IPO投資を始める時、NISA口座を検討する人が多くいます。NISA口座は一定の買付金額まではその利益が非課税になり、所得税を節税できるからです。一方NISA口座には活用上の注意点もあります。NISA口座でIPO投資をしたい人向けに、メリット・デメリットを解説します。

IPO投資とは?NISA口座を開設するメリットも紹介

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(画像= Uladzislau/stock.adobe.com)

IPOは日本語で新規公開株といい、IPO投資とは上場前の企業の株式を抽選で手に入れ、上場後の金額で売却することで利益を得る投資方法です。

上場とは、証券取引所で誰もが株式を売買できるようにすることです。上場することで企業はより多くの投資家から資金を獲得することができます。一方で、上場には一定の基準があるため、基本的には業績の良い企業や成長している企業しか上場することができません。

こういった背景からIPO投資は利益が出やすく、ローリスクハイリターンな投資方法といわれています。投資が初めてという人にも、既に複数の投資で資産形成に成功している人にも幅広く人気があるのがIPO投資です。

IPO投資は利益が出やすいことから、NISA口座との相性も抜群です。NISAとは、NISA口座で株式や投資信託を毎年120万円まで購入できて、その利益が非課税となる制度です。経済の活発化を目指して投資家への優遇策として2014年から開始されました。

例えば、IPO投資で譲渡益が100万円だった場合、本来は20.315%の税金がかかります。つまり、100万円の利益が出ても約20万円の税金がかかるため、手元に残る資金は80万円です。しかし、NISA口座を開設していれば100万円がそのまま手元に残ります。

利益が出やすいIPO投資だからこそ、NISA口座を効果的に活用できるといえるでしょう。

NISA口座ならではの注意点を押さえてIPO投資をしよう

120万円までという非課税投資枠の制限はあるものの、利益が非課税になるのは投資家にとって大きなメリットです。一方、NISA口座には注意点もあります。

NISA口座では損益通算をすることができません。損益通算とは、利益と損失を相殺して税金を計算することです。以下で、一般的な損益通算の仕組みについて例を用いて解説します。

A株式で80万円の譲渡益が出てB株式で100万円の譲渡損が出た場合、利益と損失が相殺されるため所得税はかかりません。それどころか、20万円分の損失を繰り越し、翌年以降の利益と相殺することができます(要確定申告)。

しかし、他の口座で80万円の譲渡益が出てNISA口座で100万円の譲渡損が出た場合、損益通算をすることはできません。NISA口座では利益に対する税金が非課税とされているため、口座内の損失もないものとみなされるのです。

IPO投資は利益が出やすい投資方法とはいえ、投資である以上必ずしも利益が出ることが保証されているわけではありません。IPO投資は多くの投資家が関心を寄せていることから、値動きが激しくボラティリティが高いともいわれています。

ボラティリティとは株式の価格の値動きの幅を表す指標です。ボラティリティが高いということは、大きく利益が出る可能性と大きく損失が出る可能性の両方を秘めているということです。IPO投資で多額の損失を計上してしまうこともないとはいいきれません。

そのため、他にも複数の証券口座を所有し積極的に株式投資を行っている場合は損益通算について必ず考慮しておく必要があります。120万円までの非課税投資枠をメリットと感じるか、万一損失が出た場合に他の譲渡益と損益通算できることを重視するかよく検討しましょう。

IPO投資の上昇幅をフルで享受したいならNISA口座の検討を

IPO投資でせっかく利益が出ても税金で手元資金が減ってしまうのはさみしいものです。IPO投資の上昇幅をフルで享受したいならNISA口座は効果的な選択です。

ただし、すべてのNISA口座でIPO投資ができるわけではありません。IPO投資ができる証券会社を選ぶ必要があります。IPO投資を目的にNISA口座を開設する場合は、IPO投資の抽選に参加できるかどうかを確認してから手続きを始めましょう。取り扱っているIPO株の実績数も証券会社によって異なります。

また、NISA口座を開設する金融機関は1年単位で変更できますが、既に株式などをNISA口座で購入している場合は翌年まで継続する必要があります。口座開設する際には証券会社を比較し、手数料なども調べておくと安心です。