日本には数多くの株式公開企業があり、東証1部上場企業だけでも2,180社ほどあります。この中から自分に合う投資先を探し出すのは簡単ではありませんが、さまざまな「株式ランキング」を活用することで、伸びそうな業界や銘柄を見つけることが可能です。
 

目次

  1. 株式ランキングとは?
    1. ランキングの種類
    2. ランキングはどこで見られる?
    3. ランキングごとの見方
  2. 時価総額ランキングの活用法
    1. 安定した投資先を見つけやすい
    2. 時価総額ランキングは社会の変化を映し出す
  3. ストップ安、ストップ高ランキングの活用法
    1. ストップ安とストップ高には理由がある
    2. ストップ高でも材料が大きければ買うチャンス
    3. ストップ安から反転するケースは?
  4. 株価の年初来高値更新リスト
    1. 「新高値ブレイク投資法」とは?
  5. さまざまな株式ランキングを確認して、投資に活かそう

株式ランキングとは?

株式ランキングには株価だけなく、時価総額や値下がり率、値上がり率など数多くの種類があります。売買を検討している銘柄がどのような状態にあり、今後どのような値動きを示すのかを推測することができます。まず、ランキングの種類と活用法を紹介します。

ランキングの種類

主な株式ランキングとしては、以下のようなものが挙げられます。

  • 値上がり率/値下がり率
  • ストップ高/ストップ安
  • 年初来高値更新/年初来安値更新
  • 出来高/単元当り出来高
  • 出来高増加率/出来高減少率
  • 売買代金上位/売買代金下位
  • 時価総額上位/時価総額下位
  • 単元株価格上位/単元株価格下位
  • 配当利回り
  • PER
  • PBR

「どの株を買おうかな?」と考えているときに、銘柄ひとつひとつの状況や情報を調べていくことは、数が多いため容易ではありません。そんなとき、株式ランキングを活用すれば市場の動きや、資金がどこに流れているかが見て取れます。

たとえば、株価の値上がり率を業種別で見れば、どの業界に人気が集まっているのかがわかります。2020年12月14日、15時23分時点のSBI証券「業種別株価指数値上がり率上位ランキング」では、このようになっていました。

▽SBI証券 業種別株価指数値上がり率上位ランキング(2020年12月14日 15時23分)
 

順位 業種 現在値 前日比 前日終値
1 海運業 310.58 +5.53 (+1.81%) 305.05
2 その他製品 3,731.00 +55.68 (+1.51%) 3,675.32
3 機械 2,169.38 +31.10 (+1.45%) 2,138.28
4 輸送用機器 2,824.23 +33.30 (+1.19%) 2,790.93
5 倉庫運輸関連 1,614.48 +18.91 (+1.19%) 1,595.57


「海運業」や「輸送用機器」「倉庫運輸関連」が5位までにランクインしており、輸送関連の企業に資金が集まっていることがわかります。日毎のランキングだけでなく、週間や月間など期間を設定できるサイトもあります。

銘柄ごとの値動きを見ているだけでは、市場全体の状況や、業種・ジャンルの変動はなかなか読み取れません。さまざまなランキングを活用することで、銘柄の値動きを予測できる可能性が高まります。

ランキングはどこで見られる?

株式ランキングは、「SBI証券」や「楽天証券」などの証券会社サイトのほか、投資やマネーの総合情報サイトである「Yahoo!ファイナンス」や「日本経済新聞ウェブ」のマーケットカテゴリー内でも見ることができます。

また、複数の条件をかけ合わせたランキングを見ることもできます。SBI証券や楽天証券などのサイトでは、口座を開設すると「スクリーニング機能」を利用できるようになります。たとえば、「値上がり率」と「時価総額」をかけ合わせて検索することで、どちらも上位にある銘柄を簡単に探すことができるので、情報収集と分析が効率的に行えます。

ランキングごとの見方

ここでは「値上がり率/値下がり率」、「ストップ高/ストップ安」、「年初来高値更新/年初来安値更新」、「出来高」、「時価総額上位/時価総額下位」について解説します。

・値上がり率/値下がり率

前日の終値から、株価がどのくらい変化したのかを表したものです。値上がり率はどのくらい上がったか、値下がり率はどのくらい下がったかをパーセントで表示しています。

短期間の小さな値動きで収益を上げる短期投資家にとって、値上がり率と値下がり率は重要な指標といえます。

・ストップ高/ストップ安

株価の急激な増減から投資家を守るため、株価には1日の変動幅が設定されています。これを値幅制限(制限値幅)といいます。

ストップ高とストップ安は、株価の急騰や急落で値幅制限に達し、値段を指定せずに注文する「成行注文」ができなくなった状態を指します。ストップ高が起こればその銘柄にとってポジティブな事柄が起きた可能性があり、ストップ安ではネガティブな材料が生じている可能性があると推測できます。

