アートに特化したホテルが京都に続々とオープンしています。館内の共有スペースにアート作品が展示されているだけではなく、客室などプライベートな空間でもアートが楽しめる個性的なホテルが増えています。

「アートコレクターの住まい」をコンセプトに2019年夏にオープンした「ノードホテル」や、泊まることのできる空間型アート作品として客室を提供する「ビーエヌエー・オルター・ミュージアム」、1棟丸ごと貸切りのラグジュアリーな宿「凛葩 RINPA」や、展覧会を定期的に開催する「京都アートホステル クマグスク」などそれぞれのホテルが、個性豊かな空間づくりをしています。

今回は、その中でも2階建て1棟貸切りのプライベートな町家の宿である凛葩 RINPAと宿周辺情報をお伝えします。

凛葩の宿を飾る、日本の美のひとつの頂点を極めた「琳派」とは

京都,アートホテル
(画像=Interior Blender 3D/Shutterstock.com)

宿名の由来にもなった「琳派(りんぱ)」とは、桃山時代後期から近代まで栄えた鮮やかな色彩と装飾的かつ大胆な構図で、デザインという言葉がぴったりの絵画の表現手法の流派を指します。有名な琳派の代表作が国宝の「風神雷神図屛風」と「燕子花図屏風」です。金箔や銀箔を張った背景に、モチーフを大胆かつ効果的に配置することで、印象や迫力を伝えます。贅沢に余白をとった高級感と、見る者の視線を誘導し、釘付けにするような琳派のデザイン性は、現代のデザインにも通じるところがあります。

琳派は京都にゆかりの深い尾形光琳が発展させ、近代は大正時代まで琳派を受け継ぐ画家がいました。琳派は家元制ではなく、私淑といって先人の描いた絵や技術にインスパイアされて、自分の画風に取り込んでいったものが、脈々とつながった流派です。その私淑関係の証拠に師と仰いだ画家の模写を弟子は繰り返しています。私淑関係の絵を比べると、影響を受けた模写部分だけでなく、弟子のオリジナリティの部分が表現されていて、そこが琳派鑑賞の醍醐味でもあります。

光琳を師と仰ぎ模写をくり返した江戸琳派の「酒井抱一」、その抱一の弟子の「鈴木其一」と「池田 孤邨」、琳派継承の最後の巨匠である「神坂雪佳」、この四人の画家の琳派作品がこの宿を飾ります。触れられるほど近くにある日本の美をゆったりとした時間の中で鑑賞できるのも凛葩 RINPA滞在の魅力です。

随所にアートの息遣いを感じる京町家「凛葩 RINPA」

京都で実際に使われていた町家をリノベーションした凛葩 RINPAは、京町家のたたずまいはそのままに、思い入れのある設備を整えています。一階は、ホールに日本庭園をつくり屋内で自然を感じられます。一階のメインともなる和室では、大画面の神坂 雪佳の四季草花図屏風を前に鑑賞を楽しみながらくつろぐことができます。

和室には広々としたキッチンも配備し、厳選した飲み物が置かれています。バスルームは、浴槽の材質である十和田石(天然石)は水に濡れると美しいブルーの色を帯び、肌にしっとりと馴染みます。LEAF&BOTANICSのボディケアや油とりがみで有名なよーじやのスキンケアなどこだわりのアメニティがそろいます。

二階に上がると、二部屋寝室があり1つは大きな京友禅アートが飾られた黒い色調が生かされた部屋で、もう一部屋は対照的に雲を思わせる和紙の白に包まれた寝室となっています。この一棟の中に随所にアート作品が散りばめられていて、至る所で日本の美を堪能できます。

「凛葩 RINPA」周辺

凛葩 RINPAは京都の中心「烏丸四条」周辺に位置し、京都の台所と呼ばれる錦市場が近くにあります。また、この四条エリアは、流行の中心地であり、京都で最も賑わう場所の1つです。旅行者だけでなく、京都人も夜な夜な繰り出す場所であり魅力的なレストランやバーが集まっています。思い出に残る高級店から、地元の人々に愛される庶民的な居酒屋まで選択肢は無限にあります。

また、宿の近くに数々の琳派作品を有する細見美術館やアート好きの方から愛される岡崎エリアがあります。細見美術館のコレクションは日本美術のほとんどすべての分野・時代を網羅するもので、館恒例の琳派展が時折開催されます。宿で、琳派の作品に興味を持ったら美術館で琳派の特徴的な技法や歴史など奥深さに触れてみるのもおすすめです。アートと宿泊施設の融合のホテルで、この秋新しい世界の発見があるかもしれません。(提供:JPRIME


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