「人望というワクチン」は、日々の改善からしか得られない
では、ジェラシーに足を引っ張られないためにはどうしたらいいのでしょうか。再び月並みな言葉で恐縮ですが、「人望」を高める他ありません。「人望のある人」という評価を得ることで、足を引っ張ろうとする側も、悪口や陰口を言いにくくなります。批判した自分が悪者にされる恐れがあるからです。
「人望」は一朝一夕に生まれるものではありません。何かの結果の蓄積が「人望」と表現されるものであり、こうすれば人望が高まるという方法があるわけでもありません。
それでも、40代になったら「自分には人望があるだろうか」と、ときに自分を顧みてください。身の周りにいる「人望のある人物」と比べてみるのもいいでしょう。
その結果、「自分にはちょっと人望が足りないな」と思うなら、その原因となっている行動を一つでいいから変えてみましょう。例えば、「どうも忙しいとピリピリしがちだ」「部下の発言をさえぎって話してしまうことが多い」というのなら、それを一つひとつ改善していくのです。
「どうしても許せない人物」を利用してしまおう
それでも、半沢にとっての大和田常務のように、「どうしても許せない」という「敵」が存在する人もいるかと思います。ならば、その人をいっそ「アンチモデル」にしてしまうのはどうでしょうか。
アンチモデルとはロールモデル(見本)の反対、つまり「この人のようにはなりたくない」という、いわば悪い見本です。
40代ともなれば管理職として活躍することが求められますが、管理職は多くの部下から見られる立場です。長所を伸ばすだけでなく、短所をなくすことが求められます。その際、「人の振り見て我が振り直せ」ではありませんが、アンチモデルが反面教師として役立つのです。
そういった人物を見て「嫌だな」と思うだけでなく、アンチモデルとして「自分もそうなっていないだろうか」と見直す機会にするのです。
アンチモデルにはもう一つ、大きな効能があります。こうした「嫌な人」と接すると、こちらも嫌な気分になるものです。しかし、嫌いな人物をアンチモデルとして「学びの対象」とすれば、その人と接する苦痛が緩和されるのです。
年齢を重ねて物腰が柔らかくなった人に対して「あいつも丸くなってしまったな」と言われることがありますが、それで全然OKです。40代にもなって尖ったままの人間は誰からも迷惑がられ、結局、結果を出すこともできないのです。
半沢も今後、出世街道を歩むためには、どこかで「倍返し」から「恩返し」に変わる必要があるのかもしれません。
大塚寿(エマメイコーポレーション代表)
(『THE21オンライン』2020年09月23日 公開)
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