(本記事は、小林裕彦氏の著書『温泉博士が教える最高の温泉 本物の源泉かけ流し厳選300』集英社の中から一部を抜粋・編集しています)
十大絵になる温泉
浴槽と周りの景色が調和して、絵になる温泉を挙げました。
見た目でインパクトがある温泉と言ってもいいと思います。
●1 国見温泉石塚旅館 岩手県岩手郡雫石町橋場国見温泉
白色の浴槽にバスクリンのような緑色の源泉はインパクトがあります。敷地内から硫化水素型の硫黄泉が湧いています。
ビジュアル的にきれいな温泉で、日によって濁ったり、黄色になったりします。
●2 不老ふ死温泉 青森県西津軽郡深浦町大字舮作字下清滝15
不老ふ死というネーミングはあまりにも強烈です。しかし、その名前は決して名前負けしていません。泉質は食塩鉄泉で、茶褐色の塩分の強い湯で、ガツンとくる感じの泉質です。
露天風呂が海岸べりにあり、夕陽が沈む様子は、幻想的です。夕陽が熟したように赤く、日本海の水平線に静かに沈んでいく様子は、一日が本当に終わったんだなーと、まさに息を飲むほど荘厳な感じがします。
●3 広河原温泉 湯の華 山形県西置賜郡飯豊町大字広河原字湯ノ沢448-2
おそらく間欠泉に入ることのできる温泉はここだけだと思います。
炭酸ガスを含むナトリウム・カルシウム─炭酸水素塩・塩化物温泉が吹き上がる様は壮観です。
●4 草津温泉 奈良屋旅館 群馬県吾妻郡草津町草津396
湯畑から少し奥に入った所にある木造の旅館です。
緑白色の硫黄泉が楕円形の内風呂と長方形の露天風呂にかけ流されており、ビジュアル的にも美しいです。
●5 七味温泉 紅葉館 長野県上高井郡高山村大字牧2974-45
七味温泉という名前は、七種類の源泉をブレンドしているからとのことです。緑白色の硫黄泉と黒湯の硫黄泉が楽しめます。黄緑色の温泉と周りの景色のコントラストが絵になる温泉です。
●6 下諏訪 温泉みなと屋 長野県諏訪郡下諏訪町立町3532
この旅館は、一日に数組しか泊まれません。温泉は砂利を敷いた中庭に木造の露天風呂がひとつあるだけで、それだけで絵になります。宿泊者が時間を決めて順番に入ります。キシキシとした感じの単純泉です。
料理はいなご、ざざ虫、蜂の子のほか、馬刺しも出ます。古き良き宿場宿のなごりを感じさせてくれる旅館です。
●7 山代温泉 古総湯 石川県加賀市山代温泉18-128 日帰り
明治時代の総湯を復元したもので、レトロな感じが良いです。泉質は、ナトリウム・カルシウム─硫酸塩・塩化物泉で、濃厚な感じです。源泉が熱いので、少量しか源泉がかけ流されていませんが、塩分を含んだ、しっとりとする湯です。木造の建物とステンドグラスがいい味を出しています。
●8 箱根姥子温泉 秀明館 神奈川県足柄下郡箱根町元箱根110-1 日帰り
岩湯は、岩から源泉が勢いよく噴出しています。それが非常に熱いです。すのこを通って、熱泉の流れに足がつかないようにして、手前の浴槽に入ります。単純泉ですが、成分の濃厚さを感じられる温泉で、いかにも湯治場の温泉にふさわしい泉質です。
加えて、七五三縄が渋いですね。いわゆる自然の恵みに感謝して、いわゆるお祀りをしている温泉は東北などにいくつかあるのですが、七五三縄はかなり珍しいと思 います。
●9 武雄温泉殿様湯 武雄市武雄町大字武雄7425
外観は少し中華的な感じです。殿様湯という貸切風呂は、白と黒の大理石を組み合わせて作られており、コントラストがきれいです。鍋島藩のお殿様が入るために作られた歴史のある浴槽で、幕末にはシーボルトも入ったとのことです。
しっとりした感じのアルカリ性単純泉は、湯量も多いので、気持ちいいです。
●10 湯の峰温泉 つぼ湯 和歌山県田辺市本宮町湯の峰110
温泉としてはおそらく世界で唯一の世界遺産という貴重な温泉で、大人2名くらいが入れるほどの小さな浴槽です。予約はできず、30分間の貸切となっています。
泉質は、含硫黄─ナトリウム─炭酸水素塩泉で、季節によって1日に7回も湯の色が変化します。
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