(本記事は、阪井裕樹氏の著書『世界のトップは身につけている1分で相手の心をつかめ』株式会社コスミック出版の中から一部を抜粋・編集しています)

人はストーリーに共感してモノを買う

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人がモノを買う「決め手」はなんですか?

まずはこの質問を考えてほしい。

人がモノを買う理由、それは大きく分けて二つある。

一つは「○○したい!」という自分の欲求を満たすため。「服」を例にとってみよう。

服の役割は本来、「暑い」「寒い」という体が感じる温度調節のためにある。

それだけであれば、別に服のデザインは必要ないはずだ。

でも、たとえばTシャツ一つとってみても複数枚持っているように、人が服を買うのには別な理由が存在する。

それが、「デザイン」だ。

人は洋服の「機能」だけでなく「この服がオシャレ!」という「デザイン」が理由で買う場合も多い。それは、「服」という手段を通じて、たとえば、「自分が周りからセンスが良いと思われたい!」「モテたい!」という自分自身の「欲求」を満たすことができるからだ。

このように人は、自分の「欲求」を満たすためにモノを買う。

そして人がモノを買う、もう一つの理由が「痛み」を避けるため。

これはたとえば、僕のようなコンサルタントと契約するということにも当てはまる。

コンサルタントと契約する理由は、このままの状態でいくと将来的に危ないということがわかっているから、その想定される「痛み」を避けるために契約をする。

また、別な例で言うと、マッサージや整体に行くのは、肩こりや腰痛といった直接的な「痛み」を予防、もしくは緩和するために行く。

これも「痛み」を避けるために、サービスを買っているという例だ。

このように、人がモノを買う理由は、大きくわけると「快楽の追求」か「痛みを避ける」かの2種類しかない。

そして、その両方に共通する、さらに一つ視座を上げた先にある購入する「決め手」こそ、サービスやサービス提供者が持つ「ストーリー」だ。

たとえば、MacやiPhoneなど、常に新しい価値を世の中に生み出してきたApple。

スティーブ・ジョブズのスタンフォード大学の卒業式でのスピーチは有名だが、なぜあれほどまでに熱狂的なファンを生み出すことができたのだろうか。

その答えもストーリーにある。

Appleは「think different」という哲学を貫き通している。

つまり、他者と同じであることに対してまったく価値を置かず、むしろ他者から批判されること、異端児であることに価値を置いている。

そして、その姿勢を貫き通していると、次第に「経験」が蓄積され、やがてそれはAppleにしか語ることのできない「ストーリー」となる。

その代表例が、CM「think different」だろう。

(参考)https://youtu.be/W5GnNx9Uz-8

このCMでは、一切製品の話は出てこない。

Appleの考え方を伝えるために、世界中の「異端児」と呼ばれながらも、世界を変えた人たちが登場する。

このように、Appleやスティーブ・ジョブズの「考え方(哲学)」の部分と、「考え方(哲学)」に基づいてこれまで「行動、経験してきたこと」、それが合わさったものがApple「らしさ」となり、ストーリーとなって形づくられていく。

他の例を出してみよう。たとえば孫正義さん率いるソフトバンク。

ソフトバンクの理念は、「情報革命で人々を幸せに」だ。

この理念を見たとき、あなたはどのように感じただろうか。「あ、孫さんらしいな」とか、「ソフトバンクがやっていることを、ひと言で表しているな」といったことが頭をよぎった人も多いだろう。

ソフトバンクで働いているのであれば別だが、極端なことをいうと僕たちのほとんどはソフトバンクや孫正義さんとは関係がない。

それにも関わらず「孫さんらしいな」と思ってしまうのは、なぜか。

さきほどのAppleの例でも出てきたが、その人や会社が持つ「考え方(哲学)」の部分と、「考え方(哲学)」に基づいてこれまで「行動、経験してきたこと」、それが合わさったものが「ストーリー」となって形づくられていく。

そしてその「ストーリー」を顧客に対して「伝え」、その「ストーリー」が顧客に対して正確に「伝わった」状態。

この状態をつくることができたとき、そのサービスや会社は「ブランド」として顧客に認知される。

企業が持つ「ストーリー」が「伝え」「伝わった」状態となり、「ブランド」として一番わかりやすいのが「スターバックス」だろう。

スターバックスは従来の「コーヒーショップ」という概念を覆し、自宅と職場以外の第三の居場所、いわゆる「サードプレイス」というストーリーを「伝え」、そして「伝わって」いる。

これが全世界共通で「ブランド」として認知されているから、たとえば海外に行ったときにも、現地のスターバックスには安心して入店することができる。

いったん「ブランド」として顧客に認知されると、さきほどのソフトバンクのように、理念を見ただけで「孫さんらしいな」のような謎のロジックが顧客の頭中で発生し、勝手に顧客の中でイメージがつくられてしまう。

そうなると、勝手に顧客の中で信用が生まれ、商品・サービスの購入、口コミが勝手に起こっていく。

世界のトップは身につけている1分で相手の心をつかめ
阪井裕樹(さかい・ひろき)
株式会社Carpe Diem(カルペ・ディエム)代表取締役。「集める」のではなく「集まる」起業家集団Valuence Academy(バリューエンス・アカデミー)主宰。自分史コンサルタント。1987年生まれ、福島県出身。外資系企業の営業マン時代、「商品を売るのではなく自身の経験をもとにしたストーリーを語り、売り込むのではなく顧客と未来を共有する営業手法(単価300万円以上の高額商品)を確立。入社3ヶ月で世界No.2の売上を達成。在職中8,000人以上との出逢い、そこで培った「高額・無形でも売り込まずに、本当に必要としている相手から契約をお願いされるメソッド」を体系化する。のちに、そのメソッドを使って、「自分=商品」であるBtoC起業家に対してマーケティング・営業支援をする個人事業を開始。起業後はダブルワーク(副業)のため、「自分自身の顔出しNG」という制約があったものの、6ヶ月後にはサラリーマンの年収を超える。現在は独立して、確率したメソッド「ノート3冊文の自分史」「1分自分史」を用い、起業家・経営者の価値観を元にした事業設計・生産性向上・事業戦略の見直し支援を行っている。「無競合で法人契約獲得」「年商が2倍」「商品単価が6倍」「大手出版社より書籍を刊行して20万部超えおベストセラー」など、コンサル受講者の実績も多数。

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