コロナ禍において、会社を引き継ぐ「事業承継」は待ったなしの状況になっている。だが、方法やタイミングを誤れば大きく損をしてしまう。そこで特集「倒産しない事業継承ノウハウ」の第2回は「親族内承継」のテクニックをお伝えしよう。

税金をタダにする特例措置

経営者,相続
(画像=mapo / pixta, ZUU online)

親族内に後継者がいる場合、株式を相続したり贈与したりする際の税金をいかに少なくするかがポイントだ。そこで最初に検討すべきは「事業承継税制」の「特例措置」だ。これは、事業承継を進める必要性があると考えた国が、2018年度の税制改正で導入したものだ。

事業承継税制とは、後継者が株式を相続や贈与で引き継いだ際に、本来支払うべき多額の相続税や贈与税の納税が猶予される制度。引き継いだ後継者が亡くなると、猶予されていた税金は免除される。

この税制が導入されたのは2009年のこと。だが、対象とされていた株式は全体の3分の2まで。猶予割合も贈与で67%、相続で53%が上限とされていた。また、5年間は8割の雇用を維持しなければならないといった要件もあり、結果的に、わずか1965人にしか利用されなかった。そのため国は「特例措置」を導入、格段に使いやすくしたのだ。