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値幅制限は、前日の終値または最終気配値段を基準として、株価ごとに制限幅が決まっています。

▽株価の基準値段における制限幅の違い

基準値段 制限幅
99円以下 30円
100円以上199円以下 50円
200円以上499円以下 80円
500円以上699円以下 100円
700円以上999円以下 150円
1,000円以上1,499円以下 300円
1,500円以上1,999円以下 400円
2,000円以上2,999円以下 500円
3,000以上4,999円以下 700円
5,000円以上6,999円以下 1,000円

※7,000円以上は省略

・年初来高値更新/年初来安値更新

年初から現在までで1番高い株価がつくことを「年初来高値更新」、1番低い株価がつくことを「年初来安値更新」といいます。年初来高値が更新されると、株価上昇に勢いがつくといわれており、相場の方向性を知るための大切な指標といえます。

・出来高

出来高とは取引が成立した数のことです。出来高が増えれば多くのお金が市場に注がれたことを、逆に出来高が減ると市場にお金が流れていないことを意味するため、「出来高は株価の先行指標」といわれています。

株価上昇中に出来高が減少すると株価下落の可能性が、株価下落中に出来高が上昇すると下落の流れが終わりに近づく可能性があるため、出来高ランキングは銘柄の今後の値動きを予想するのに役立つ情報といえるでしょう。

・時価総額上位/時価総額下位

時価総額とは、「株価×発行済み株式数」で計算された金額のことで、上場株式の規模を表す指標です。時価総額が増えている銘柄は、株価の上昇や株式の発行数が増えてきていることを表すため、将来的に成長が期待できると見られています。 こちらもおすすめ
投資を始めたいあなたのための、投資タイミングの考え方
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時価総額ランキングの活用法

ここからはランキングごとの活用法を紹介します。まずは時価総額ランキングです

安定した投資先を見つけやすい

下図は2020年12月11日、22時時点のYahoo!ファイナンス「時価総額上位ランキング」です。

▽Yahoo!ファイナンス「時価総額上位ランキング」(2020年12月11日 22時)
 

順位 コード 企業名 時価総額
1 7203 トヨタ自動車(株) 25兆5,166億4,000万円
2 9984 ソフトバンクグループ(株) 16兆5,367億100万円
3 6861 (株)キーエンス 12兆6,565億2,800万円
4 9437 (株)NTTドコモ 12兆5,270億8,200万円
5 6758 ソニー(株) 12兆4,315億1,700万円
6 9432 日本電信電話(株) 10兆1,498億5,300万円
7 9983 (株)ファーストリテイリング 8兆9,133億6,900万円
8 4519 中外製薬(株) 8兆4,809億2,000万円
9 7974 任天堂(株) 7兆9,449億700万円
10 6594 日本電産(株) 7兆4,297億400万円

上位ランキングには日本を代表する有名企業が名を連ねています。これらの企業が行うビジネスは規模が大きく、社会への影響度も大きいといえるでしょう

時価総額が大きい企業は倒産するリスクが低いため、着実な運用を目指す人に向いている銘柄といえそうです。ただし株価が大きい高いため、投資金額は大きくなります。

対照的に時価総額が小さい企業は、株価が低く発行株式数も少ないため、株価が大きく動きやすい傾向があります。購入金額が小さいので投資しやすく、成長過程の企業であれば株価が大きく上昇する可能性もあります。ただし、時価総額が大きい企業に比べると経営の安定性は低いため、しっかりと情報を収集した上で、慎重に銘柄選定をする必要があります。

時価総額ランキングは社会の変化を映し出す

現在の時価総額上位には、NTTドコモやソフトバンクグループ、日本電信電話といった通信系の企業が3つもランクインしており、通信業界の規模の大きさを見て取ることができますが、過去はどうだったのでしょうか。2010年12月30日の東証1部時価総額ランキングと比べてみると、10年間での変化が浮き彫りになります。

▽2010年12月30日時点の東証一部時価総額ランキング
 

順位 企業名 時価総額
トヨタ自動車(株) 11兆1,025億円
(株)三菱UFJ 6兆2,121億円
(株)NTTドコモ 6兆2,094億円
本田技研工業(株) 5兆8,237億円
キヤノン(株) 5兆6,151億円
NTT(株) 5兆3,238億円
(株)三井住友FG 4兆894億円
三菱商事(株) 3兆7,297億円
日産自動車(株) 3兆4,945億円
10 任天堂(株) 3兆3,745億円

