国土交通省が7月1日に基準地価を発表しました。2019年の発表によると、全国平均では4年連続で地価が上昇、地方圏においては27年ぶりに地価が上昇しました。値上がりの原因はさまざまですが、全国的な地価上昇は今後も続くのでしょうか。地価上昇の背景にあるものは何か。今後の動向と合わせて解説します。

地価は全国的に上昇傾向へ

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(画像=apiguide/Shutterstock.com)

全国平均の数字を見ると、全用途平均の地価は4年連続の上昇となり、さらに上昇幅も3年連続で拡大するなど、地価の上昇基調は強くなっています。用途別で見ても、住宅地、商業地、工業地ともに上昇基調を強めています。

エリア別では、東京圏、大阪圏、名古屋圏の三大都市圏はいずれも上昇しており、特に大阪圏の商業地は前年比6.4%増と特に強い動きになっています。そして地方圏では、全用途平均・住宅地がともに、27年ぶりに下落から上昇に転じるなど、全国的に地価が上昇しているという結果になっています。

地価上昇ランキング上位には、北海道や沖縄が並ぶ

もう少しエリア別を詳しく見てみましょう。2019年度、地価が最も上がったのは、北海道の倶知安町で、地価は前年比50%増となっています。さらに、3位には沖縄の那覇市がくるなど、上位には大阪、名古屋の大都市圏と並び、リゾート地が上位に来ているのです。

背景にあるのは、訪日外国人の増加です。2000年には500万人に届かなかった訪日外国人ですが、2018年には3,000万人を超えるなど、年々日本に来る外国人は増えています。実際、彼らは東京、大阪などの大都市圏だけでなく、北海道や沖縄などのリゾート地にも足を運んでいます。

さらに、その背景もあり、北海道、沖縄では、高級リゾート施設の開業が進んでおり、例えば、高級ホテルとして知られるリッツカールトンは、2012年に沖縄を開業し、さらには、2020年には北海道のニセコで開業される予定になっています。他にも、こちらも高級リゾートホテルとして知られるハレクラニも2019年に沖縄に開業しています。

こういった高級ホテルの開業により、ますます多くの観光客でにぎわうことが予想されており、結果、それが地価上昇を後押ししている部分もあるのです。このように、地方で地価が上昇しているエリアには、明確な理由があり、バブル期のように、闇雲に土地の値段が上がっている、ということはなさそうです。

東京では過熱感による警戒も?今後の見通しはどうなる?

では、このような地価上昇は今後も続くのでしょうか。全国的な地価上昇の反面、東京などの一部エリアでは、過熱感による警戒がされている部分もあります。

リーマンショック以降、2018年までに地価が50%以上上昇した地域については、その後1年間の地価上昇率が低下する傾向が見えています。これは2017年時点の調査では見られなかった傾向であり、一部、地価が十分に上がった地域については、地価上昇ペースが鈍化しつつあります。これは東京だけでなく、全国的な主要都市で傾向がみられており、地価の回復と同時に、高値への警戒が始まっていると言えるでしょう。

現在は、地価は順調に上がっているものの、今後は、警戒感も広がっていることから、いったん景気の減速が始まれば、地価の上昇が止まるという可能性は、常に警戒をしておく必要があるかもしれません。

地価の上昇は今後も続くのか

2019年も、地価は全国的に向上しています。今回の地価上昇は、エリアが明確になっており、また、訪日外国人の増加など、裏付けにも支えられているため、バブル期のような急激な上昇というのは考えづらいでしょう。一方、高値感への警戒も出ており、今後、景気動向によっては、地価の上昇は止まる可能性もあります。今後の土地の動向は、景気を占ううえでも、注目したい指標の1つであると言えるでしょう。(提供:JPRIME


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