「withコロナ時代」に事業ピボットや事業多角化の一手として、あるいはこの独立・起業の選択肢の一つとして注目を浴びるスモールM&Aについて検討している向きも多いのではないだろうか。
スモールM&Aプラットフォーム「バトンズ」代表取締役社長 兼 CEOの大山敬義 氏は、日本M&A創業メンバーの一人であり、M&A業界で30年以上のキャリアを持つ。2018年に立ち上げた「バトンズ」は今年、登録者数が4万5000人を突破(2020年5月時点)、コロナ禍においても買い手の登録者数は1日平均約100名のペースで伸びているという。
だが、日本におけるスモールM&Aの歴史はまだ浅く、まとまって情報を得られる場は少ない。
ZUU onlineでは次世代を担うビジネスパーソンに向け、「スモールM&A入門編」となるセミナーを完全オンラインで企画。これからの新時代を切り開く第一歩としてほしい。
※以下、大山氏談。6月30日開催のオンラインセミナー『2時間で学ぶスモールM&Aで失敗しない方法』の一部を全3回にわたって抜粋・編集しお届けします
目次
「偉そうな人」は100%買えない理由
ネットの場合、売り案件がたくさん並んでいるので、買い手はなんだか(自分が買う方だからと)偉そうな気分になっちゃうんですが、(そういう人が)100%買えない人ですね。
一番イメージしやすいのは婚活アプリですね。婚活だから、相手がいるんです。確かに、向こう(売り手)に値段がつくんですけど、向こう側には他にも相手がいて、実はいい案件にはライバルが100人いたりするんです。
もちろん、思いっきり高い値段を提示する、というアプローチもありますが、それだと大変なので、相手に気に入ってもらう。という意味では男女の仲と全く同じ。「私だったらあなたの会社をもっと大きくできますよ」、「こういうビジネスプランがありますよ」、「自分は信頼できるパートナーなります」ということを思いっ切り言わないと、ライバルに負けるということになりかねない。というか往々にしてなります。
一生懸命やってきた会社をどう売ってもらうか?
企業をいくらで買う、売るという値段だけで考えたらほぼ100%買えないです、スモールの世界は。これは会社を売ったことのある人じゃないとなかなかわからないと思いますが、値段じゃないんですよ、ある意味。200万円、300万円高くても意味ないんです。
正直、自分が一生懸命やってきた会社をいい人にやってほしい。それはやはり悔いを残したくないからなんですよ。ビジネスマンとして作品ですからね、会社というのは。最後の最後の EXITするときに失敗して会社が潰れちゃったり、あるいは人から恨まれるなんてことは絶対にしたくないですよ。だから人を見るんです。
自分は相手に見られている。しかも、比べられている。そういう感覚を常に持っておかないと会社は買えない、ということを一つ覚えていただきたいなと思います。
スモールM&Aに必要な3つの能力
「スモールM&Aの中でどういう能力が必要ですか」とよく聞かれます。お金、というのはもちろん必要は必要ですがとりあえず置いておいて、大事な能力はこの三つです。
・再現性
一つは「再現性」というのがあります。大企業だったら人が1人、2人いなくなっても会社潰れるということはないのですが、小さな会社って人が一人いなくなるだけで、もしかしたらビジネスが続かない可能性があります。だから、どんな状態になっても自分がこのビジネスをもう1回再現できる、という自信とか、あるいは努力がいるんですよ。自分だったらこの業界、ここは得意だからちょっと落ちてもなんとかなるかなあ、とか。努力でもいいです。よくわからないけれど、これは面白そうなので自分が一生懸命勉強する覚悟がある。これでもいいです。
・現状把握
もう一つは、この会社のKPI、この数字さえ上げれば業績が良くなる、というものを見抜く力です。これはすごく大事です。後もう少し補足します。
・欠点補完
もう一つ、現状把握ができたあとでそれを補完する力。どうやって客単価を上げるか、売上を上げるか、そういうことを補完するための発想力とか行動力というのが必要なんですね。
概ねこの三つがあれば、小さな会社ですからなんとかなってしまいますよ、正直言うと。すごい技術力が要るとか、大金が要るとか、あんまりないですね。
スモールM&Aで失敗しない案件の選び方
最後にもう一個だけ話をしちゃいますが、「どういう案件を選んだらいいですか?」ってよく聞かれます。私はいつも4つ挙げています。