上場株式や投資信託などの利益にかかる税金が非課税になるNISA(少額投資非課税制度)制度は、2024年から「新NISA」としてしくみが変わります。今回は、新NISAの発表を踏まえた上で、NISAや2018年1月にスタートした少額からの長期、分散投資を支援する「つみたてNISA(少額投資非課税制度)」をかしこく活用する方法を解説します。

2024年から始まる新NISA、現状のNISAとの違いは?

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(画像=PaeGAG/Shutterstock.com)

一般NISAの新規投資枠が2023年に終了することに伴い、2024年に新NISAが創設され、2028年まで投資できる期間は5年延長されます。新NISAはいわば、一般NISAとつみたてNISAを合体させたものと言えます。特徴を見てみましょう。

一般NISAの非課税枠が122万円、2階建てのシステムに変更

一般NISAは、年間120万円までの利益を非課税とできる制度で、最長で5年間利用できるものです。一方で、新NISAは非課税額が122万円と2万円増額された上に、非課税枠が二階建てのシステムに変更されます。

一階部分では株式投資を行えない

まず20万円の非課税枠となる一階部分は、長期的な資産形成で用いる投資信託やETFなどのみに投資できます。残りの102万円の非課税枠で構成される二階部分は、一般NISAと同様に個別の株式などにも投資できます。新NISAでは原則として、一階部分に多少なりとも投資しなければ、二階部分には投資できません。新NISAでは個別株式への投資のみならず、投資信託の活用も必須となるわけです。一階部分で投資できる対象は、現行のつみたてNISAの対象となっている投資信託のみとなります。

二階部分だけを利用するには届け出が必要

ただし、一般NISAを利用していた人や上場株式などの投資経験者は一階部分を利用しないことを証券会社に届け出れば、二階部分のみ利用できるという例外もあります。二階部分だけにした際は、投資対象は個別株に限られます。投資信託やETF、REITへの投資は認められません。投資枠は2階部分である年間102万円のみになってしまうなど、注意すべき点がいくつかあります。

なお、以前から利用者数が少なかった「ジュニアNISA(未成年者少額投資非課税制度)」は新NISAの開始に伴い廃止となります。

新NISAから見えてくる金融庁の個人投資への考え方

なぜ金融庁は従来型のNISAのしくみを変更し、新NISAを始めるのでしょうか? 結論から言うと、金融庁が「個人投資家に長期的な視点による安定的な資産形成を促したい」という考えを持っていることが背景にあります。

従来の一般NISAは、通常の証券口座と同様に個別の株式にも投資が可能です。そのため、NISA口座を使っているにも関わらず、短期的な利益獲得のために株式を売買してしまうようなケースが多く存在します。これは、金融庁の意図とは異なる利用方法と言えます。

そこで金融庁は、投資信託の利用を実質的に強制する新NISAを導入することで、多くの投資家に安定的な資産形成を実践してもらおうとしているのです。

いま、私たちは「NISA」と「つみたてNISA」のどちらを選ぶべきなのか

2020年のいまから投資を始める場合、どう考えればいいでしょう。新NISAが始まるのは2024年からです。また、従来型のNISAを使っている場合も、2024年には自動的に新NISAに移行します。したがって、基本的には新NISAへの影響をそこまで深く考えなくても問題ありません。

むしろ、気になるのは、NISAと、2018年1月にスタートした少額からの長期、分散投資を支援する「つみたてNISA(少額投資非課税制度)」のどちらを選ぶのかということです。というのも、NISAとつみたてNISAは、どちらか1つを選ばなくてはいけないからです。

NISAとつみたてNISAの違いは、1年間に積み立てられる金額と累積で積み立てられる金額が異なることです。NISAは1年間に120万円というまとまった額を拠出でき、5年にわたり5つの枠を同時に持つことが可能なため、拠出の上限は600万円ということになります。

一方、つみたてNISAの場合は年間40万円までと少ない代わりに、20年にわたって口座を維持できるのです。積み立てられる金額の上限は800万円までということになります。ただし、つみたてNISAの投資対象は、一定の条件を満たす投資信託やETFであり、個別株には投資できないことに留意しておく必要があります。

年間である程度の規模を投資し、かつ5年程度の比較的に短期間で利益を出したい方や株式に投資したい方は一般NISAを活用すべきでしょう。老後に備えて長期的な資産形成を実施したいならば、つみたてNISAがおすすめです。

長期的な投資を促すトレンドを理解しつつ、両者を上手に活用したい

金融庁が新NISAを始めることからわかるとおり、短期的な株式投資よりも、つみたて型の投資を長期的に行うほうが安定性は高まります。慣れていないならばつみたてNISAを選ぶほうが無難と言えそうです。もちろん、ある程度資産に余裕があるならば、一般NISAを使い、リスクを取って比較的短期間で運用することで、まとまったリターンを得ることが可能になるでしょう。自らの状況に応じて、両者を上手に活用したいところです。(提供:JPRIME


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