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日経平均株価は年末2万4,000円台を目指す

三井住友DSアセットマネジメント チーフストラテジスト / 石山 仁
週刊金融財政事情 2020年7月13日号

 6月の日経平均株価は前月比1.9%上昇して引けた。新型コロナウイルスの感染拡大懸念が強まるなか、日本経済の回復は足踏み状態だったものの、米国株式市場が総じて堅調だったことが主因だ。

 その米国株式市場は、感染再拡大に伴う経済停滞懸念がくすぶるものの、雇用や景況感に改善の兆しが現れたことで投資家に安心感と自信が広がった。なかでも、ナスダック総合指数の堅調さは、S&P500指数、ダウ平均株価に比べて際立っている。同指数は7月2日も史上最高値を更新した。米国では、新型コロナの新規感染者数が増えても、それを乗り越えられるとの自信が期待形成の根底にある。その期待の中心が「情報技術」と「ヘルスケア」で、これらのウェイトの高い指数がナスダック総合指数だ。

 日本株式市場も米国と同様の傾向が読み取れる。MSCI日本を用いてセクター別指数の動きを見ると、3月以降「ヘルスケア」と「情報技術」が相対的に堅調な推移となっている。

 業績面でも両セクターが牽引役だ。MSCI日本の利益予想は、2020年が対前年比25.7%減、21年が同27.3%増、22年が同16.7%増であるのに対し、「情報技術」は20年が同2.3%減と小幅減益にとどまる上、21年、22年は過去最高益を続けて更新する見通しだ。また、「ヘルスケア」は20年に同6.3%増と増益見通しで、その後も過去最高益を更新すると予想される(ファクトセット予想)。

 今後の日本株式市場を見通すに際しては、米国経済・株式市場を展望する必要があろう。米国経済は、回復期から前進と後退、移動制限の緩和と感染再拡大を繰り返しつつ景気拡大期に進む可能性が高い。米国株式市場も、「情報技術」と「ヘルスケア」を中心に、金融緩和が長引く中で楽観と悲観を繰り返しながらも、上値を更新するパターンを予想する。

 日本株式市場は、米国株式市場との連動を維持しながら、緩やかに上昇すると想定する。「ヘルスケア」「情報技術」といったウィズコロナセクターが支えつつ、今年後半の世界経済の回復を受け、他のセクターへと期待の裾野が広がると考える。日経平均株価は9月末で2万3,000円台、12月には2万4,000円台を目指す展開となろう。

 今後、11月の米国大統領選挙が世界株式市場の大きな山場となる。人種差別やコロナ感染問題が経済対策と並んで議論の焦点となろうが、同時に米中のさまざまな分野での対立激化が懸念される。トランプ大統領は、自身の支持率が低迷すれば、米中対立を先鋭化させかねない。自国経済を弱めるほどの対立激化は回避すると思われ、大きな悪材料にはならないとみられるが、注意は必要だろう。

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