最近はキャッシュレス払いが増えているとはいえ、お買い物の際など、現金が必要になる場面も多いことでしょう。そのため、毎日の生活でATMを利用する機会を完全になくすことは困難です。普段は何気なく使っている人も多いであろうATMですが、利用する際に手数料がかかる場合、利用回数が増えればそれなりの金額になってしまうでしょう。

ただ、銀行や取引内容、曜日・時間帯などによってATMの手数料は変わってくるため、やり方次第で手数料の出費を抑えることもできます。この記事では、手数料の相場や影響を及ぼす要素、優遇サービスなど、銀行の手数料システムをお得に使いこなすためのポイントを解説します。

手数料
(画像=PIXTA)

ひとくちに「手数料」といっても、銀行の手数料にはさまざまな種類があります。通帳やキャッシュカードの再発行、残高やローン証明書の発行などにも手数料はかかりますが、一番身近でよく利用するのは「振込手数料」と「ATM利用手数料」でしょう。

振込手数料

銀行口座からの引き落としやクレジットカード払いなど、口座からの直接支払いを設定していない場合、毎月の家賃や仕送り、カードローン返済金、ネットで購入した商品代金などの支払いには振込を利用することになります。

振込先の銀行や支店、振込方法、振込金額などによって金額は変わりますが、振込をする際には基本的に必ず振込手数料がかかります。そのため、他行や他支店への口座に送金する場合は、たとえ自分の名義であっても振込手数料を徴収されてしまうことが一般的です。

振込はコンビニに設置されているATMでも手続きできますが、銀行のATMと同様に手数料がかかり、各銀行が定めた手数料が適用されます。一般的には、同じ銀行同士の振込よりも、他の銀行へ振り込む場合の方が手数料は高くなります。ただインターネット専業の銀行(以下、ネット銀行)であれば、他行宛てであっても条件付きで振込手数料を無料にできるところも多いです。

なお、自分が管理する預金口座の間で資金を移し変える取引は「振替」と呼ばれています。同一銀行かつ同一支店内の同一名義の口座間での資金移動に当たるもので、例えば普通預金口座と貯蓄預金口座間で資金を移動させるケースなどが該当します。振替はATMでも手続きを行うことができ、通常は手数料がかからないことが多いです。

ATM利用手数料

ATM利用手数料の主なものは、入出金といわれる入金と出金の手数料でしょう。どちらの場合も自分の口座がある銀行に設置されているATMを利用すれば無料となる場合がほとんどです。ただ銀行により少しずつ違うものの、口座があっても平日の早朝や深夜、土・日・祝日などは手数料がかかることが多いです。

そのほか残高照会、暗証番号変更などもATMで対応していることが多いのですが、基本的にこれらは無料で利用できるようです。

他の銀行ATMやコンビニATMを使った場合には、基本的にいつでもATM利用手数料がかかることがほとんどです。ただ一般的に、ネット銀行は提携先のATMで手数料を優遇しているケースも多いです。また、コンビニ銀行に口座を開設していれば、一部の時間を除き基本的にそのコンビニのATMでは入出金手数料はかかりません。

手数料に注目すべき理由を確認

自分の銀行の手数料に慣れてしまい、その金額が当たり前と思っている人もいると考えられますが、よく調べてみると銀行や利用方法によってかなり差があることがわかります。そのため、手数料に注目すべき理由をあらためて挙げていきます。

手数料の利用頻度で最も多く、必要性も高いのは、おそらくATMからの出金手数料ではないでしょうか。1回ごとの出費はそう多くはないものの、回数が増えればそれなりの金額になってしまいます。たとえ小額の出金でも同じ金額の手数料がかかるため、月額や年額で計算してみると合計でかなりの手数料を支払っていることになる可能性もあります。

また、頻度としてはそう多くはないかもしれませんが、振込手数料にも留意する必要があります。出金するだけではなく、振込先口座への入金もあわせてできることから、ATMからの出金手数料に比べて高めであり、振込先が他の銀行だったり振込金額が増えたりすればさらに高額となるからです。

入出金や振込などATM利用手数料の相場

実際のATM利用手数料はいくらぐらいなのでしょうか。銀行や利用目的などで異なるものの、標準金額はだいたい以下のようになっています。手数料の相場をある程度知っておくことにより、自分が日常的に利用している銀行やATMの金額と比べることができるでしょう。

入出金や残高照会手数料

自分が口座を持っている銀行の場合、一般的に早朝や深夜を除く平日であれば入出金手数料は無料となる場合が多いでしょう。基本的に早朝や深夜は110円~220円、土・日・祝日は通常時間帯で110円、早朝や深夜は220円がかかります。残高照会・通帳記入・暗証番号変更については、一般的に無料と考えて構わないでしょう。

他の銀行やコンビニなどのATMを使った場合は、平日の通常時間帯で110円、早朝や深夜で220円、土・日・祝日では220円程度がかかることがほとんどです。残高照会は基本的に無料となります。

