新型コロナウイルスの影響で、資金繰りに窮する中小企業や自営業者などに対する支援制度が次々に生まれています。ここでは、特に重要な支援制度と言われる「持続化給付金」と「各種融資制度」について解説します。

持続化給付金とは 前年同月比の売上が50%以上減少で使える

コロナ影響で売上が減った中小企業・自営業者をカバーする「持続化給付金&融資制度」を解説
(画像=mapo/stock.adobe.com)

「持続化給付金」は、2020年のある月の事業収入(売上)が「50%以上減っている」中小企業や自営業者などが対象です。これはあくまでも現金給付なので、返済する必要はありません。給付額は法人が200万円まで、個人事業主100万円までです。持続化給付金の特徴は、申請から振込までが早いことと、申請手続きが手軽であることです。

申請から給付金が振り込まれるまでの期間は、申請内容に不備がなければ「約2週間」が目安です。ちなみに、この制度の受付がスタートした5月1日に申請した人の一部は、この目安よりも早い約1週間後の5月8日には振り込まれたようです。

申請手続きは、持続化給付金の専用サイトで基本情報を登録し、インターネット経由で必要書類を送付するだけで完了します。現金給付額の計算式はシンプルで、以下の計算式に当てはめるだけで給付額がわかります。

・直前の事業年度の総売上-前年同月比50%減以上の月の売上×12ヵ月

持続化給付金をもらうためにクリアすべきこと

持続化給付金の主な受給要件に、事業規模や業種があります。具体的には以下のとおりです。

・2019年以前から事業収入(売上)があること
・今後も事業を継続する意思があること
・法人は資本金等が10億円未満、従業員数が2,000人以下(医療法人やNPO法人なども対象)
・個人事業主は青色申告または白色申告をしている人
・性風俗関連特殊営業や接客業務受託営業に関わる事業者でないこと
・政治団体や宗教上の組織でないこと

金融公庫のコロナ特別貸付とは 売上5%以上減少で使える

中小企業や自営業者の資金繰りを支援する制度には、「実質上無利子(または低金利)・無担保の融資」もあります。その代表が日本政策金融公庫の「新型コロナウイルス感染症特別貸付」で、対象は最近1ヵ月の売上高が前年(または前々年)同期と比較して、5%以上減少している企業や自営業者です。

最大融資額は6,000万円、要件を満たせば「特別利子補給制度」が併用でき、当初3年間は実質的に無利子(ただし3,000万円まで)になります(4年目以降からは金融公庫の基準金利が適用)。なお、返済期間は設備資金20年以内、運転資金15年以内で、それぞれ据置期間が5年以内です。

「特別利子補給制度」の要件

小規模事業者中小企業者
個人要件なし売上高-20%以上
法人売上高-15%以上売上高-20%以上

※小規模事業者とは、卸・小売業、サービス業は常時使用する従業員が5名以下の企業、それ以外の業種は同20名以下の企業。

日本政策金融公庫ではこの他にも、これまでに借り入れをした融資に対する金利引き下げ借り換えや、1年間の返済リスケジュールなどの特例なども用意しています。ただし、これらは要件を満たせばもらえる持続化給付金と違い、審査に通らなければ使えません。

商工中金、信用保証協会、民間金融機関などのコロナ関連の支援制度も

この他にも、数々の融資制度があります。主なものは、以下のとおりです。

・商工中金の危機対応融資
商工組合中央金庫のコロナ支援は、最近1ヵ月の売上高が前年(または前々年)の同期と比較して5%以上減少した事業者などに対し、限度額3億円を融資するものです。返済期間は設備資金20年以内、運転資金15年以内で、それぞれ据置期間が5年以内です。日本政策金融公庫の融資で登場した「特別利子補給制度」との併用で、当初3年間は実質無利子で融資を受けられます。

・信用保証組合の保証枠の拡大
信用保証協会では、経営が不安定になっている中小企業に対して、一般保証とは別枠で最大2.8 億円の保証支援を行っています。幅広い業種で影響が出ているエリアについては、借入債務の100%を保証(制度名称:セーフティネット保証4号)。重大な影響が出ている業種については、借入債務の80%を保証(セーフティネット保証5号)しています。

・民間金融機関のコロナ支援の融資
民間金融機関の融資でも、国が主導する実質無利子・無担保の支援策があります。こちらも、個人事業主と小・中規模事業者が利用できます。融資の上限額は3,000万円まで、融資期間は10年以内、据置期間は最大5年です。

保証料・金利については、個人事業主は-5%でいずれもゼロ、小・中規模事業者は売上高が-5%以上であれば保証料2分の1、売上高が-15%以上なら保証料・金利ともゼロです。利用を検討する場合は、メインバンクなどに問い合わせるといいでしょう。

資金繰りが厳しい場合は状況や借入額に合わせて、このような制度を適切に選択・併用してことが大切です。ある程度の額を確保したいのであれば、複数の制度を検討・申請するといいでしょう。(提供:Dear Reicious Online


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