株式投資は、株価の値上がりが期待できる企業の銘柄を購入し、値上がり後に売却すれば差額が収益となる、シンプルな仕組みの金融商品です。ほかの金融商品よりも一般にリターンは高めだといわれますが、反面リスクも小さくありません。株式投資の仕組みや銘柄選びのポイントを押さえて、安定した利益の獲得を目指しましょう。

目次

  1. 株式投資とは?
  2. 株式投資のメリットとデメリット
  3. 株式投資では何を狙うのか?
  4. 株式投資を始めるまでの手続きの流れ
  5. 銘柄の選び方は?
  6. まとめ:まずは少額から株式投資を始めよう

株式投資とは?

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株式は、企業が資金調達のために発行する有価証券です。投資家は、株式を購入することで企業の出資者(株主)となり、以下の権利を得ます。

・株主総会に出席し決議に参加する権利
・配当金など利益分配を得る権利
・会社解散時に、残った資産の分配を受ける権利

一方で株主は、株式を保有する企業が倒産した場合に、出資金の一部もしくは全額が戻らないリスクを負います。

この株式を取引し、利益を得ることなどを目指すのが株式投資です。株式投資で得られる利益には、以下の3つがあります。

・値上がり益(キャピタルゲイン):購入時よりも高い株価で売却したときに発生する売却益
・配当金(インカムゲイン):企業活動により得られた利益は、保有株数に応じて株主に分配される
・株主優待(インカムゲイン):商品やサービスなどが、保有株数に応じて株主に贈呈される

超低金利が続く状況で銀行預金ではほとんど利息が得られませんが、経営が堅調な企業への株式投資は、より大きな利回りが期待できます。ただし株式投資には、以下のようなリスクがあります。

・預貯金と異なりすぐに現金化しにくい(流動性が低い)
・値動きにより利益が変わり、資産が減少するリスクがある

それなりのリスクが伴うだけでなく、売却に手数料がかかることや、口座振り込みまで数日かかるなど預貯金にはない不便さがあることも、常に念頭に置いておく必要がありそうです。

株式投資のメリットとデメリット

株式投資のメリットとデメリットをもう少し詳しく見ていきましょう。

株式投資のメリット1:運用成績次第で大きな利益も狙える

購入銘柄の株価が大きく上昇すれば、キャピタルゲインも大きくなります。短期の値上がりを狙うのは投資初心者にはハイリスクですが、成長企業銘柄を長期保有や、配当金や株主優待といったインカムゲインを重視することで、中長期的な資産形成も可能です。

株式投資のメリット2:企業の経営に関われる

株主は、総会に参加することで会社の意思決定に関われます。応援している企業や、馴染みのある企業の経営に参加できるのも、株式投資の面白さだといえるでしょう。

株式投資のメリット3:世の中の動きを勉強できる

株式は、世間や市場の動向によって値動きします。株式投資をすることで、社会や経済について学び考える機会を得られます。

では株式投資のデメリットにはどのようなものがあるでしょうか。

株式投資のデメリット1:元本割れリスク

株価は、企業の業績や経済状況の影響を受け常に変動しています。購入時よりも株価が下がれば、投資時よりも資産が減少します。

株式投資のデメリット2:勉強の必要

仕組みは難しくありませんが、安定的に利益を出し続けるには、株式投資特有のセオリーを学ぶ必要があります。株式投資を始めたら、少しずつでも投資に関する知識を蓄えていくことが重要です。

株式投資のデメリット3:まとまった資金が必要

株式には「単元」という購入単位があり、多くの場合は100株単位で取引されています。仮に株価が2,000円であれば、購入には20万円必要です。ただし少額から購入できる「単元未満株」もあります。

株式投資では何を狙うのか?

株式投資で利益を目指すなら、利益が出る仕組みやパターンを知っておく必要があります。

株価が動く要因

株価は、以下の要因などにより変化します。

・企業業績
・経済状況
・政治的要因
・その他(自然災害の発生や機関投資家の動きなど)

そしえ、これに加え株式市場での需要と供給の影響も受けます。売りたい投資家よりも購入したい投資家が多い銘柄の株価は上昇しますが、逆の場合は下落します。

利益が出る条件

株式投資で利益を出すには、いくつかのパターンがあります。

・パターン1:安く買い、高く売る
株式投資で儲ける最大の原則は、安い株価で買い高い株価で売却することです。そのためには、購入時よりも高い株価の到来を待てるような資金的、心理的な余裕が必要です。デイトレードのように短期で売買を繰り返す取引は、うまくいけば短時間で大きな利益を得られますが、瞬く間に巨額の損失を出す可能性と裏腹です。日々の株価の上下に一喜一憂するのではなく中長期に渡って保有し、まとまった値上がり益が出たところで売却するのが基本といえるでしょう。

