本記事は、松木正一郎氏の著書『勤務医のためのマンション経営 経営創業30年「正直不動産会社」の社長が語る!』(サンライズパブリッシング)の中から一部を抜粋・編集しています。
減価償却の方法
不動産の場合は、建物のみが減価償却の対象となります。さらに、建物は躯体部分と設備部分に分けることができます。このとき、設備によって耐用年数が変わるため、本来であればさらなる細分化を行いますが、本書ではわかりやすく、躯体と設備に分けて計算します。
※購入時の仲介手数料、未経過分固定資産税の清算金は購入取得価格に含めることとします。この場合も、減価償却は建物部分のみとなります。
※土地部分には、劣化するという概念がありませんので、減価償却の対象とはなりません。
• 建物価格の算出
購入時の売買契約書に記載の建物価格、建物にかかる消費税より算出できます。売買契約書に記載がない場合は、土地と建物の固定資産税評価額を基礎として購入価格を按分する方法が多く利用されています。
売買価格×(建物固定資産税評価額÷土地建物の合計固定資産税評価額)=建物取得価格
建物本体を躯体と建物付帯設備に合理的に按分するには、建築主が保管している建築工事請負契約書または積算資料が利用されます。ですが、中古マンションにおいては、入手できないケースも多々あります。この場合、市区町村の固定資産税課にある再建築費評点数算出表を使って、工事費の割合を算出します。
中古物件の耐用年数を計算したい場合、
(例)購入価格2500万円築年数15年4か月
※購入時期は、わかりやすくするために1月1日に所有者になったとしています。
すると、
土地40% 建物60% 建物(躯体70% 建物付帯設備30%)(法定耐用年数−築年数)+築年数×0.2
となります(算出した耐用年数は、少数点以下切り捨て、築年数が15年4か月のような場合は、1か月以上は切り上げとなり築年数は16年で計算)。
RC造の築年数16年の中古物件の耐用年数は、
躯体:(47年−16年)+16×0.2=34年付帯設備耐用年数が15年
となっており、償却年数が終わっています。こうした場合は、
設備:15年×0.2=3年
となります。または15年(付帯設備耐用年数)・躯体として34年で減価償却することも可能です。そして、ここで出した耐用年数に応じて、償却率というものが定められており、国税庁のホームページで確認することができます。
耐用年数34年の償却率は0.03となり、建物付帯設備は3年のため、0.334となります。例えば、全額ローン(金利1.65%・35年)2500万円で購入し、土地1000万円建物1500万(躯体1050万円・建物付帯設備450万円)の物件を所有している場合、
1050万円×償却率0.03=31.5万円/年
450万円×償却率0.334=105.3万円/年
となり、合計年間181.8万円も減価償却費として経費に計上できることになります。