心身ともに健康で充実した生活を維持するための手法として、注目されているウェルネス。需要の高まりにともない、関連ビジネスから生まれる経済「ウェルネス・エコノミー」が、世界各地で急成長している。
2018年には4.5兆ドル(約466兆8,820億円*2019年3月12日レート)規模に達し、今後も成長を続けると予想されているウェルネス市場のトレンドと、今後の展望をご紹介しよう。
高齢化社会、消費者意識の変化により急拡大
ウェルネス関連ビジネスは、伝統的な医療や代替医療(アロマセラピー、ホメオパシーなど)から美容・アンチエイジング、フィットネス(デバイスやアプリを含む)、マインドフルネス、ツーリズム(世界各地のリゾートスパなどへの旅行)、栄養管理まで、多様な領域に及ぶ。
市場の拡大には、「健康で長生きしたい」と願う高齢者の増加がある。また、ブランド物などから得られるマテリアル(物質的)な満足感よりも、心身の健康や幸福を重視する消費者意識の移行も背景にあると考えられる。
健康状態を改善あるいは維持する目的で、食生活に気を使い、ジムやアプリ、ウエアラブルデバイスなどを利用して体を動かすことが、ウェルネス意識の高い消費者間のトレンドとなっている。
特に、次世代の消費を担うミレニアム世代(1980 ~1999年生まれ)の多くは、物質を所有するよりも経験を重視する傾向が強く、ウェルネスを習慣の一部としている。
人気のウェルネス分野トップ3
非営利団体グローバルウェルネス研究所(GWI)の調査によると、ウェルネス・エコノミーは2015~2017年にわたり、年間6.4%のペースで成長を遂げた。これは、世界の経済成長率(3.6%)のほぼ2倍の速度に値する。2018年には世界の総医療支出(7.3兆ドル)の半分以上、世界の経済生産高の5.3%を占める規模に達した。
具体的に、どのようなウェルネス分野がどれほどの規模に成長しているのか、同研究所の2017年のデータからトップ3を紹介するとともに、スタートアップや企業例を見てみよう。