次世代通信規格である「5G通信」は、いま世界中で注目されている新技術。大企業以外にも、5G導入に向けて積極的にチャレンジする企業は多く見られます。5G通信はビジネスを大きく変える可能性があるため、いち早く概要や現状を確認しておきましょう。

新たなビジネスの土壌になるか――「5G通信」のもつ可能性

5G通信でビジネスが変わる?今だから知っておきたい次世代通信規格がもつ可能性と現状
(画像=PIXTA)

5G通信とは、次世代の移動通信システムのこと。「第5世代の通信規格」とも呼ばれるこの技術は、新たなビジネスの土台として世界中で注目されています。

では、期待されている5G通信と現在の通信規格(4G/LET)とでは、どのような点が異なるのでしょうか。以下を見て分かるように、5G通信には現時点で課題が残されてはいるものの、これまでの規格にはなかった特徴がいくつか見られます。

5G通信の特徴(メリット) 5G通信の課題(デメリット)
・高速かつ大容量
・超低遅延
・デバイスの多数同時接続
・省電力、低コスト など
・用途の開拓
・安価で入手できる端末への導入
・国際的な活用方法 など

5Gの通信速度は10Gbps以上と言われており、これは従来規格の約10倍にあたります。さらに対応できる容量も増加しているため、たとえば高画質の動画を短時間で処理をすることが可能です。

また、1ミリ秒以下の低遅延や、従来比100倍以上の端末と接続できる点も5Gならではの強み。これらの特徴から、5G通信はリアルタイム性が求められるサービスや、私たちが普段使用するあらゆる端末・機器との同時接続が期待されています。

5Gはすでに導入・実用化が進んでいる

5G通信は実験段階のシステムですが、実はすでに導入・実用化が進められている分野もあります。

たとえばアメリカでは、大手プロパイダが5GとVR/AR技術を組み合わせた医療の検証を実施。これは患者が自宅で診療を受けるための取り組みであり、患者の映像や診療データをリアルタイムに共有することで、いわゆる「遠隔治療」を実現しようとしています。

2018年6月には、日本国内でもスポーツ分野における実証実験が行われました。この実験ではプロ野球の試合に5G対応のタブレットを活用することで、視聴者が見たい角度で観戦できる「自由視点映像」がリアルタイム配信されました。この自由視点映像は、コンサートなど他のエンターテイメント分野への活用も期待されています。

ほかにも自動車や建設機械の「自動運転」や、機械による製造過程をスムーズに変更する「スマート工場」など、実証実験されている分野は多岐にわたります。前述の遠隔治療のように別の最新技術と組み合わせれば、5G通信はさらに幅広い分野に活用できる可能性も秘めています。

展示会やコンテストに参加する中小企業も多数

5G通信の実用化に向けて行動を起こしているのは、大企業だけではありません。特に展示会やコンテストなどのイベントには、新技術の実用化にチャレンジする中小企業が多く見られます。

5G技術の土台を固める実験機器/CEATEC 2019

「CEATEC 2019」は、未来社会のコンセプトである「Society 5.0」にフォーカスした展示会。このイベントでは、5Gで検討されている周波数やミリ波に対応した「測定用アンテナ」が中小企業から出展されました。

これはソフト開発やハード開発など、5G通信に対応した端末のさまざまな実験を行うための機器です。この機器のように、新技術を土台から支えるような製品が充実すれば、5G時代の実現がぐっと近づくかもしれません。

5G通信による有害鳥獣対策/5G利活用アイデアコンテスト

5G利活用アイデアコンテストは、総務省が2018年から翌年にかけて実施した、新たな市場の創出などを目的にするイベントです。一次選考の段階で700件以上の応募があり、法人だけではなく大学の研究室などからもさまざまなアイデアが飛び交いました。

中小企業については、沖縄県の企業が「5Gによる有害鳥獣対策」で審査員特別賞を獲得。このアイデアは、複数のドローンやAIを駆使して有害鳥獣の生態を調査し、その大容量データをリアルタイムで端末に送信するというものです。

さらに効果的な罠の設置場所を分析したり、情報を漁師へリアルタイムで共有したりなど、鳥獣に悩まされる地域にとっては実に有用なアイデアでした。

時代に取り残される前に、5G通信に関する知識を

今回紹介した以外にも、豪雪などの災害対策や警備システムなど、5G通信を活かすアイデアは数多く生まれています。現時点では実験段階ですが、将来的にはさまざまな分野に5G通信が導入される可能性があるでしょう。

その波に乗り遅れると、現在の商品・サービスが一世代古いものになる影響で、中小企業は深刻なダメージを受けるかもしれません。特にITとの関連性が強い企業は、今からでも5G通信に関する知識を身につけておくことが重要です。(提供:企業オーナーonline


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