今週の日経平均 週初に自律反発へ、後半は模様眺めか【3月16〜20日 相場展望】
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業績相場の色彩が強まり、日経平均は3万2,000円台へ

三井住友DSアセットマネジメント チーフストラテジスト / 石山 仁
週刊金融財政事情 2021年3月15日号

 株式市場が従来の楽観シナリオを点検する必要に迫られている。

 昨年末以降、米国で新型コロナウイルスのワクチン接種が始まったことで、景気回復の可能性は一段と高まった。1月初めには米民主党が大統領、上下院で多数派を握る「トリプルブルー」が実現。緩和的な金融環境と大規模な財政政策によって景気が回復するというシナリオの下、この間の株式市場は堅調に推移していた。

 しかし、日米株式市場は、2月25日に米長期金利が一時1.6%を超える大幅な上昇となったことを受けて調整を余儀なくされ、下落基調に転じた。米長期金利、特に期待インフレを差し引いた実質金利の上昇が加速したことで、低金利持続を前提としたシナリオ修正を迫られつつある。筆者は、現在の株式市場は業績相場へ移行する過程の試練と考えている。

 重要なのは米実質金利である。米実質金利の上昇は、米国のテーパリングに対する懸念だけでなく、間近に迫る大幅な景気回復期待が背景だ。果たして、現在の米実質金利の上昇と株安は継続するのだろうか。

 2013年以降の金利上昇局面を大きく分けると、足元を含めて3回ある(図表)。それぞれの背景を見ると、13年年央は金融引き締め懸念が金利上昇の引き金となり、米株は同期間5%程度の調整となった。16年後半は経済成長に軸足があったことで、成長を織り込む良い金利上昇となり、株価も上昇した。そして足元は、ワクチンの普及拡大と財政拡張による経済成長の上振れ期待、そして米連邦準備制度理事会(FRB)高官が長期金利の上昇を肯定したことなどによるものだ。FRBは早期の量的緩和縮小を否定しつつも、長期金利の上昇を肯定することで実質金利の急騰を抑えつつ、緩和状態から正常化へと金融環境を戻すことができる、と考えているかもしれない。実質金利の上昇が穏やかであれば、期待の中心は経済成長であり、収益拡大ということになろう。

 21、22年は、日米とも景気・業績の拡大局面にある。今後は業績相場の色彩を強めると考えられ、業績の改善度合いが期待形成の主軸になろう。日米の株式市場の今後の振れ幅は、引き続き大きな展開が予想されるが、いずれ好調な業績を支えに上昇基調に回帰すると考える。

 弊社では、年末に向けて、米長期金利が1.7~1.8%台、ダウ平均株価が3万3,000ドル台、日経平均が3万2,000円台を目指すと想定する。

日経平均は3万2,000円台へ、業績相場の色彩強まりで
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(提供:きんざいOnlineより)