新型コロナ危機はニューヨーカーの生活様式に変容をもたらした。かつてニューヨーカーの通勤手段といえば地下鉄やバス等を利用するのが一般的であったが、密閉された空間は感染リスクが高いことから公共交通機関を避ける傾向が顕著となっている。もちろん、観光客の激減も影響していると見られるが、それを差し引いてもバスや地下鉄の乗客はあまりにも少ない。休日はほとんどガラガラだ。
一方で自動車の交通量はかなり増えたように感じられる。ニューヨークに限らず、米国では若年層の車離れが進んでいたが「Withコロナ」の局面で様相が一変、ソーシャルディスタンスを確保するために公共交通機関を避け、自動車を見直す動きが広がりを見せている。
新車は在庫不足、割安な中古車が人気
モーターインテリジェンスによると、今年4~6月期の米新車販売台数は前年同期比33.7%減の293万8744台で、リーマン・ショック後の2009年1~3月期(38.4%減)に迫る落ち込みとなった。新型コロナ危機で販売店の営業休止に加え、レンタカー業界のフリート販売の落ち込みも響いた。
フリート販売とはレンタカー会社等の大口顧客に対する「買い戻し権付き」の一括販売のことだ。調査会社ALGによると、新車販売に占めるフリート販売の割合は10~20%で、4~6月期は前年同期に比べ73.2%減少したという。
ただし、経済活動が徐々に再開し「Withコロナ」の局面を迎える中で新たな問題が浮上している。約2カ月間にわたって自動車工場が閉鎖した影響もあり、新車市場では需要の回復に供給が追い付けず、在庫不足が心配されている。消費者は営業担当者との値引き交渉で苦戦を強いられそうな情勢だ。一方、新車販売に先行して急回復しているのが「在庫が潤沢」な中古車市場である。