日本人は長寿命だと言われています。実際に平均寿命を世界各国と比べると、男性の平均寿命は香港(82.17歳)、スイス(81.4歳)に続いて81.25歳と3位で、女性は香港(87.56歳)に続いて87.32歳の2位という結果でした(厚生労働省「簡易生命表」より)。では企業の寿命は世界各国と比べてどうなのでしょうか?
創業年数100年以上、200年以上の企業数ランキングで1位日本、2位米国の結果に
日経BPコンサルティングのビジネス情報サイト「周年事業ラボ」が、創業年数が100年以上と200年以上の企業数を国別に調査しています。これによると世界で創業100年以上、200年以上の企業数がもっとも多いのが日本という結果でした。
以下掲載するランキングにおいて、各国の比率は、世界全体の創業年数100年以上または200年以上の企業数に占める割合を示していますが、1位から5位までの国の比率を合計すると100年以上では91.7%、200年以上では92.4%にもなり、長生き企業のほぼすべてを日本、米国、欧州が占めています。
・創業年数100年以上の企業数と比率
1位:日本 企業数3万3,076 比率41.3%
2位:米国 企業数1万9,497 比率24.4%
3位:スウェーデン 企業数1万3,997 比率17.5%
4位:ドイツ 企業数4,947 比率6.2%
5位:英国 企業数1,861 比率2.3%
・創業年数200年以上の企業数と比率
1位:日本 企業数1,340 比率65.0%
2位:米国 企業数239 比率11.6%
3位:ドイツ 企業数201 比率9.8%
4位:英国 企業数83 比率4.0%
5位:ロシア 企業数41 比率2.0%
長寿企業になりやすいのは製造業で、サービス業は難しい?
創業100年以上の日本企業を業種別で分析した結果、トップが製造業(26.0%)で、次いで小売業(23.5%)、卸業(22.3%)、建設業(7.4%)、サービス業(5.2%)でした。
サービス業は、現在の業種全体に占める企業の割合が21.9%ともっとも高いものの、顧客ニーズに左右されやすいのと、業態が比較的新しいこともあって100年企業となるとその割合は下がってしまうと考えられます。
日本でもっとも創業年が古い上場企業は、一般土木建築工事業の松井建設が1586年創業、次いで銅1次製錬・精製の住友金属鉱山が1590年、蒸留酒・混成酒製造の養命酒製造が1602年、織物卸の小津産業が1653年、各種商品卸のユアサ商事が1666年でした。
世界でもっとも創業年が古い上場企業は、ドイツの車両用部品製造のSHWが1365年創業、イタリアの銀行のBANCA MONTE DEI PASCHI DI SIENAが1472年、スウェーデンの製紙業のHOLMENが1609年、英国の銀行のBARCLAYSが1690年、米国の上水道業・かんがい事業のYORK WATER COMPANYが1861年でした。
日本企業はさまざまな困難を乗り越え存続した
日本は長寿命国だけでなく、企業寿命も世界と比べて長いことがわかりました。創業200年を超える企業ともなると65%と、2位の米国に53ポイントもの差をつけています。日本は戦禍や災害、経済危機を経験しているのにもかかわらず、このように多数の長寿命企業を見ることができるのは驚くべきことといえるでしょう。生活だけでなく経済的にも新しい様式が求められる昨今、これら長寿企業の経営スタイルは、あらためて注目を集めることになりそうです。