・パターン2:配当金や株主優待を狙う
どんなに株式について勉強しても、株価の動きを完全に予測することはできません。そこで、値動きによるリスクを抑えるために併用したいのが、配当金や株主優待です。これらのインカムゲインが積み重なれば、値動きで損失が出た場合でもトータルでプラスを維持できる可能性があります。

なお、配当金や株主優待は業績などにより変動します。業績によっては配当が出ない場合もあるでしょう。株主優待の内容が変わったり、優待そのものが無くなったりする可能性もゼロではありません。配当や株主優待をあてにしすぎないことが大切です。投資する前に企業業績などをしっかり調べる必要があります。

・パターン3:損切りの基準を決めておく
株式投資において、すべての銘柄で利益を得るのは簡単ではありません。重要なのは、損失が出た銘柄をどのように取り扱うかです。

損失を最小化するには、許容できる値下がり幅を決めておくのが得策です。損切り基準を超えたら速やかに売却することで、値下がりが続き売るに売れない「塩漬け株」となることを避けられます。損切りで得た売却代金で、新たな投資をするほうが運用全体の収益性は向上する可能性があります。

儲かるために必要な視点

株式投資を成功させるには、知識や情報を得ることに加え、儲けを狙える視点を持つことも重要です。

・儲かるために必要な視点1:市場での需要と供給
株価は需要と供給によって決定します。需要と供給は複数の要因で決まるため、業績がよいからといって儲けが出るとは限りません。売買判断をする際には、自分以外の投資家がどのように考えるかをイメージしましょう。

・儲かるために必要な視点2:優良企業が「儲かる株」とは限らない
同じように、優良企業の銘柄を買えば必ず儲かるとも限りません。株式投資において魅力があるのは、「株価の上昇余地がある銘柄」です。優良企業でも今後の成長が多く見込めないとなれば、儲かる株とはいえません。

・儲かるために必要な視点3:上昇材料を探す
ほかの投資家がまだ気付いていない上昇材料をもつ銘柄があれば、大きな利益を得るチャンスといえます。企業業績や資産価値をチェックし、後述する「バリュー株」や「グロース株」を見つけることが重要です。

株式投資を始めるまでの手続きの流れ

株式投資は、口座開設から購入、売却まで6つのステップで行われます。

ステップ1:証券口座の開設申し込み

株式投資をするには、証券会社で口座を開設する必要があります。なお、証券会社には下記の3つの種類があります。それぞれのメリット・デメリットを確認し、投資スタイルに合ったものを選ぶことが肝心です。

▽表1.「店舗型証券」「ネット証券」「スマホ証券」のメリット・デメリット

メリットデメリット
店舗型証券対人サポートが受けられる手数料が高め
ネット証券・時間や場所を選ばず取引できる
・手数料が低い
サポート体制が弱め
スマホ証券時間や場所を選ばず取引できる
少額投資サービスが充実している
取引によっては手数料が高い場合も

口座開設申し込みは、店頭窓口もしくはホームページから行います。申し込み時には、取引する口座の種類を以下のいずれかから選びます。

・特定口座(源泉徴収あり)
・特定口座(源泉徴収なし)
・一般口座

投資初心者であれば、「特定口座(源泉徴収あり)」が便利です。特定口座(源泉徴収あり)は、利益にかかる20.315%の税金が源泉徴収されるため、原則として確定申告が必要ありません。また、一定の投資額まで利益が非課税となるNISA口座も利用できます。

ステップ2:必要書類に記入して返送

開設申込をすると、必要書類が郵送されます。必要事項を記入し本人確認書類やマイナンバー書類と併せて返送しましょう。本人確認書類およびマイナンバー書類は、オンラインでアップロードできる証券会社も増えています。

ステップ3:取引パスワードを入力してログイン

口座開設手続きが完了すると、取引IDおよび取引パスワードが送付されます。ネットでの取引をするなら、IDとパスワードを入力しログインしましょう。初回ログイン時には、投資経験や資産状況、勤務先などの初期設定が必要です。

ステップ4:口座にお金を振り込む

初期設定が完了したら、投資資金を入金します。提携銀行からの即時入金が行える証券会社も増えていますが、タイミングを逃さず速やかに銘柄を購入するには、時前に入金しておきましょう。

ステップ5:銘柄を選んで買い注文を出す

初期設定や入金が終わったら、銘柄の選定と買い注文です。値動きにより資産が減少するリスクを軽減するには、複数の銘柄や金融商品を組み合わせる「資産分散」が有効です。

株の売買では、以下の注文方法があります。

・成行注文:現在の市場価格で約定。タイミングによっては予想外の価格で約定されることもある。
・指値注文:指定した価格に達したら約定が成立。値動きによっては約定が成立しないこともある、

どちらの注文方法が有利かは、ケースバイケースです。市場や株価の状況などにより選択していきましょう。

ステップ6:売り注文を出す

保有銘柄の利益や損失を確定するには、売却をします。売却を決めたら、売り注文を出しましょう。売却代金は、約定日から起算して3営業日後に受け渡されます。

銘柄の選び方は?

