顧客の組織体系や風土で「アプローチ先」は全然違う!

営業アプローチ,大塚寿
(画像=THE21オンライン)

トップダウン型の企業で、最初に担当者にアプローチしてしまうと、トップの優先順位が高くない案件はなかなか前に進まなくなってしまう。

逆にボトムアップ型の企業で、部長あたりに不用意にアプローチしてしまうと、課長クラス、あるいは担当者に「自分達を袖にした相手」と不興を買ってしまった結果、部長にすら2回目訪問ができなくなることがある。

実は、顧客のタイプによってアプローチ先が違うのだ。今回はその顧客のタイプ別攻略法について共有する。

どの部門にアプローチするのが、最も案件化しやすいか

顧客のタイプ別攻略法の基本としてまず、押さえたいのは、そもそも「どの部門にアプローチするのが、最も案件化しやすいか」ということである。

まずはアプローチ可能な部署のリストアップから始めたいが、年間取引が数百万円以上の規模の営業ならば、「検討部門」「ユーザー部門」「購買部門」の3視点を想定するのが基本だ。

要は企業によって発言権というか力を持っているのが、「検討部門」なのか、「ユーザー部門」なのか、「購買部門」なのかが異なるのだ。

だいたい商談の最初の窓口となるのは「検討部門」だが、予算、つまり財布を握っているのはユーザー部門だったり、購買部門だったりする場合が少なくない。

そうなると、「検討部門」ばかりに営業をかけても、決定権は別の部署になるので、決定権のある部門から好感触を得るほうが受注確率は高くなる。

アプローチ先の決定にはセオリーがある

この辺りは多くの営業パーソンが心得ているかもしれないが、差が出るのはここからだ。

こうした顧客のタイプは、どういった情報から分類していけばいいのか。それが分からないケースは多いのではないだろうか。

実は、これ、やんわりとしたセオリーがある。それに当てはめてみたり、断片的な情報から仮説を立てたりして対処するのがポイントになる。

例えば、あなたがIT業界の営業パーソンだとしよう。これまで取引のなかった大手企業や休眠顧客に営業を仕掛ける場合、企業を以下の方法でタイプ分けしていくといい。

まずは相手企業のIT部門、情報システム部門に役員がいるかどうかを調べたい。これはネットで簡単に検索できるはずだ。

役員がいる場合、基幹システム、プラットホーム、アプリケーションといった全権をIT部門が担っている場合が多いので、ターゲット先はIT部門、情報システム部門にするのが合理的な判断になる。

逆に担当役員がいなかったり、どこか別の部門との兼任だったりした場合は、プラットホームと基幹システムの主管がどの部署なのかを押さえたい。

なぜなら、双方をIT部門が担当しているケースもあれば、プラットホームのみをIT部門が担当し、基幹システムはユーザー部門が主管となっているケースもあるからだ。

後者の場合はユーザー部門にもIT部門があるので、基幹系の商材であれば、ユーザー部門をターゲットにしないと受注率が低くなってしまう。