中国では、デジタル人民元”红包”パイロットテストが実施され、「深圳建设中国特色社会主义先行示范区综合改革试点实施方案(2020-2025年)」といった政策も発表されるなど、デジタル通貨を巡り、国際社会において大きな存在感を発揮しています。

今後は、決済不履行など金融リスクを回避するためにもCBDCの活用は各国で進むことが予想されます。

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(画像=STOnlineより)

2020年代において技術的進化への対応が遅れることは、国際競争力の低下を招くことに繋がり、すでに大きな市場優位性を有するデジタル人民元への関心は今後も高まることでしょう。

本稿では、深センで行われたデジタル人民元”红包”パイロットテストについて解説し、実際の使い方や活用事例について紹介していきます。

※红包=ご祝儀の意味

目次

  1. デジタル人民元の使い方や活用事例
  2. デジタル人民元 WeChat・Alipayとの違い
  3. まとめ

デジタル人民元の使い方や活用事例

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・デジタル人民元の使い方(デジタル人民元”红包”パイロットテストの場合)

1 デジタル人民元APPをダウンロード
2 デジタル人民元ウォレットの登録
3 登録後、アカウント開設で200元分のデジタル人民元が配布
4 デジタル人民元対応店舗で利用可能

今回のパイロットテストは、「i深セン」システムの抽選に当選した5万人にデジタル人民元ウォレットを配布する画期的な取り組みとして各国で多くの注目を集めました。

CBDCに関する研究が各国で行われていますが、5万人のユーザーがそれぞれ200元相当のデジタル通貨を3389店舗で利用できるパイロットテストの実施は現在、日本や米国、ヨーロッパにおいても予定されていません。

これほど大規模な取り組みを早期に実施できた大きな理由としては、2014年から研究を積み重ねていたことや2020年1月1日の暗号法の制定によって、国家的な枠組みでブロックチェーン事業を推進することができるようになったことがあげられますが、WeChat・Alipayなどキャッシュレス決済が広く普及する市場環境もデジタル人民元の活用を促進。

深セン羅湖区においては、デジタル人民元に対応した決済システムが3389店舗に導入されており、ユーザーはスマホ決済・クレジットカードの他にデジタル人民元を選択することができます。

すでにウォールマート深セン洪湖店や深センブックシティ羅湖店ではデジタル人民元対応の表記や紹介がなされており、小売市場を中心にその活用が見込まれています。

デジタル人民元 WeChat・Alipayとの違い

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スマホ決済は日本でもPayPay・楽天Payが普及しており、沖縄などではAlipayが利用できるなど、中国企業と日本経済の結びつきが深まっています。

デジタル人民元は、銀行券/貨幣と同じ機能を有し、ファイナリティのある決済手段である一方、AlipayやWeChat Payは金融機関の預金口座を経由して決済が行われるため未決済残高の決済不履行など潜在的な金融リスクを有しています。

日本では、未決済残高を一定期間蓄積し、受取と支払の差額分を決済する「時点ネット決済」が採用されており、金融機関の預金口座を経由した決済への依存を緩和するためにCBDCが普及が期待されています。

中国でもデジタル人民元が普及することで、金融システムのリスクを軽減することが期待されており、「制御可能な匿名性、技術的な中立性、プログラマブルマネー」といった特徴も有しています。

実証段階では、オフライン状態でも端末をぶつけ合うことで決済ができることが確認されており、今後はユーザーエクスペリエンス(UX)の向上など、2022年北京オリンピックでの実用化に向けた取り組みが大きな注目を集めそうです。

まとめ

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中国では2014年からデジタル通貨の発行に関する技術調査チームを設立し、2020年からは各省におけるパイロットテストを実施しています。

10月11日には、中国共産党中央委員会総局と国務院総局は、「深圳建设中国特色社会主义先行示范区综合改革试点实施方案(2020-2025年)」を発表。

この政策は、デジタル人民元のパイロットテストのさらなる開発を支援し、R&Dと国際協力を推進することを提案しています。

将来的にデジタル人民元は、より多くの小売業で活用できるだけでなく、各業界における支払いシステムの運用効率向上やコスト削減を実現できるとされ、増え続ける決済/取引の需要を満たす新たな金融システムを構築することでしょう。(提供:STOnline