不動産投資のなかでもアパートやマンションなどの賃貸経営は空室率の上昇や賃料の低下などによって家賃保証を巡りオーナーと不動産管理会社との間でトラブルが発生することがあります。しかし物件の選択次第ではそのようなトラブルに巻き込まれることは回避できるでしょう。トラブルを避け安定的に賃貸運用するためには、どんな選択をすればいいのでしょうか。今回は首都圏の分譲マンションの賃料動向を中心に考えてみましょう。

分譲マンションの賃料相場は上昇傾向

マンション
(画像=Photographee.eu/Shutterstock.com)

民間調査機関の東京カンテイによると首都圏、近畿圏の分譲マンション賃料は上昇傾向にあります。2019年10月における首都圏の分譲マンション1平方メートル当たりの賃料は2,911円でした。25平方メートルのワンルームに換算すると7万2,775円、70平方メートルのファミリータイプなら20万3,770円です。

2018年10月は1平方メートル当たりの賃料は2,846円ですから前年同月比では2.3%の上昇です。総務省統計局による2019年10月の消費者物価指数は前年同月比0.2%の上昇にとどまっています。そのため首都圏の分譲マンションの賃料は、物価上昇率2.0%を目指す日本銀行の目標にとって優秀な成績といってもいいのかもしれません。

ちなみに近畿圏の2019年10月における分譲マンション1平方メートル当たりの賃料は1,892円です。2018年10月の1,805円から4.8%の上昇でした。大阪はインバウンド需要や2025年に予定されている大阪万博、IR(統合型リゾート)の有力候補地とされているだけに賃貸ニーズが高まり首都圏以上に家賃が上がっている傾向です。

首都圏でも東京都の賃料および上昇率が高い

首都圏や近畿圏ならどこでもいいというわけではありません。例えば首都圏における2019年10月の前年同月比の上昇率は上記のように首都圏全体では2.3%の上昇で千葉県も3.8%の上昇です。しかし東京都だけに限ると5.3%の上昇と一際上昇率が高くなっています。一方、神奈川県は-1.3%、埼玉県-2.8%と下落です。

2019年10月の1平方メートル当たりの賃料は東京都が3,547円に対して埼玉県は1,654円です。25平方メートル当たりに換算すると東京都は8万8,675円で埼玉県は4万1,350円です。賃料水準には倍以上の差があるうえ賃料上昇率にも大きな違いがあります。そのため同じ首都圏でも、やはり人気の高い東京都への投資が最も効果的という見方ができるでしょう。

東京23区の賃料は前年同月比で5.4%の上昇に

東京都のなかでも東京23区の場合、さらに不動産投資の効率が高まります。下記図表の通り2019年10月における東京23区の1平方メートル当たりの賃料は3,716円です。25平方メートル当たりにすれば9万2,900円で利回り5%とすれば取得価格は約2,230万円になります。70平方メートルのファミリータイプに換算すると26万120円です。利回り5%とすれば取得価格は約6,242万円です。

価格はややそれなりに高くなるものの、それだけのメリットはあります。2018年10月の 1平方メートル当たり賃料は3,526円でしたから前年同月比では5.4%の上昇です。東京都平均の5.3%を少し上回り首都圏平均の2.3%を大きく上回っています。

図表 主要都市別分譲マンション賃料の推移    (単位:円/平方メートル)

図1
(参照:東京カンテイ『分譲マンション賃料月別推移』)

東京23区以外の賃料動向

首都圏の他の都市を見ると横浜市は前年同月比-0.8%、さいたま市は-3.6%と下落でした。千葉市は7.1%の上昇ですが前月比では-1.5%と下落しており月による変動が大きく投資先としては安定感に欠きます。なお近畿圏では大阪市の2019年10月の1平方メートル賃料は2,462円で前年同月比では4.2%の上昇でした。

近畿圏では大阪市より神戸市のほうが前年同月比の上昇率が6.3%と高くなっています。大阪市に比べて賃料相場が比較的低い分、賃料上昇余地が大きいという見方ができそうです。

このような市場状況や動向を踏まえると、これから不動産投資を考えている人は投資効果が高まると期待されている首都圏、特に東京23区の物件をターゲットに絞って物件選びから始めてみてはいかがでしょうか。(提供:Incomepress


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