ビットコイン(BTC)の時価総額は3,500億ドル(11月25日時点)を突破し、大手金融機関であるJPモルガンの時価総額を上回るなど、機関投資家の参入や決済サービスPaypalでの投資サービスが開始されたことを背景にデジタルアセット市場は大きな発展を遂げています。

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(画像=STOnlineより)

米国の資産運用会社である「VanEck」はS&P500とボラティリティを比較した場合、29%の銘柄はビットコイン(BTC)よりも価格変動(ボラティリティ)が高いことを調査レポート「Bitcoin: Less Volatile Than Many S&P 500 Stocks?」において指摘。

2017年に始まったデジタルアセット投資の多くは、詐欺まがいのプロジェクトが多く存在したことから各国の規制当局が、投資家保護を目的とした法整備を行い、市場全体のリテラシー向上が図られてきました。

すでに3年の月日が経過した現在、ビットコイン(BTC)は絶対的な希少性を有する新たなアセットクラスとして多くの機関投資家から注目を集めるポジションを確立し、資本市場に新たな可能性をもたらしています。

本稿ではデジタルアセットに関する最新事例を紹介し、デジタルアセット機関投資家である「Pantera Capital(パンテラキャピタル)」の取り組みを参考に市場の将来性について解説していきます。

目次

  1. Pantera Capital(パンテラキャピタル)について
  2. デジタルアセット市場について
  3. まとめ

Pantera Capital(パンテラキャピタル)について

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デジタルアセット機関投資家である「Pantera Capital(パンテラキャピタル)」は、1億7,500万ドルの資金調達を目指し2018年に立ち上げた投資ファンド「ベンチャーファンドⅢ」で1億6,400万ドルを調達。

投資ポートフォリオにはBakkt、BitGo、Coinbase等のデジタルアセット取引サービスを提供する企業が名を連ねており、Filecoin、Kyber、Polkadotにも「パンテラキャピタル」は投資を実施しています。

「パンテラキャピタル」が発行したレポート「Bitcoin Shortage」においては、PayPalが利用するデジタルアセット取引所itBitの取引高の増加からPaypalのデジタルアセット投資サービスを介してビットコイン(BTC)の新規発行分の70%が購入され、PayPalとCashAppを合わせると、新規発行分のすべてのビットコイン(BTC)の100%以上をすでに購入していると推測しています。

最近では、米証券取引委員会(SEC)への申請書類「FORM D」を通じて、投資家137人から$ 134,068,725米ドルの資金調達(増資)を行ったことが明らかになるなど、「パンテラキャピタル」の存在感はデジタルアセット市場においても日に日に大きくなってきています。

「パンテラキャピタル」は「Bitcoin Shortage」の他にも下記のようなウェビナーや各種レポートを発行しており、デジタルアセット市場を分析する上では非常に有用性の高い内容となっています。

デジタルアセット市場について

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11月25日には、暗号資産取引所バイナンスの1日の取引高が372億9,144万ドル(11月25日時点)を記録しており、デジタルアセット市場に多くの資金が集まっていることがわかります。

個人投資家は従来の暗号資産取引所のみならず、Squareが提供するCashApp、PayPalを利用して投資ができるようになり、ビットコイン(BTC)は絶対的な希少性を有する資産として機関投資家の市場参入を促しています。

デジタルアセットの分析を専門とするChainalysisは、ビットコイン(BTC)が100万ドル(約1億400万円)以上、取引所から送金されたデータレポートを発表。

その中では、1週間ごとにどれだけビットコイン(BTC)が100万ドル(約1億400万円)以上取引されているかが示されており、2020年は2017年,2018年と比較して19%の増加となっています。

取引のデータからも機関投資家が参画していることが明らかになっており、「パンテラキャピタル」の「Bitcoin Shortage」の分析からもわかる通り、個人投資家/機関投資家層の獲得にデジタルアセット市場は成功しています。

特異的な資産性を提供するビットコイン(BTC)もさることながら規制当局による投資家保護への取り組みからCashApp、PayPal等のインフラ提供まで多角的なアプローチを各企業がここ数年で行っており、「パンテラキャピタル」が出資した「Globe(グローブ)」はデジタルアセットデリバティブ取引所の設立を目的としているなど、新たな市場の形成が今後も見込まれます。

デジタルアセット運用会社「Grayscale Investments(グレイスケール・インベストメンツ)」が提供するビットコイン投資信託「Grayscale Bitcoin Investment Trust」は50万ビットコイン(BTC)以上を運用していることが明らかになるなど、多岐にわたる分野でデジタルアセットの利活用が進行しており、将来的には日本においても大手企業によるビットコイン(BTC)購入が行われるかもしれません。

まとめ

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パンテラキャピタルは、これまでブロックチェーンスタートアップ企業への投資を行っており、「BitGo」に買収された不動産セキュリティトークン企業「Habor」への出資も行っていました。

日本でポイントサービス「モッピー」を提供している株式会社セレスも「ベンチャーファンドⅢ」には出資を行っており、デジタルアセット市場におけるパンテラキャピタルの存在感は今後も大きくなることが予想されます。

1億6,400万ドル規模の投資ファンド「ベンチャーファンドⅢ」に引き続き、134,068,725米ドルの資金調達(増資)を発表したパンテラキャピタルがどのようなブロックチェーンスタートアップに投資を行うのか大きな注目が集まりそうです。(提供:STOnline