時価総額の高い企業が株式相場に与える影響が大きいことから、投資家はその動向を注視する。一方で、中小株についてはそれほど高い関心は払われていないかもしれない。しかし近年、中小型の日本株を対象とした投資信託が好調な運用成績を残しているのをご存じだろうか。

こうした好成績を記録する中小型株ファンドの運用レポートを上手に活用しながら、お宝銘柄を発掘することも投資の戦略の1つとなり得る。

中小型株ファンドとは

お宝銘柄発掘 ? 「中小型株ファンド」の運用レポート活用法
(画像=wutzkoh / stock.adobe.com)

「中小型株」の定義はさまざまだが、東京証券取引所では上場後6ヵ月以上経過した時価総額及び流動性の高い上位100銘柄を大型株とし、その大型株に次ぐ上位400銘柄を中型株と定めている。

さらに大型株、中型株に含まれない銘柄は小型株に分類される。投資家から集めた資金で中小型株式を対象に運用しているのが、中小型株ファンドである。

中小型株ファンドはなぜ好成績なのか

電撃的な辞意表明により、約7年8ヵ月の政権に幕を閉じた安倍前首相の功績の1つとして挙げられるのが、アベノミクスであろう。2%のインフレ目標を設定し大胆な金融政策を打ち出すと、政権が発足した2012年12月に1万円を割る水準だった日経平均株価は、アベノミクスへの期待感から上昇し、2万円を超える水準にまで回復した。

日経平均株価は大型株を中心に構成されるが、アベノミクスにおける中小型株式の投資信託のパフォーマンスをみると、日経平均を大幅に上回るファンドが存在する。日経平均株価がアベノミクスにより約2倍続伸したのに対し、中小型株ファンドの中にはこの間、5倍あるいは10倍値上がりしたものもある。

好調な成績を収めた裏には、敏腕ファンドマネージャーの存在がある。特に、指標を上回る成績を目指すアクティブファンドにおいては、ファンドマネージャーによるプロの目利きで投資対象が厳選される。

日経平均株価を構成する大企業は、ビジネスが成熟して安定した経営を見せる一方、中小型株には新興企業も多く成長のポテンシャルも高い。ビジネス環境やトレンドの変化で業績が大きく左右されることもあり、ファンドの銘柄をどのように構成するか、タイミングを見ながら組み替えることでより高いパフォーマンスを目指す。

こうした戦略がはまり、中小型株ファンドの中には日経平均株価の指標を大きく上回る実績を残したケースがみられる。

ファンドの運用レポートを活用して新たな投資先開拓

中小型株ファンドのみならず、投資家への情報開示という意味合いも含めて、投資信託では運用レポートが提供される。レポートにはファンドの値動きに加え、組み入れられている株式について、業種別、組み入れ比率の高い上位銘柄などの情報が含まれている。

中小型株ファンドの投資信託に直接投資するのも1つの方法ではあるが、さらに一歩踏み込んで、中小型株ファンドの運用レポートを活用しながら個別株投資の対象を絞り込むのもよいだろう。投資信託に組み込まれる銘柄はプロのファンドマネージャーの目にかなったものであり、その目利きをうまく利用しない手はない。

まずは運用レポートで、どのような業種の銘柄が組み込まれているかを読み込むと、成長が期待できるセクターが一目瞭然である。さらに投資信託に組み込まれている上位銘柄も公表されており、それぞれの個別企業のIR情報を確認するなどして、個別株投資の銘柄の絞り込みに役立てることができる。

また、毎月運用レポートが公表されている場合、組み込まれている上位銘柄の変化をチェックすることでトレンドの変化を読み取り、投資家自身のポートフォリオの組み替えの判断材料とすることができる。

アベノミクスで高いパフォーマンスを発揮した中小型株ファンドは、投資対象として注目する以外にも活用方法が満載である。高い成長が期待できる新興企業を1から発掘するのは骨の折れる作業だが、中小型株ファンドの運用レポートを活用すれば、実質的にプロの手を借りながら、有望な個別株の絞り込みが可能となる。

まずは運用レポートをお宝銘柄探しのつもりでチェックすることから始めると、新たな投資の道が開けてくるだろう。

(提供:大和ネクスト銀行


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