるかどうか。管理状態が良好かつ周辺相場が上昇傾向にある物件の場合、売り手にとって交渉に応じる価値はない。逆に建物の劣化が激しく、相場も下がっている、あるいは長期間市場に出ているような物件であれば、売り手が交渉に応じる可能性は高い。

事前に物件、現地、市場調査を念入りに行い、ハグリングの余地があるかどうかを見極めることが重要だ。

手数料やサービス利用料金もハグリング可能?

同様のルールは、投資アドバイザーや資産運用マネージャー、ファイナンシャル・プランナーに払う手数料やサービス利用料金にも応用できる。