10年前と現在のどちらにもランクインしているのは、トヨタ自動車とNTTドコモ、そして任天堂です。3社とも時価総額は倍以上に拡大しています。

逆に、自動車業界大手の本田技研工業と日産自動車、金融業界大手の三菱UFJと三井住友FGが10位までに入っておらず、通信系企業や、新しいテクノロジーや素材を生み出してきた企業の伸長が目立ちます。時価総額ランキングの時系列比較は、国内のビジネスシーンの潮流変化を明確に映し出しています。

ストップ安、ストップ高ランキングの活用法

ストップ安とストップ高は、その銘柄を買う絶好のチャンスなのでしょうか?あるいは手を出すべきではないのでしょうか。

ストップ安とストップ高には理由がある

株価は買いたい人が多いほど値が上がり、売りたい人が多いほど値が下がるという、需要と供給のバランスで決まります。ストップ安やストップ高の多くには、バランスが大きく傾くだけの材料があります。

ストップ安の理由としては、業績不調や業績見通しの下方修正、経営トップの不祥事、粉飾決算の発覚などが挙げられます。逆に業績アップや業績の上方修正、新製品や画期的な技術開発の発表などはストップ高の材料です。

ストップ高でも材料が大きければ買うチャンス

ストップ高になると、株価が天井に達したものと判断しがちですが、ストップ高の材料を精査すると、さらなる値上がりの可能性も見えてくる場合があります。1日で終わる程度の材料なのか、さらなる上昇につながるほどの大きな材料なのかを見極めることが重要です

ストップ高となった銘柄の、さらなる株価上昇力に着目した投資方法を「ストップ高投資法」といいます。ストップ高により銘柄を購入できなかった投資家が、翌日もその銘柄を買いたいと考えれば株価はさらに上がりますが、天井と判断した投資家が少ないと一転して暴落することもあります。

ストップ安から反転するケースは?

ストップ安については、その材料が当該企業によるものか、あるいは業界全体の状況かでもその後の値動きが変わります。同業他社の業績不振による影響を受けた場合や、特別損失など本業以外の悪材料であれば、比較的早い段階で再び株価が上昇する傾向があります。

しかし、決算報告で営業利益の赤字や大幅な減益が発表されるなど、明白な企業ダメージがある場合は、すぐに株価が回復する可能性は低くなります。ストップ安の銘柄を購入は、再び株価が上昇し始めたタイミングで購入すると、値下がりのリスクを抑えやすくなります。

株価の年初来高値更新リスト

年初来高値更新リストはランキングではありませんが、購入銘柄を決めるうえで重要な情報となります。「年初来高値更新」は4月以降の株価が対象ですが、1月~3月は昨年の株価が比較対象となるため、更新した場合は「昨年来高値更新」となります。

年初来高値更新は、株価が上昇トレンドにあることを示します。株価が上昇トレンドにあるときは、業績そのものはそれほど良くなくても、これから業績が上がる好材料が生まれていることが多く、さらに株価が上がる可能性が高いと考えられます。逆に年初来安値更新は株価の下降トレンドを示し、業績が好調でも何らかの悪材料が生じている可能性があり、その場合はさらなる値下がりが予想されます。

「新高値ブレイク投資法」とは?

株式投資の基本は「安く買い高く売る」ことにありますが、買うタイミングは安値のときだけとは限りません。株価が上昇中の銘柄を買い、さらに高値がついたタイミングで売る「新高値ブレイク投資法」という投資法もあります。安値で買ったほうが利益は当然大きくなりますが、安値の銘柄から値上がりする銘柄を選ぶのは簡単ではありません。

銘柄が新高値をつけるということは、その企業が画期的な製品を開発した、評判のよくない経営トップが変わった、新しい事業が好調といったプラスの変化が起きていると推測できます。企業動向をしっかりフォローしていれば、新高値銘柄を見つけやすくなるでしょう。

新高値ブレイク投資法は、うまくいけば大きなリターンが見込める投資法ですが、思うように株価が上がらないこともあり、成功率は高いとはいえません。そのため、早いタイミングで損切りをするなどの売買ルールをしっかり作り、複数の銘柄に少額ずつ投資するなど分散効果を高めてリスクヘッジを図る必要があります。

さまざまな株式ランキングを確認して、投資に活かそう

値上がり率、値下がり率、時価総額、出来高などさまざまなランキングを見ることで、銘柄選定や投資対象のリサーチを効率よく行うことができます。ストップ高やストップ安、年初来高値更新などは、企業に何らかの大きな変化が起きていることが推測されるので、その材料を見極めた上で投資を検討することが大切です。
 

海田 幹子
大学卒業後、化粧品会社やエクステリア商社で勤務。企業で働くさなか、FP2級の資格を独学で取得。結婚・出産を経て、現在はwebライターとして活動。ファイナンシャルプランナーの資格を活かして、お金にまつわる記事を数多く執筆中。