振込手数料

振込手数料は、振込先と振込金額によってかなり違ってきます。ATMが設置されている銀行内口座への現金による振込であれば、3万円未満ならば220円、3万円以上ならば440円程度というのが一般的です。他行への振込となると、3万円未満で440円、3万円以上であれば660円とかなりの高額になるため注意が必要です。

各銀行のサイトには振込手数料の一覧が掲載されていますが、仕組みが複雑なためそれを見ただけではわかりにくい場合もあるでしょう。基本的には、振込先や振込金額、振込方法などの状況によって細かく料金が分かれています。ただ、他行への振込手数料金額については、特別に提携していない限り基本的には横並びで、どの銀行でも大差はないとの理解で大きな問題はないでしょう。

ATM利用手数料に影響を及ぼすさまざまな要素

ATM利用手数料の金額は、さまざまな要素によって変わってきます。それぞれの銀行で少しずつ違うものの、影響を及ぼすことが多いのは下記のようなケースといえるでしょう。

曜日と時間帯

最も一般的な要素としては「曜日」と「時間帯」が挙げられます。銀行によって異なりますが、基本的にはどの銀行でも手数料に差が設けられています。

曜日は主に「平日」「土・日・祝日」に分かれていて、平日の手数料は無料または低く抑えられ、土・日・祝日では高めとなっています。大晦日や年始の3が日も祝日として設定されていることが多くなっています。

時間帯については細かく分かれているうえ、銀行によってかなり幅があります。午前8:45から午後6:00を日中の通常利用時間帯としている場合が多く、手数料は口座を開設している銀行に設置されているATMであれば無料、コンビニATMでも安く済む傾向があります。その前後の早朝深夜時間帯になると、2倍程度まで上がるケースが目立つため注意が必要です。

利用回数

銀行によっては利用回数の上限を設け、出金手数料や振込手数料を無料にするサービスを行っているところもあります。主にネット銀行で実施され、回数は異なりますが出金手数料は月に3~10回程度、振込手数料も最大7回程度に設定している銀行もあります。こういった設定回数内で利用していればお得ですが、規定の回数を超えると有料になってしまうため、あらかじめ確認しておくことをおすすめします。

会員向け優遇サービス

最近広がっているのは「会員向け優遇サービス」で、銀行ごとに条件や特典は異なるものの、振込手数料が無料になったり割引されたりといった優遇措置を受けられるケースがあります。会費もかからず、あらかじめ申し込み手続きをしておくことで、条件さえ満たせば使うことができるようです。

サービスを受けられる条件はさまざまですが、基本的に給与や公的年金の受取口座としての指定やインターネットバンキングの利用、一定以上の預金残高、提携クレジットカードの利用などが条件となります。こういった条件を満たしていれば、ATMの出金手数料や振込手数料が無料になるケースも多いです。取引条件によってステージ分けしている銀行もあり、ランクが高いほど優遇されます。

手数料をお得にする方法は他にもある

銀行の手数料についていろいろ説明してきました。その上で、お得に利用する上で留意すべきポイントをいくつか挙げてみると、下記のようになります。

振込手数料はネット銀行の方が安い傾向がある

ネット銀行は、同じ銀行の口座間での振込ならば、振込金額にかかわらず手数料がかからないところもあります。他行宛てでも200~300円程度のところが多く、条件付きで無料にできる場合も多くなっています。従来型の銀行と比べると、一般的にネット銀行はお得といえるでしょう。

利用の曜日や時間帯に注意する

上述したように、平日に比べて土・日・祝日は入出金手数料がかかったり高くなったりすることが多いです。時間帯についても、早朝や深夜は手数料が上がり、通常時間帯の2倍に上がる場合もあるので注意が必要です。

多数のATMに対応した銀行を選ぶ

条件によって手数料がお得になる場合もあるため、多数のATMに対応している銀行を選べばメリットも多くなるでしょう。特にネット銀行は、コンビニなどに設置された提携先ATMの出金手数料や振込手数料を毎月一定回数無料にしているケースが多く、こういった利点を活用した方がよいでしょう。利用できるATMの数が多く、手数料も優遇される銀行を選ぶことをおすすめします。

残高やサービスの利用でさらにお得になる

各銀行は優良顧客向けに会員サービスを拡充しているので、改めて確認しておくとよいでしょう。一定の残高を預金していたり、クレジットカードを利用したりするだけで、他行への振込手数料が月に何回か無料になるサービスを提供している銀行もあります。

手数料を比較し上手な利用法を考えよう

銀行の手数料体系はかなり複雑なため、お得に使いこなすことは難しいと思う人もいるかもしれません。しかし、振込や入出金などの利用手数料を年間で見た場合、かなりの金額になるということを再認識する必要があります。

特定の銀行を選んで取引を集約すれば、手数料の負担を大きく減らすことができる可能性もあります。まずは各銀行のサービスを確認し、使い勝手やお得さを比較したうえで、優遇が受けられる上手な利用法を考えてみてはいかがでしょうか。

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