米国においては中国企業がS&Pダウ・ジョーンズ・インデックスの株価指数から除外され、両国の政治的緊張が高まりをみせています。

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企業や年金基金が中国政府との繋がりのある企業への投資を行わないようにする大統領令が発布されたことで、米国証券市場においてはFTSEラッセルも中国株式の除外を実施。

デジタル証券/資産投資市場への関心は高まりをみせており、2021年もその傾向が続くことが予想される一方で、米国では戒厳令(martial law)や2018年9月の大統領令に関する議論が行われており、内戦/軍事行動への懸念が高まる中、デジタル資産は現金に代替される新たなアセットクラスとして資本市場に根付いていくことが期待されています。

国際社会が大きな分断の時を迎える中、デジタル資産市場においてはデジタル証券やビットコイン投資に関する事例が相次いで報道されており、各事例を本稿では紹介していきます。

目次

  1. デジタル証券 インフラストラクチャーの整備に向けて
  2. デジタル資産 企業財務への活用と銀行の市場参入

デジタル証券 インフラストラクチャーの整備に向けて

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日本ではNTTデータ社がセキュリタイズ社との協業を発表し、デジタル証券の発行プラットフォーム開発/提供にむけた取り組みを進めていくことを発表。

証券取引所/証券会社が運営を手がけるデジタル証券取引所の開発は各国で行われており、スイスでデジタル証券取引所としてローンチが予定されるSIXデジタルエクスチェンジとSBIデジタルアセットHDがシンガポールで合弁会社の立ち上げを予定。

東京東海FHDがシンガポールのデジタル証券取引所「iSTOX」に日本国内の不動産を裏付け資産にしたデジタル証券の上場計画を発表するなど、デジタル証券市場においては日本企業の海外展開が2020年は活発です。

証券市場においてはブロックチェーン技術を活用したデジタル証券の有用性が検証されており、SIXデジタルエクスチェンジにおけるデジタル証券をCBDCで決済する実証が行われています。

今週は下記のようにさまざまな企業がデジタルな資産や証券について取り組んでおり、2021年以降はさらなるエコシステムの拡大が期待されます。

・UBS GroupAGは、シンガポールで開催されたFinTechフェスティバルにおいて「デジタル資産とトークン化」について好意的な姿勢をみせており、スイス市場については「ほぼ無限の可能性」と述べました。

・米国のデジタル証券取引所(ATS)「tZERO」は注文管理取引プラットフォーム「FlexTrade」との技術統合を完了し、投資会社である「DA Davidson&Co.(DA Davidson)」の顧客はデジタル証券「OSTKO」の取引が可能となりました。

・Tezosブロックチェーンを活用したトークン化プラットフォームをTheBlockchainGroupとBNPパリバが共同でローンチする他、インドにおいても金と銀をトークン化する目的でFintechプラットフォーム「Oropocket」がTezosブロックチェーンの活用を発表。

デジタル資産 企業財務への活用と銀行の市場参入

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MicroStrategy社、Square社が巨額のビットコインへの投資を行ったことで、各米国企業はインフレへのヘッジ手段としてデジタル資産を認識するようになりました。

Fidelity Digital Assets社は「WHY CORPORATE TREASURERS MAY CONSIDER BITCOIN」と題されたコラムの中で、企業財務の新しい傾向としてMicroStrategy社、Square社などの事例を紹介。

貸借対照表の規模と事業の性質に応じて、企業財務はリスク管理/リターンを高めるためにさまざまな資産を保有する必要があり、資本の大部分を低リスク資産に割り当てることが重要であることを前提に企業がバランスシートを最適化するための新しい方法としてビットコインへの関心が高まっていることを紹介しています。

日本では新型コロナウイルスの感染拡大の影響で経済活動が停滞傾向にありますが、米国においては大統領選挙の混乱とともに米中が軍事的衝突を起こす懸念が生じており、現金で資産を有していることへの危機感は日本よりも大きいと考えられます。

そのような中、生命保険会社であるMassachusetts Mutual Life Insurance(MassMutual)社は、ビットコインへの1億ドルの投資を発表。

1851年に創業した伝統的な保険会社であるMassMutual社は、ビットコイン投資ファンドを運営するNew York Digital Investment Group(NYDIG)社へ500万ドルへの投資を実施するなど、かねてよりデジタル資産市場へ参画していました。

今回の1億ドルのビットコイン投資に際してもNYDIG社がMassMutual社に対してカストディサービスを提供しており、投資による資産運用のみならず管理サービスへの需要の高まりも確認できます。

MassMutual社は、2020年9月30日時点で一般投資勘定として約2,350億ドルを運用/管理しており、1億ドルのビットコイン投資はその0.04%に該当します。

歴史的な低金利、コロナウイルス感染拡大による流動性の低下、購買力の潜在的な損失リスクを検討し、ビットコイン投資を実施した企業は2020年8月から12月にかけて12,000ドルから19,000ドルへと価格が上昇した恩恵を受けており、従来の市場との相関性が低い投資の1つとしてさまざまな企業がビットコインへの関心を高めています。

デジタル資産に関するインフラストラクチャーの整備も各国では進んでおり、シンガポールではDBS(The Development Bank of Singapore)銀行がデジタル資産取引所DBS Digital Exchangeのローンチを来週に予定。

BBVA(ビルバオ・ビスカヤ・アルヘンタリア)銀行もスイスでのビットコイン取引/カストディサービスの商用利用に向けて試験的な取り組みを開始しており、2021年1月のローンチを目指しています。(提供:STOnline