投資信託のメリットは数多くあります。
「プロが運用してくれる」「分散投資によりリスクを抑えられる」の2大メリットは解説されることが多いために、投資信託の購入経験がない初心者の方でも耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、投資信託購入前には意外に気が付かない投資信託の重要なメリット「柔軟性」についてのお話です。
「柔軟性の魅力」とは
投資信託を用いた代表的な運用手法に、ポートフォリオ運用と呼ばれるものがあります。これは、複数の異なる資産を組み合わせることでリスクを抑えながらリターンを期待するというものです。
初心者の方でも、複数の異なる資産に投資する投資信託(バランスファンドと呼ばれます)を購入することで、簡単にポートフォリオ運用を実現することができます。
しかし、バランスファンドは、各資産への投資割合がはじめから決まっていることが多いので、自分で各資産への投資割合を決めたい場合は、バランスファンドではなく各資産に投資するファンドを自分で複数組み合わせて投資することになります。
この時に、投資信託が持つ柔軟性の魅力が発揮されます。
と言いますのも、投資信託は少額から購入できるからです。
例えば、国内株式に30%、外国株式に20%、国内債券に30%、外国債券に20%の割合で投資したい場合で考えてみます。
投資金額の合計が100万円のときは、各資産への投資金額を
国内株式に30万円、 外国株式に20万円、 国内債券に30万円、 外国債券に20万円、
とすることで、自分で決めた割合通りに投資できます。
仮に、投資金額の合計が1万円であったとしても、各資産への投資金額を
国内株式に3千円、 外国株式に2千円、 国内債券に3千円、 外国債券に2千円、
とすることで、自分で決めた割合通りに投資できます。
このように、投資金額が100万円でも1万円でも、自分で決めた割合通りに柔軟に対応できます。
これが、投資信託の持つ「柔軟性の魅力」の1つです。
柔軟性があることで、例えば年金の運用を参考にすることも可能です。
GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は公的年金積立金を管理・運用する機関で、160兆円を超える運用資金を持っています。
参考)GPIF「2019年度の運用状況」
公的年金積立金の運用は「基本ポートフォリオ」に準ずるとされており、その内訳が公開されています。
参考)GPIF「基本ポートフォリオの考え方」
投資金額が大きいか小さいかを問わず、この基本ポートフォリオと同じ投資割合で投資すれば、概ね同じ投資成果が期待されます。
また、少額から購入できるので、積み立て投資を行う際は投資金額に関わらずムダなく全額分買い付けることができます。イレギュラーな収入でスポット購入することも可能です。
少額であっても即座に運用に回せるというフットワークの良さも、投資信託の持つ柔軟性の賜物です。
他の金融商品に柔軟性があるとは言いにくい理由
一方、他の金融商品ではこのような柔軟性を発揮できるものは、余り多くありません。
個別株式・債券のように最低購入金額が大きいものは自分が購入したいように、購入できない可能性があります。
たとえば個別株取引において投資資金10万円の人は、投資資金1,000万円の人と比べると、投資資金の少なさから購入できる銘柄も同時に保有できる銘柄数も大きく制限されます。
投資を始めた後も柔軟性は発揮される
投資信託は解約(売却)も少額から可能です。
言い換えると、ご自身の資産を小分けに処理することが容易であるとも言えます。
ポートフォリオ運用をある程度続けていると、価格変動により当初の配分割合からズレが生じてくることがあります。
このズレを修正するためにオーバーウェイトしている資産を売却しアンダーウェイトしている資産を買い付ける作業を「リバランス」と呼びます。
リバランスはご自身の負うリスクを一定に保つためのメンテナンスとして、バランスファンドの場合を除きしばしば必要となります。
たとえば株式ファンドを5%売却して債券ファンドを5%買い付けるといった細かい調整ができるのも、投資信託の柔軟性があってこそです。
積み立て投資を終え、資産の取り崩しを行う際も少額ずつ小分けにしてゆっくりと売却していくことができます。
たとえば年間100万円のように定額で売却していくことも、年間3%のように定率で売却していくことも可能です。もちろんその年の状況に応じて取り崩す量を増減させることも自由自在です。
必要最低限だけ売却し、残存元本で運用を続けていけばそれだけ資産寿命を延ばすことも期待できるでしょう。
こういった資産の取り崩しの方法は「出口戦略」と呼ばれます。出口戦略は積み立ての方法と同じぐらい重要なものなので、あらかじめ考えておくと後で慌てずに済むかも知れません。
この出口戦略に選択の幅や自由度を与えるのも、投資信託の柔軟性と言えるでしょう。
また、資産を小分けにしやすいという柔軟性は複数の口座に資産を分ける時にも役立ちます。
たとえば、既に特定口座である程度の資産が積み上がっている場合は、特定口座で保有していた株式ファンドを売却し、つみたてNISAで同じ(もしくは同様の)株式ファンドを買い付けるという形で資産を移し替えることができます。
つみたてNISAは年間40万円まで投入できるため、毎年40万円分ずつ小分けに移し替えるという方法をとることができます。
逆にこれから積み立てを開始する場合は、つみたてNISAから優先して使用していき、年間40万円の枠を超えた分は特定口座で買い付けるという方法で税制優遇口座を最大限に利用することができるでしょう。
まとめ
当記事で解説した「柔軟性」は投資信託購入前には意外とイメージしにくいメリットかも知れません。
しかし、投資信託の「使いやすさ」「続けやすさ」につながる重要なポイントとなるため、魅力の一つとして活用してみてはいかがでしょうか。(提供:mattoco Life)
- ・投資信託のリスクと費用については、こちらをご確認ください。
- ・当ページは当社が作成した情報提供資料であり、金融商品取引法に基づく開示資料ではありません。投資信託をご購入の場合は、最新の投資信託説明書(交付目論見書)および目論見書補完書面の内容を必ずご確認のうえ、ご自身でご判断ください。
- 三菱UFJ国際投信株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第404号/一般社団法人投資信託協会会員/一般社団法人日本投資顧問業協会会員