外貨資産
(画像=Chester-Alive/Shutterstock.com)
世古口 俊介
世古口 俊介(せこぐち・しゅんすけ)
株式会社ウェルス・パートナー代表取締役。1982年10月生まれ。大学卒業後、2005年4月に日興コーディアル証券(現・SMBC日興証券)に新卒で入社し、プライベート・バンキング本部にて富裕層向けの証券営業に従事。その後、三菱UFJメリルリンチPB証券(現・三菱UFJモルガンスタンレーPB証券)を経て2009年8月、クレディ・スイス銀行(クレディ・スイス証券)プライベートバンキング本部の立ち上げに参画。同社同部門のプライベートバンカーとして、最年少でヴァイス・プレジデントに昇格、2016年5月に退職。2016年10月に株式会社ウェルス・パートナーを設立し、代表に就任。保有資産数百億円以上の富裕層、未上場・上場企業の創業家の資産保全・管理、相続・事業承継対策、資本政策・M&Aなどの企業価値向上対策、ファミリーオフィスサービス提供に従事。

こんにちは。ウェルスパートナー代表の世古口です。みなさんは最近の為替相場を見て、感じることはありますか。私は富裕層からお金を預かり、様々な国内外の資産で運用する仕事を15年間してきた仕事柄、毎日のように為替相場をチェックしています。そんな私が2020年の為替の動きを見て思うことは、「昔だったらもっと円高に動いていた」ということです。

この為替の動きを見て、2020年から私のお客様である富裕層は外貨資産を増やし始めています。円を売って外貨を買っているのです。なぜそういった投資行動になるのかを、現在あまり円高に動かなくなった為替相場の動きも含めて解説していきます。

2000年代前半と2020年前後の為替の動きはこう違う

2020年はまだ始まって1ヵ月半ですが、この短い間にもアメリカとイランが戦争になるかもしれないというニュースやコロナウイルスの拡大という、世界を一変させてしまうかもしれないショッキングな出来事が起きています。こういった悪いニュースが起こったときに真っ先に買われ、大幅に円高に動くのがこれまでの為替の動きでした。リーマンショックのときは米ドル/円は70円代まで円高に進み、2001年の9.11からブッシュ政権下のイラク、アフガニスタン戦争が起こった2004年までに最大で30円も円高に動いているのです。

しかし、最近ではアメリカとイランやコロナウイルスのようなニュースがあっても、ほとんど円高に動かないのです。最大で1〜2円、円高に動いている程度です。これが数年前や10年前だったら、感覚的に5〜10円くらい大幅に円高に動いているのではないでしょうか。

悪いニュースが起こっても、円高に進まない為替の動きは何を意味しているのでしょうか。私はこの現象は2つのことを示していると思います。1つ目は日本と世界の金利差がなくなっていること、2つ目は「日本の円が本当に安全通貨なのか」という疑問を世の中が持ち始めていることです。

世界を脅かすような出来事が起こっても円高にならない2つの理由