投資初心者にとって銘柄選びは難問といえるでしょう。それでは、どこに着目して購入する銘柄を決めればいいのでしょうか。

銘柄選びのポイント1:投資期間に合った銘柄を選ぶ

銘柄選びのポイントの1つめは、投資期間に合った銘柄選びです。デイトレーダーのように短期売買を行うなら、取引が盛んで値動きがある銘柄を選びます。

中・長期で投資をするなら、長期的な成長が見込める企業を選びましょう。安定した業績で値下がりリスクが少なく高配当な銘柄も、中長期投資には向いています。

銘柄選びのポイント2:分析手法にはファンダメンタルズ分析とテクニカル分析がある

銘柄の分析方法には、ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析があります。それぞれの特徴は以下のとおりです。

・ファンダメンタルズ分析:企業の財務状況や業績状況のデータをもとに分析。PER(株価収益率)、PBR(株価純資産倍率)、ROE(株主資本利益率)などを指標として用いる。
・テクニカル分析:移動平均線や株価チャートなど、過去の値動きから割り出されたパターンをもとに、今後の株価を予測する。

ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析では、対象とする情報が異なります。両方を用いて値動きを予測することが重要です。

銘柄選びのポイント3:「バリュー投資」か「グロース投資」か

株式投資手法を大きく分けると、「バリュー投資」と「グロース投資」に分類できます。

・バリュー投資:企業の価値に対して株価が割安な「バリュー株」に投資する手法。今後、市場から正当な評価を受けることで株価の上昇が期待される。
・グロース投資:成長が期待される「グロース株」に投資する手法。業績成長によって株価が大きく上昇する可能性を秘める。

一般的に、バリュー株よりもグロース株の方が利益は大きくなりやすく、株価が10倍に上昇することを意味する「テンガバー」も夢ではありません。一方で、企業の成長過程であるグロース株は、配当金が期待できなかったり、思うような成長を遂げない、または成長まで時間がかかったりといったリスクも高めだといわれています。まずは両方のタイプの銘柄に少しずつ投資をし、値動きの違いを見ることで経験値を高めるのも有効でしょう。

銘柄選びのポイント4:中長期投資

日中忙しくこまめに市場や株価をチェックできない人でも、中長期投資であれば安定した運用が可能です。ただし、最低限の確認ポイントは見逃さないようにしましょう。

確認ポイント1:ビジネスモデル
企業が利益を出すための事業戦略は重要です。定期的に事業方針や独自性、利益率などをチェックして、投資に値するビジネスモデルであるかどうかを見極めましょう。

確認ポイント2:財務状況
中長期を想定した投資では、定期的な財務状況の確認も欠かせません。売上や利益が大きく下がったり、自己資本比率が低下したりすると、株価が下がる可能性があるからです。財務状況の悪化は、売買判断するタイミングといえます。

確認ポイント3:株の購入タイミング
投資のプロでも、株を最低価格で購入し続けることはできません。重要なのは、高値づかみを防ぐことです。

チャートや過去のデータなどを見れば、現在の株価水準が適正であるかどうかがわかります。実績と比べて高いと判断できるなら、今後の成長性などが検討課題となります。また、一時的に資金が集まっている銘柄は、今後株価が急落する可能性があります。PERやPBRをチェックして、過熱感がある銘柄への投資は慎重におこないましょう。

まとめ:まずは少額から株式投資を始めよう

株式投資では値上がり益と、配当金・株主優待を狙います。株取引を新たに始めるなら、手数料が安く抑えられるネット証券が有力な選択肢といえるでしょう。

銘柄選択では、ビジネスモデルや財務状況を確認して、購入を検討することが重要です。値上がりの期待が高いバリュー株やグロース株を見いだせれば、投資効率が向上する可能性は高まります。

文・N.ヤマモト
都市銀行にてファイナンシャルプランナーとして主に、富裕層の資産形成・運用相談を担当。投資信託や保険商品・債券・外貨預金の販売に携わる。その後はWEBライターとして、投資や資産形成についての情報を発信。子供の学費や老後資金作りのため、自らも20代から資産運用を続けている。