リーダーにとって最も大切な「自責思考」

そもそも、上司が不満や苦言を呈するのは、「自分が求めている結果が手に入らない」からでしょう。であれば、不満や怒りというマイナスな感情をぶつけることが、本当に自分が求めるものを手に入れる効果的な手段であるかどうかをよく考える必要があります。

しかも、その求める基準も上司が決めた基準であり、「部下の身の丈に合っているかどうか」「部下がその基準に納得しているかどうか」というと、必ずしも合致していないケースが多いものです。

私が考えるリーダーにとって最も大切な思考は「自責思考」です。部下に対する怒りや不満は「他責」であると理解してください。

そして、その不満の矛先を部下に向けるのではなく、「部下に対する自分の求め方、伝え方が違うのかな?」「求めている基準に達するような教育を自分がまだできていないんだな」というように矢印を自分に向け、「自責」で受け止めるのです。

そうすると、部下に対する不満や怒りといった感情は消えて無くなります。自責といっても、「自分はなんてダメなんだ」などとリーダーが落ち込む必要はありません。謙虚に受け止めて、自分自身のマネジメントにおける成長のエネルギーに変えればいいのです。

相手に求めるばかりの「他責」によって起こる「マイナス」な感情よりも、自分の至らなさを受け入れる「自責」の感情のほうが、明らかに「プラス」です。

船坂光弘(ホスピタリティ・コンサルタント)
(『THE21オンライン』2020年11月24日 公開)

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